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クロス村編
第二ヒロインは君に決めた!!
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「ジータ、俺たちの仲間になるつもりないか?」
「……へ?」
威勢よく喋っていたジータも突然の申し出にきょとんとする。まあ無理もないか。突然だもん。
「さっきの話だとある程度ハンマーの技術はあるんだろ? だとしたら冒険でも絶対役に立つはずだし。もしかして既に他の勇者の仲間になったとか?」
「いや、そうじゃないけど」
「だったら少し考えてほしいな。まあ俺はまだ全然強くないからそれでもよければ、だけど」
村の武道大会で優勝するようなハンマー使いが仲間になってくれれば百人力だ。別に俺自身がチート能力使えるわけじゃないからな。一人一人着実に強そうな人をスカウトしていくのが一番効率がいい。
「うーん、私が勇者の仲間になる、か……考えたこともなかったな。私は基本的に店番してなくちゃならないからね」
「この辺りの魔物を狩ってるくらいなら一日中出掛けっぱなしなんてことはない。なんならジータの指定の時間だけ手伝ってくれるっていう形でもありがたいんだけども」
「うーん……」
ジータは腕を組んでかなり考えこんでいる。「仲間になんてなるわけないでしょ」と門前払いを食らうよりは幾分か可能性はありそうだ。
「確かにジータちゃんがいてくれるととても心強いですね!」
「そ、そう? アナがそう言うならちょっと考えちゃうなあ」
おお、アナの援護射撃がものすごい効果だ! まあ器量よしのアナのことだから村の皆からも基本的に好かれているんじゃなかろうか。誰かをスカウトする時には必ずアナを連れて行くようにしよう。
「ヒロキ様はちゃんと優しい人なので心配は要りませんよ!」
くう~、やっぱりアナの純粋な言葉は胸に刺さるぜ~! 絶対本能的に襲ったりしないように気を付けよう。アナを泣かせるなよな、俺!
「ちなみに今迷っているのは俺を見定めているのか? それとも店のことか?」
「アナが言うんだからあんたのことは信用してないわけじゃないよ。やっぱりお店がね。親もいないし私一人で店をやるしかないからさ」
「だとしたら参加費みたいのを払った方がいいってことか?」
正直俺らはジータに払える金なんか雀の涙ほどしかないのだが、しかし魔物を倒せば倒しただけ金は入るのだからそこから何割かを渡せばいいだろう。
「いやいや、正直お金のことはいいんだよ。でも店を閉めている間に誰かが来たら申し訳ないでしょ?」
あさましいことを考えていた俺が悪かった。ジータもジータでアナに負けず劣らずのいい子じゃないか。見た目が奔放そうなのにねは真面目なこのギャップがたまらない。
「つまり営業時間を圧迫しなければいいんだな?」
「そりゃあまあ」
「いつも開店時間は何時なんだ?」
「十時だけど」
「じゃあ早朝から十時だけ手伝い……ってことならどうだろうか」
それならお店の時間を減らすわけじゃないし、その辺を散策する程度なら数時間はあれば十分だ。
「ジータちゃん……」
「……うん。二人がそこまで言うならやらせてもらおうかな」
「本当か!?」
ダメもとだったがなんとか実を結んだみたいだ。こりゃあ勇者としての仕事が捗るぞ!
「早朝とか私の決めた時間に限定して、だけどね」
「ああもちろんだ。絶対雑に扱ったりしない」
「ありがとうジータちゃん!」
さあ、これで明日からもっと効率よく探索ができるようになるわけだな。それでまた金を得て強い装備を買って……それこそゲームで言えば序盤だからな。とんとん拍子に進むのは当たり前か。
「……それじゃあヒロキ様、先に帰ってますね」
「え?」
アナはそう言ってにっこりするとドアを開けてそそくさと帰ってしまった。
「ヒロキ、って言ったよね」
「お、おう」
「じゃあヒロキ、奥に行こうか」
ジータはカウンターから出てきて表の表示を「closed」にしたかと思うと俺の腕を掴んで軽く引っ張った。そうだ、完全に忘れてた。仲間になるには契りを交わさなきゃいけないんだった。
また意図せず美少女とえっちをすることになるわけだな……。精神的に未だ童貞な俺はありがたいやら気が引けるやらでガチガチになりながらも謙虚な姿勢を向き合おうと覚悟を決め、カウンターの奥へと進むのだった。
「……へ?」
威勢よく喋っていたジータも突然の申し出にきょとんとする。まあ無理もないか。突然だもん。
「さっきの話だとある程度ハンマーの技術はあるんだろ? だとしたら冒険でも絶対役に立つはずだし。もしかして既に他の勇者の仲間になったとか?」
「いや、そうじゃないけど」
「だったら少し考えてほしいな。まあ俺はまだ全然強くないからそれでもよければ、だけど」
村の武道大会で優勝するようなハンマー使いが仲間になってくれれば百人力だ。別に俺自身がチート能力使えるわけじゃないからな。一人一人着実に強そうな人をスカウトしていくのが一番効率がいい。
「うーん、私が勇者の仲間になる、か……考えたこともなかったな。私は基本的に店番してなくちゃならないからね」
「この辺りの魔物を狩ってるくらいなら一日中出掛けっぱなしなんてことはない。なんならジータの指定の時間だけ手伝ってくれるっていう形でもありがたいんだけども」
「うーん……」
ジータは腕を組んでかなり考えこんでいる。「仲間になんてなるわけないでしょ」と門前払いを食らうよりは幾分か可能性はありそうだ。
「確かにジータちゃんがいてくれるととても心強いですね!」
「そ、そう? アナがそう言うならちょっと考えちゃうなあ」
おお、アナの援護射撃がものすごい効果だ! まあ器量よしのアナのことだから村の皆からも基本的に好かれているんじゃなかろうか。誰かをスカウトする時には必ずアナを連れて行くようにしよう。
「ヒロキ様はちゃんと優しい人なので心配は要りませんよ!」
くう~、やっぱりアナの純粋な言葉は胸に刺さるぜ~! 絶対本能的に襲ったりしないように気を付けよう。アナを泣かせるなよな、俺!
「ちなみに今迷っているのは俺を見定めているのか? それとも店のことか?」
「アナが言うんだからあんたのことは信用してないわけじゃないよ。やっぱりお店がね。親もいないし私一人で店をやるしかないからさ」
「だとしたら参加費みたいのを払った方がいいってことか?」
正直俺らはジータに払える金なんか雀の涙ほどしかないのだが、しかし魔物を倒せば倒しただけ金は入るのだからそこから何割かを渡せばいいだろう。
「いやいや、正直お金のことはいいんだよ。でも店を閉めている間に誰かが来たら申し訳ないでしょ?」
あさましいことを考えていた俺が悪かった。ジータもジータでアナに負けず劣らずのいい子じゃないか。見た目が奔放そうなのにねは真面目なこのギャップがたまらない。
「つまり営業時間を圧迫しなければいいんだな?」
「そりゃあまあ」
「いつも開店時間は何時なんだ?」
「十時だけど」
「じゃあ早朝から十時だけ手伝い……ってことならどうだろうか」
それならお店の時間を減らすわけじゃないし、その辺を散策する程度なら数時間はあれば十分だ。
「ジータちゃん……」
「……うん。二人がそこまで言うならやらせてもらおうかな」
「本当か!?」
ダメもとだったがなんとか実を結んだみたいだ。こりゃあ勇者としての仕事が捗るぞ!
「早朝とか私の決めた時間に限定して、だけどね」
「ああもちろんだ。絶対雑に扱ったりしない」
「ありがとうジータちゃん!」
さあ、これで明日からもっと効率よく探索ができるようになるわけだな。それでまた金を得て強い装備を買って……それこそゲームで言えば序盤だからな。とんとん拍子に進むのは当たり前か。
「……それじゃあヒロキ様、先に帰ってますね」
「え?」
アナはそう言ってにっこりするとドアを開けてそそくさと帰ってしまった。
「ヒロキ、って言ったよね」
「お、おう」
「じゃあヒロキ、奥に行こうか」
ジータはカウンターから出てきて表の表示を「closed」にしたかと思うと俺の腕を掴んで軽く引っ張った。そうだ、完全に忘れてた。仲間になるには契りを交わさなきゃいけないんだった。
また意図せず美少女とえっちをすることになるわけだな……。精神的に未だ童貞な俺はありがたいやら気が引けるやらでガチガチになりながらも謙虚な姿勢を向き合おうと覚悟を決め、カウンターの奥へと進むのだった。
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