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クロス村編

エロゲRPGじゃねーか!!

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「俺はあんまりこの世界……いや、この辺りのことを知らないから、できればアナに色々教えてもらえると嬉しいんだけど」

「それならばお安い御用です! 私は生まれも育ちもこの辺りですからね」

 話を振るとアナは毎回にっこり笑って振り返る。赤みがかったふにふにのほっぺがその度に揺れるのでとてもかわいらしい。

「この森は『ゆうわくの森』と言って、色んな淫魔が潜んでいるんですよ」

「いんま……?」

「淫魔です。淫乱な魔物です」

「い、淫乱……」

 さっきから勇者の名前といい魔物といいエロ要素が強めだな……。それがこの純粋そうないい子の口から飛び出してくるものだから、なんかちょっと胸の奥がチクチクするぞ。

「だからこの森は意外に危ないんですよ! ……っと、話をしていればほら、来ましたよ! 淫魔です!」

 そう言ってアナが指さす方を見ると、そこにはこちらに向かって唸り声を上げる狼のようなものがいた。淫魔って言うからてっきりサキュバスのようなものを想像してたけど、思ったより普通の魔物だな。

「あれはタチバックウルフです。股間にぶら下がっているぶっといペ◯スで後ろから女の子を襲うんです」

 前言撤回。全然普通の魔物じゃねえわ。淫魔だわ。

「勇者さんは見ていてください! タチバックウルフごとき、私でも倒せるはずです!」

 そんな意気揚々と読み上げるような名前じゃないと思うんですが……この世界では当たり前なんですかね。

「タチバックウルフ! 覚悟です!」

 アナは相変わらず大きい声で恥ずかしい名前を叫びながら杖を振り上げる。宝玉のついた杖は一振りするとメラメラと燃えたぎる火の玉を放った。アナは本当にちゃんとした魔法使いだったようだ。

 火の玉は尾をなびかせながらウルフにぶつかり、ジュッという音を立てて煙になった。

「今のは……効いてるのか?」

「か、確実に効いてるはずですよ! ……多分」

 確実なのか多分なのか。本当にこの子に任せて大丈夫なんだろうか。

「ガルルッ!」

「きゃっ」

 と、アナがよそ見をしている間にウルフが爪で攻撃をしてきた。アナはその攻撃でヨロヨロと後ずさる。

「大丈夫か!?」

「だ……大丈夫です、これしきのこと……!」

 そうやってアナが杖を構え直した時だった。アナが羽織っていた水色のポンチョコートが煙のように消えてしまった。

 見間違いかと思って目を擦ってみたが、やはりアナの衣服はブラウスだけになっている。

「はああっ!」

「ガルルッ!!」

「ひぇ~~~」

 アナが連続で火の玉を放つも、ウルフはそれらを打ち消して逆にアナへダメージを与えてくる。やっぱりウルフには火の玉があまり効いてないんじゃないか?

 そうかと思えば、アナの服は次の瞬間にはブラウスがビリビリに破れてかわいらしい水色のブラジャーが露わになった。次の攻撃ではスカートの生地が半分以上消失し、これまたかわいらしいパンツが丸見えになった。

 やっと分かった。この世界はエロゲRPGの世界だな!? 攻撃を受けて服が消えるなんてそれ以外あり得ない。どうりでプレイヤーの名前が下ネタばかりで魔物が全部淫魔なわけだ。

 ついでにアナのことも思い出した。アナは俺が昔プレイしていたエロゲRPG『わがままがーるず☆くえすと』の案内役ヒロインで、ヒロインだけどそんなにタイプじゃねえなーと思っていたキャラだった。ゲームでは全く動かない立ち絵だったから、イメージが全然違ったよ。

 そして同時にこの世界が『わがままがーるず☆くえすと』の世界だということも分かった。そうと分かれば何も分からなかった時に比べれば非常に先のことが考えやすくて助かる。

「きゃっ! もう! このヘンタイ狼!」

 そうこう考えているうちに、アナは完全な上下下着姿になっていた。こうなると白いハイソックスと下着が相まってとてもえっちぃ。これはゲーム時代から思っていたことだ。

 そして完全に下着姿ということは次に攻撃を受ければ……! 動く度に揺れる少し大きめのおっぱい、そしてなめらかな曲線を描く大きなお尻……。ゲーム時代は推しキャラではなかったけど、実物を見るとやっぱり息子が元気になってしまう。

「ガルガル!!」

「とりゃー!」

 そして次の一撃がアナに向かってくる! ……というところで、急にウルフの鳴き声がやんだ。見ると、足をもたつかせてヨタヨタしたかと思うと、まるで霧のように崩れ落ちて消えてしまった。

「やった! ヒロキ様! やりましたよ私!」

「あ、ああ、良かったね」

 無邪気に喜んでいるアナには悪いが、男心としては少しだけがっかりした。誰でも期待しちゃうだろ、こんなの。

「それじゃ、次の淫魔に出会わないうちに村へ急ぎましょうか」

 上下下着になったことも特に気にする様子もなく、アナはまた俺を率いて歩き始めた。そんなに無防備だと変なやつに襲われるぞ、と老婆心ながらに思いながらも、結局誘惑に勝てずに揺れるお尻を見つめてしまうのだった。
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