5 / 13
第5話 後退する二人
しおりを挟む
メーシャたちがエスメラルダ家の屋敷に住み始め、しばらく経った日のことである。
「メーシャ様! メーシャ様ぁ!!」
メーシャの寝ている部屋に、セオリンが飛び込んできた。
「何よセオリン……。まだ朝じゃないわよ?」
「大変です! 毒がそこら中に広がっています!」
「な、なんですって!?」
セオリンと共に、部屋を出ると……。
一階部分がほぼ全滅していた。
「くっ……。どうしてこんなことに……」
風呂場の毒は屋敷を徐々に蝕み、やがて屋敷中に溢れ出たのだ。
こうなると、止めることはできない。
「ていっ! えいっ!」
浄化魔法を唱え、毒を消そうとするが、焼け石に水。
「荷物をまとめなさい! 逃げるわよ!」
「は、はい!」
セオリンは、慌てて持てるだけの物を袋に詰め込んだ。
「こっちよ!」
メーシャと共に、二階のバルコニーへ出た。
非常用の梯子で、なんとか脱出に成功。
「ふぅ……。危なかったわ」
ホッとしたのも束の間。
屋敷の外にも毒が広がっており、まるで毒の沼地のような状態になっていた。
メーシャは明かりの魔法を唱え、遠くまで見渡す。
「嘘でしょ……?」
街中が毒まみれになっていた。
今日の夕方までは、こんな状態ではなかったのだ。
毒は徐々に溜まり、そして溢れる性質を持つ。
気づいた時には、もう遅いことが多い。
二人はなんとか、まだ毒の溢れていないエリアへと逃げた。
「マズいことになったわね……」
「メーシャ様……。どうしましょう」
「大丈夫よ。これだけ毒が溢れても、この辺りには毒が無い……。つまり、全く汚染されていないエリアなのよ!」
「ほ、本当ですか?」
「えぇ! 間違いないわ!」
それは間違いだった。
進行度に違いはあれど、この土地はすでに、全ての領域において汚染されている。
浄化魔法の使い手、数百人態勢で神経をとがらせ、敏感に察知し対処しない限り、あっという間に毒まみれになってしまう。
だからエスメラルダ家は、移動計画を立てていたのだ。
「とにかく保存食を集めなさい。土を運ぶためのキャリーにそれを乗せて、いつでも移動できるようにするわよ」
「え……?」
「どうしたのよ」
「そんなことより、今すぐこの領地から逃げるべきでは?」
「な~に焦ってるのよ。だからこのエリアは大丈夫なの。浄化魔法を学んだ私が言うんだから、信じなさい?」
「わ、わかりました……」
すぐ目の前には、毒で満ち溢れた地面。
この状況で信じることは、難しかった。
しかし、自分一人で逃げることも、心もとなかったセオリンは、渋々メーシャに従うことにした。
「メーシャ様! メーシャ様ぁ!!」
メーシャの寝ている部屋に、セオリンが飛び込んできた。
「何よセオリン……。まだ朝じゃないわよ?」
「大変です! 毒がそこら中に広がっています!」
「な、なんですって!?」
セオリンと共に、部屋を出ると……。
一階部分がほぼ全滅していた。
「くっ……。どうしてこんなことに……」
風呂場の毒は屋敷を徐々に蝕み、やがて屋敷中に溢れ出たのだ。
こうなると、止めることはできない。
「ていっ! えいっ!」
浄化魔法を唱え、毒を消そうとするが、焼け石に水。
「荷物をまとめなさい! 逃げるわよ!」
「は、はい!」
セオリンは、慌てて持てるだけの物を袋に詰め込んだ。
「こっちよ!」
メーシャと共に、二階のバルコニーへ出た。
非常用の梯子で、なんとか脱出に成功。
「ふぅ……。危なかったわ」
ホッとしたのも束の間。
屋敷の外にも毒が広がっており、まるで毒の沼地のような状態になっていた。
メーシャは明かりの魔法を唱え、遠くまで見渡す。
「嘘でしょ……?」
街中が毒まみれになっていた。
今日の夕方までは、こんな状態ではなかったのだ。
毒は徐々に溜まり、そして溢れる性質を持つ。
気づいた時には、もう遅いことが多い。
二人はなんとか、まだ毒の溢れていないエリアへと逃げた。
「マズいことになったわね……」
「メーシャ様……。どうしましょう」
「大丈夫よ。これだけ毒が溢れても、この辺りには毒が無い……。つまり、全く汚染されていないエリアなのよ!」
「ほ、本当ですか?」
「えぇ! 間違いないわ!」
それは間違いだった。
進行度に違いはあれど、この土地はすでに、全ての領域において汚染されている。
浄化魔法の使い手、数百人態勢で神経をとがらせ、敏感に察知し対処しない限り、あっという間に毒まみれになってしまう。
だからエスメラルダ家は、移動計画を立てていたのだ。
「とにかく保存食を集めなさい。土を運ぶためのキャリーにそれを乗せて、いつでも移動できるようにするわよ」
「え……?」
「どうしたのよ」
「そんなことより、今すぐこの領地から逃げるべきでは?」
「な~に焦ってるのよ。だからこのエリアは大丈夫なの。浄化魔法を学んだ私が言うんだから、信じなさい?」
「わ、わかりました……」
すぐ目の前には、毒で満ち溢れた地面。
この状況で信じることは、難しかった。
しかし、自分一人で逃げることも、心もとなかったセオリンは、渋々メーシャに従うことにした。
90
あなたにおすすめの小説
婚約破棄から始まる、ジャガイモ令嬢の優雅な畑生活
松本雀
恋愛
王太子から一方的な婚約破棄の書状を受け取ったその日、エリザベートは呟いた。
「婚約解消ですって?ありがたや~~!」
◆◆◆
殿下、覚えていらっしゃいますか?
あなたが選んだ隣国の姫のことではなく、
――私、侯爵令嬢エリザベートのことを。
あなたに婚約を破棄されて以来、私の人生は見違えるほど実り多くなりましたの。
優雅な所作で鍬を振り、ジャガイモを育て、恋をして。
私のことはご心配なく。土と恋の温もりは、宮廷の冷たい風よりずっと上等ですわ!
婚約者は迷いの森に私を捨てました
天宮有
恋愛
侯爵令息のダウロスは、婚約者の私ルカを迷いの森に同行させる。
ダウロスは「ミテラを好きになったから、お前が邪魔だ」と言い森から去っていた。
迷いの森から出られない私の元に、公爵令息のリオンが現れ助けてくれる。
力になると言ってくれたから――ダウロスを、必ず後悔させてみせます。
婚約破棄は綿密に行うもの
若目
恋愛
「マルグリット・エレオス、お前との婚約は破棄させてもらう!」
公爵令嬢マルグリットは、女遊びの激しい婚約者の王子様から婚約破棄を告げられる
しかし、それはマルグリット自身が仕組んだものだった……
婚約者を奪っていった彼女は私が羨ましいそうです。こちらはあなたのことなど記憶の片隅にもございませんが。
松ノ木るな
恋愛
ハルネス侯爵家令嬢シルヴィアは、将来を嘱望された魔道の研究員。
不運なことに、親に決められた婚約者は無類の女好きであった。
研究で忙しい彼女は、女遊びもほどほどであれば目をつむるつもりであったが……
挙式一月前というのに、婚約者が口の軽い彼女を作ってしまった。
「これは三人で、あくまで平和的に、話し合いですね。修羅場は私が制してみせます」
※7千字の短いお話です。
【完結】クラーク伯爵令嬢は、卒業パーティーで婚約破棄されるらしい
根古川ゆい
恋愛
自分の婚約破棄が噂になるなんて。
幼い頃から大好きな婚約者マシューを信じたいけれど、素直に信じる事もできないリナティエラは、覚悟を決めてパーティー会場に向かいます。
(完)親友なんて大嫌い!ーあなたは敵なの? 味方なの? (全5話)
青空一夏
恋愛
私はセント・マーガレット学園に通うアニエス・フィルム公爵令嬢。私の悩みは親友のベル・シクラメル公爵令嬢のこと。
普段はとても仲が良くて優しいのに、私のボーイフレンドをいつも横取りするわ。両親に言っても、ベルの味方ばかりする。だから私は修道院に入ってやった。これでもうベルなんかと関わらないで済むもんね。
そしたら・・・・・・
異世界中世ヨーロッパ風の残酷なしの恋愛物語。貴族社会でもある程度自由恋愛の許される世界です。幼い頃から婚約者を取り決める風習のない国です。
【完結】妹に婚約者を奪われた傷あり令嬢は、化け物伯爵と幸せを掴む
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
伯爵令嬢リューディアは侯爵家次男アルヴィと婚約が決まり友人に祝福されていた。親同士が決めたとはいえ、美しく人気のあるアルヴィとの婚約はリューディアにとっても嬉しいことだった。
しかし腹違いの妹カイヤはそれを妬み、母親と共謀してリューディアの顔に傷をつけた。赤く醜い跡が残り、口元も歪んでしまったリューディア。婚約は解消され、新たにカイヤと結び直された。
もう私の人生は終わったと、部屋に閉じこもっていたリューディア。その時、化け物のように醜い容姿の辺境伯から縁談が持ちかけられる。このままカイヤたちと一緒に暮らすぐらいならと、その縁談を受けることにした。
見合い当日、辺境伯は大きな傷があるリューディアに驚くが、お互いの利害が一致したことで二人は結婚を決意する。
顔と心に大きな傷を負ったヒロインが、優しいヒーローに溺愛されて癒されていくお話です。
※傷やあざの描写があります。苦手な方はご遠慮ください。
※溺愛タグは初めてなので、上手く表現できていないかもしれません。ゆるっと見守ってください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる