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光嫌病

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「うああ……。痛い……」
「うるさいわね……」
「だってぇ……。光がぁ……」
「もう、いいわよ。私一人で行くから。部屋に戻って」
「すまない……。ケスラ」

情けなく、うめき声をあげ、足を引きずりながら、フォーランが家に戻って行った。

……彼が、アモーリオ家の令息だと言って、信じる人はいるだろうか。
すっかり、老人のような動きをするようになってしまった。

一年前、フォーランの親戚を頼って、ここ、ボバーヌを訪れた。
親戚には、既に彼の父親から、連絡が届いていて……。
私たちは、追放こそされなかったものの、全く支援を受けることはできず。

死にかけの老夫婦が手放した、崩れかけの家を、タダ同然で譲ってもらい、二人で住んでいる。

それでも、日銭を稼いでいけば、なんとか生きていける状態ではあったが……。

不運なことに、三か月前、フォーランが、光嫌病にかかってしまった。
この病気は、罪を犯したものを、神が裁くために、罹患させるとも言われている、呪いのようなものだ。

私もいつか、発症するのではないかと、怯える日々を送っている。

光嫌病になると、光を浴びるたびに、体が痛むようになる。
程度は人によるが、一説によると、罪の重さが影響するらしい。

フォーランの症状は重く……。
太陽が出ている間は、全く外に出ることができない。

フォーランが動けなくなったせいで、日銭を稼ぐことすら、難しくなってきた。

エンバートへの違約金も払えなくなったが……。今のところ、催促はきていない。

フォーランはすっかり弱ってしまって、別人のように、ネガティブな発言が増えている。
前のように、毎晩求めてくるようなこともない。
それに関しては、ありがたかった。

この年齢になると、日々肌が劣化していき、とてもじゃないが、人に見せるような状態ではなくなってしまう。
おそらく、娼婦として、体を切り売りした影響が、出ているのだろう。

私は鍬を持って、いつもの場所に向かった。

ただひたすら、畑を耕すだけ……。

難しくない分、心が死んでいくようだった。

「おい罰当たりの嫁。もっと腰入れろ、腰」
「はいっ……」
「そうそう。サボってちゃダメなんだ。畑は見てるぞ」

この畑を管理している、ルーガイ男爵。
暴力こそ振るわないが、こうして畑で働いている、私やそれ以外の労働者に対して、モチベーションが下がるような小言を、何度も囁いてくるのだ。

肉体的にも身体的にも、辛すぎるこの仕事。
それでも私は……。
日々、生きるため、これを続けていくしかない。
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