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結婚

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家に戻ると、何やら騒がしかった。

不穏な騒がしさではなく、皆明るくて……。
メイトたちが、私を見ると、何やら嬉しそうに微笑むのだった。

「ユーラ。何があったの?」
「……」

ユーラは、顔を赤らめるばかりで、答えない。
……もしかして。

「レンドーン様から?」

ユーラが、黙って頷いた。

「おめでとう! 良かったじゃない!」
「お、お姉様。苦しいです……」

思いっきり、ユーラを抱きしめる。
そうか。レンドーン様……。男だなぁ。

……昨日、そういう話をしたばかりで、もう結婚を申し込むなんて。
このスピード感は、本当にずっと、ユーラのことを想っていなかったら、出来なかったと思う。

「ですが、今はまだ、婚約関係に……」
「それなら心配いらないわ。さっき王宮に行くついでに、婚約破棄の知らせを書いた紙を、バッテンガルムの国中にバラまいたから」
「えっ……。そ、そのようなことをしては、大変な騒ぎに」
「そうよ。だから、今日の夜で……。あの国を、終わらせる」
「お姉様……」

ユーラが、不安そうな顔をしている。

「今日、この国のみんなや、王族にも、知らせないといけないわ。……バッテンガルムのしてきたことを。私の魔法で、記録が残してある。この石にそれを込めておいたわ。どこか、壁に向かって投げると、その壁に映像が映し出されるようになっているの」
「き、記録? ですが、私がいじめられていたのは、過去のことで」
「そうよ。……彼女たちに制裁を加えるついでに、魔法で記憶を覗き込んで、それぞれ映像を、石に記録したの。これで、婚約の解消が正当で……。レンドーン様と新たに結婚することも、きっと認めてもらえるわ」
「……ありがとうございます」
「いいえ。あなたたちの幸せが、私にとっての幸せでもあるから」

国民にとっては、急な話で、困惑するかもしれないが……。

私が石に込めた、ユーラを虐めている瞬間の映像。
あれを見れば、きっと一気に、婚約が不当であったという世論になるはず。

元々、レンドーン様の名前は、この国でも、かなり知られているから……。
なんだかんだ、受け入れてくれるだろう。

「じゃあ、ユーラ。後は任せたわよ? 眠っている暇なんて、ないかもしれないけど」
「はい……。大丈夫です。今、とても幸せですから……」
「……うん、すごく良い笑顔ね。頑張って?」
「……お姉様も、ですよ」
「わかったわ……。行ってくるわね」

さて、私とて、眠っている暇はない。

国が滅ぶのであれば、夜が相応しいだろう。

シャガ―に復讐して……。

バッテンガルムをぶっ潰す。

行こう。平和のために。
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