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カーフ・インダストへの復讐

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「絶対に……。許しません。我が学園を……」

涙を浮かべながらも、まだカーフは、抵抗する意思を持っている。
その目は血走っており……。
もし、彼女が剣を持っていたら、斬りかかられていたのかもしれない。

そのくらいの、憎しみの強さを感じさせた。

……そんなに、伝統が大事なのだろうか。

「連絡はできずとも、遅かれ早かれ、王族が騒ぎに気が付くでしょう。そうでなくても、生徒たちが報告に向かうはずです。そうなれば……。あなたはすぐにでも、殺されてしまうでしょうね」
「あぁ。そう言えば、まだ名乗っていなかったわね…。私が誰であるか、もう気が付いているのかしら」
「……ユーラの、家族ですか」
「正解よ。ふふっ。さすが学園長さん」
「これは復讐でありません……。宣戦布告です! バッテンガルムに喧嘩を売ることが、どれほど愚かであるか、身をもっ――」

うるさかったので。
呼吸をするたび、全身に痛みが走る魔法をかけた。

「あっ、ぐぅううああっ!!! いがあ!!」

酷い痛みに襲われ、転げまわるカーフ。
痛みをこらえるため、呼吸しようとすると、さらに痛みがひどくなる。

このループで、永遠に苦しみ続ける魔法だ。

「がっ……」

カーフが失神した。
なので、魔法で意識を回復させる。

「あっえっ? …ぐううう!!!!」

まるで、獣のような叫び声をあげながら、のたうち回っている。

面倒なので、意識が途切れないようにする魔法をかけて……。

第一ホールに、転移させた。

これで……。学園はお終いだ。

ただ、カーフも言っていた通り、これはほとんど、宣戦布告に近い。
そうは言っても、バッテンガルムが、わが国に侵攻することは、無いと考えている。

この軍国が、たった一人の魔法使いに、易々と侵入を許し。
学園を……。崩壊させられた。

なんてことを知られたら、近隣諸国に対して、かなりの恥だろう。
まして、その魔法使いが、王太子の婚約者の姉ときた。

これだけ複雑な事情が重なれば。
おそらくバッテンガルムは、学園の崩壊を、他国に対して、隠ぺいする。
そして、ひっそりと軍の準備を進めてから。

……ユーラが裏切ったとか、適当な理由をつけて、ようやく侵攻してくるだろう。

今は突然の出来事に、動揺している上に。
シズリーという、優秀な魔法使いを失った痛手もある。
いくら血の気の多いバッテンガルムの軍でも、今攻めるべきではないことくらい、わかるはずだ。

だから私は……。
その間に、次の復讐を計画する。

ユーラをいじめていたやつは、まだまだいるはずだ。
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