あと一週間で、聖女の夫になることができたのに……。残念でしたね。

冬吹せいら

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ガナンド王子

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「おめでとう……。そして、これからは共にこの国を支えていこう。聖女ルイーザ・サンセットよ」
「はい……。ありがたきお言葉です」
「ははっ。そんなに緊張しなくていい。国王とは言っても、君の父親とそう変わらない年齢だからな」

モーデン様は、先代が早くに亡くなったので、王女様と結婚されてすぐに、国王となった。
若い国王は、民からも評判が良く……。
この国の治安は、とても安定している。

「さて、色々話すことがあるのだが……。まずは、私の息子を紹介させてくれ」

モーデン様が合図をすると、奥から一人の男性が姿を現した。

「ガナンドです。こんにちは」
「こ、こんにちは……」

ガナンド王子……。
こんなにも近くで、彼と会話をする日が来るなんて。

金色の髪がとても美しく、碧い瞳は、吸い込まれそうなほどに美しい。

「確か、ルイーザ殿は、ガナンドと同い年だったな」
「あっ……そうなのですね」
「同い年であれば、きっと話も合うだろう。是非、仲良くしてやってくれ」
「も、もちろんです!」
「よろしくお願いします。ルイーザ様」
「そんな。様だなんて……。ルイーザで十分でございます」
「だったら、僕のことも、ガナンドと呼んでくれますか?」
「む、無理です。一国の王子様を、呼び捨てなど……」

私がそう言うと、ガナンド様は優しく微笑んだ。

「聖女様は、王族と共に、国を守っていく存在……。その立場は、同列にあると見るのが、自然かと思われます」
「そうでしょうか……」
「うむ。そもそも、聖女が生まれること自体、珍しいのだ……。本来であれば、我々の方が、敬うべきですらあると思う」
「そんなことはありません。私は……」
「だから、どうだろう。僕たちはこうして……。同じように、会話するというのは」
「……はい」
「……よろしく。ルイーザ」
「よ……。よろしく。ガナンド」
「はっはっは! 微笑ましいなぁ。まるで、私の若いころを見ているようだよ。ガナンドのように、少々引っ込み思案な子供でね」
「お、お父様……」

ガナンドが、頬を赤くした。
こんなに素晴らしい人と……。対等に話し合えるなんて。
今でも現実なのか、信じられないほどだ。

「……ゴホンッ。さて、と。ここからは、少し真面目な話になるのだが」

モーデン様の表情が、急に険しくなった。

「シルバード、ベルリンド……。両家への対処についてだ」

……とうとう、この時が来てしまった。

私が聖女として、初めて人を裁く日が、もうそこまで近づいているらしい。
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