田舎娘をバカにした令嬢の末路

冬吹せいら

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ディアナのその後

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「こんなこともできないのか……」
「……ごめんなさい」

学園を退学になってから、しばらくして始めた、秘書の仕事は、思っていたよりも大変だった。
ただ、貴族同士のやり取りを、横で見ていれば良いだけだと思ったのに。

メモを取ったり、適切な方向に、会話を促したり……。
また時には、争いの仲裁をしないといけなかったり……。

私みたいな、プライドの高い人間には、全く向いていない。
カッとなると、すぐに魔法を使いたくなる。

……というか、何回か使った。
そのせいで、何度も何度もクビになった。

「君、もういいよ。カルホーン家の娘だと言うから、どれほど有能であるか、期待したが……。失望した」
「すいません……」
「せっかく顔がしっかりしてるのに、もったいない。君の容姿があれば、ただ猫なで声を出しているだけでも、まとまる商談があるというのに……」

雇い主の、太ったハゲが、ため息をつきながら言った。

……ふざけないでよ。
どうして、この私が、男に媚びるようなことを、しないといけないの?

元とは言え、王子の婚約者だったのよ?

そんな考えだったら、娼婦でも雇えばいい。
秘書なんか雇うな。バカ。

「ほら。さっさと出て行きなさい。もう用済みだよ」
「……失礼します」

無駄に広い屋敷を出る前に、建物が老朽化する魔法をかけてやった。
食べ物に、毒魔法をかけてやってもよかったけど。

……バレたら面倒だし。やめておく。

「あっ……」

屋敷を出て、ふらふらと、あてもなく歩いていると。
たまたま、学園の前を通りがかってしまった。

風の噂では、オーロラ・レンジ―が、首席で卒業したんだとか。
彼女に負けたのが、遠い昔のように感じる。
もし、あの時。素直に試験を受けていたら……。

二位は無理でも、ギリギリ合格することくらいは、できたかもしれない。
必死に努力していたら、一番でなくても、お父様はその努力を認めてくれたかも。

何より……。
そうでなくても、きっと、ナイザー様との関係は、続いていた。

自分の能力の無さを悲観して、試験官を買収するという、最悪の手段を選んでしまった私。
そのせいで、全てを失ってしまった。

やり直せるなら、あの頃に戻りたい。
……だけど、時間を戻す魔法は、世の中には存在しないのだ。

家に帰れば、お父様に慰められる。
あれ以来、お父様は、一切私を叱らなくなった。
だからこうして、何度も何度も、紹介してもらった仕事を失敗する。

次の仕事も、どうせ上手くいかないんだ。

結婚なんて、できるはずもない。
きっと……。オーロラは、素晴らしい夫をもらうんだろうなぁ。
悔しい……。あんな田舎娘……。

私は、涙を流しながら、帰路についた。
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