田舎娘をバカにした令嬢の末路

冬吹せいら

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明かされた事実

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「嘘です……。そんなこと、あってはならない」
「こんなことになったのは、君を強くしてあげられなかった、僕の責任でもある」
「違います! 責任など……。ナイザー様? こんなことは、何かの間違いです。婚約を解消するだなんて……。おかしいです」

ナイザー様が、首を横に振った。

「元々この婚約は、僕たちの親同士で取り決められたものだ。……解消するのも、親同士の勝手になってしまう」
「嫌です……。私、ナイザー様のことを、心から愛しておりますのに!」
「すまない……。僕は正直、父上が、君との婚約を解消すると言ったとき……。何も思わなかった」

ショックすぎて、目の前が真っ白になった。
あんなに、好きだと言ってくれたのに。
あんなに、頭を撫でて、可愛いと言ってくれたのに。

「……目の前で、糞尿を漏らしたからですか?」
「そ、そういうわけじゃ……」
「そういうわけでしょう!? 私は何も変わっていない! ただ学園を退学になっただけ! それなのに、どうして……」
「……君は、謙虚だったよ。すごく」
「……え?」

ナイザー様が、私を諭すように語り始める。

「自分に能力が無いと知りながら、入学試験の少し前まで、血の滲むような努力をして、少しづつ成長していた。だけど君は、これでは間に合わない、力が足りないと言い続け、倒れそうになりながらも、鍛錬を続けていたね」

そんなことも……。あったかな。
だいたい、入学試験の一週間くらい前までは、真剣に頑張っていた。
だけど……。

「実際、あの名門、バッテンデン学園に、一番ではなかったにしても、合格できるレベルまで、成長してみせたのだから、本当に尊敬していたよ……。だけど、事実は違った」
「事実……?」
「君を担当していた試験官が……。口を割ったんだ」

……え?
あっ……。

――終わった。

完全に、私の人生が終了した。

「オーロラが試験官を買収していたのではなく、君が試験官を買収していたんだね……。あの模擬戦を見た学園長が、君の実力を疑って、試験官を務めた教員全員に、調査をしたそうだ。そしたら……。最悪の事実が、明らかになった」
「違うんです。ナイザー様。私は――」
「何も違わない!」
「ひぅ……」

ナイザー様に、怒られたことなど、一度も無かった。
私はみっともなく、涙を流す。

「何があっても、君を信じた。模擬戦で君が負けた後も、色々動いて、なんとか君の居場所を作ろうとしたのに……。こんな形で裏切られるとはね」

呆れたように、ナイザー様が笑った。

「嫌です。ナイザー様。私たち、結婚……」
「……誰が、君のような女性と、結婚したいと思うんだ」
「……」

あぁ。
頭が痛い。
お腹も痛い。

そして何より、心が……。

「……受け入れてくれるかな。ディアナ」
「受け入れないと言ったら?」
「……さぁね」
「……さようなら」

私は手を振ることも無く。
頭を下げることも無く。

自分の部屋に戻った。

そして、オーロラに負けた日のように。
ベッドに入って、泣き叫んだ。
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