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反撃
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「おはようオーロラ」
「あっ……。うん。おはようディアナ」
なぜか笑顔のディアナに、校門前で呼び止められた。
というか、まるで私を待ち伏せしていたみたいだ。
「ここで話をしていても、人目についてしまうから……。向こうに行きましょう?」
「そ、そうだね……」
怖いな……。
脅されたりとか、するのかな。
ディアナに連れられて、人目につかない場所へやってきた。
「あのね? オーロラ。昨日はあんなことを言ったけれど……。別に、本当にあなたの方が、私より実力が上ならば、何も問題なんてないの」
「うん……」
「でもね? もし嘘だとか、手違いとかがあったら、大問題じゃない」
「そうだね」
「それを正すための戦いなの。わかる?」
「わかってるよ」
やけに口調が優しい。
なんだか、笑顔がうさんくさいし……。
一体、どういうつもりなんだろう。
あえて油断させて、本番では全力で向かってくるとか?
「私の家……。カルホーン家は、昨日も言ったとおり、みんな一番の成績を取って、この学校に入学しているの」
「すごいね」
「すごくなんてないわ。当然だもの」
髪をなびかせて、得意げに振る舞うディアナ。
「だから……。私にも、プライドっていうものがあるの。それは理解してくれる?」
「もちろん。わかってるつもりだよ」
「そう。嬉しいわ」
……やっぱり、なんとなく、笑顔が嘘っぽいんだよね。
それと、もう一つ気になっていることがある。
さっきから、ディアナのカバンの中に……。
禍々しい魔力を感じるというか。
決して良くない何かが、入っている。
「じゃ、じゃあ。私はこれで」
「待ちなさい」
手を引っ張られ、止められた。
「なに?」
「これをね。あなたに食べてほしいの」
ディアナが、カバンから取り出したのは……。
……明らかに、よろしくない魔法がかかっている、林檎だった。
気づかないとでも思ってるのかな……。
「あ、ありがとう」
私は林檎を受け取り、去ろうとする。
だけど、また止められてしまった。
「目の前で食べて欲しいの」
「えっと……。お腹が空いてなくて」
「お願いよ。ね?」
「……わかった」
林檎を一口かじると、さらにかけられている魔法の詳細が、わかるようになった。
どうやら、胃の中に入ったあと、ディアナの好きなタイミングで、林檎にかけた魔法を、暴走させることができるらしい。
多分、腹を下すとか、そういう魔法なんだろうな……。
卑怯すぎるけど、でも、なんだか可哀そうだし、気が付かないフリをしてあげよう。
ディアナが、不敵な笑みを抑えきれなくなっている。
「ふふっ。じゃあ、またあとで……」
こちらに手を振って、去って行った。
私はお腹に手を当て……。
魔法の力で、ディアナの胃袋に、今食べた林檎と、食べる前のものも含めて、全て移した。
ごめんねディアナ。
私だって、少しは反撃させてもらうから。
「あっ……。うん。おはようディアナ」
なぜか笑顔のディアナに、校門前で呼び止められた。
というか、まるで私を待ち伏せしていたみたいだ。
「ここで話をしていても、人目についてしまうから……。向こうに行きましょう?」
「そ、そうだね……」
怖いな……。
脅されたりとか、するのかな。
ディアナに連れられて、人目につかない場所へやってきた。
「あのね? オーロラ。昨日はあんなことを言ったけれど……。別に、本当にあなたの方が、私より実力が上ならば、何も問題なんてないの」
「うん……」
「でもね? もし嘘だとか、手違いとかがあったら、大問題じゃない」
「そうだね」
「それを正すための戦いなの。わかる?」
「わかってるよ」
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なんだか、笑顔がうさんくさいし……。
一体、どういうつもりなんだろう。
あえて油断させて、本番では全力で向かってくるとか?
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「すごいね」
「すごくなんてないわ。当然だもの」
髪をなびかせて、得意げに振る舞うディアナ。
「だから……。私にも、プライドっていうものがあるの。それは理解してくれる?」
「もちろん。わかってるつもりだよ」
「そう。嬉しいわ」
……やっぱり、なんとなく、笑顔が嘘っぽいんだよね。
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決して良くない何かが、入っている。
「じゃ、じゃあ。私はこれで」
「待ちなさい」
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「なに?」
「これをね。あなたに食べてほしいの」
ディアナが、カバンから取り出したのは……。
……明らかに、よろしくない魔法がかかっている、林檎だった。
気づかないとでも思ってるのかな……。
「あ、ありがとう」
私は林檎を受け取り、去ろうとする。
だけど、また止められてしまった。
「目の前で食べて欲しいの」
「えっと……。お腹が空いてなくて」
「お願いよ。ね?」
「……わかった」
林檎を一口かじると、さらにかけられている魔法の詳細が、わかるようになった。
どうやら、胃の中に入ったあと、ディアナの好きなタイミングで、林檎にかけた魔法を、暴走させることができるらしい。
多分、腹を下すとか、そういう魔法なんだろうな……。
卑怯すぎるけど、でも、なんだか可哀そうだし、気が付かないフリをしてあげよう。
ディアナが、不敵な笑みを抑えきれなくなっている。
「ふふっ。じゃあ、またあとで……」
こちらに手を振って、去って行った。
私はお腹に手を当て……。
魔法の力で、ディアナの胃袋に、今食べた林檎と、食べる前のものも含めて、全て移した。
ごめんねディアナ。
私だって、少しは反撃させてもらうから。
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