田舎娘をバカにした令嬢の末路

冬吹せいら

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ありえない話

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会場にいる全員の視線が、私に行ったり、ナイザー王子に行ったり……。
私も含め、困惑している。

ただ一人、ナイザー王子だけが、堂々とした様子で、私を見つめていた。

そこで一つ、私は思い当たることがあった。
なので、それを謝罪しようと思う。

「すいません。ナイザー王子。特待生として入学した生徒は、王族に、魔法のお披露目をする必要があるそうですね。私、うっかりそれを忘れてしまっていて……。明日にでも、城へ顔を出そうと思っていたのですが」

まだ入学前だから、厳密には良いはずだけど。
まさか、王子が同じ学校にいるとは、思わなかった。
きっと、挨拶が遅れていることを、怒っているのだろう。

「いいや。僕はそんなことを言ってるんじゃないよ」

違った。良かった……。
いや、良くない。
じゃななんで、私はナイザー王子に、不正を疑われているんだ。

「オーロラ。君が、試験で不正をした可能性がある……。そういう話をしたいんだ」
「えぇ。ですから、私が王族に魔法を見せにいかなかったから、そう思われたのでしょう?」
「……実は。そうじゃなくて。本人に直接聞いた方が、早いだろう。ディアナ。来てくれ」

ナイザー王子に呼ばれ……。
会場の後ろの方から、美しい女性が、姿を現した。

美しいけど……。
なんか性格悪そう。
背が高くて、ちょっと痩せてて、釣り目で……。
偏見だけど、気が強そうっていうか。

私の魔法を使えば、そういう性格とか、全部わかっちゃうけど。
勝手に覗くのは、失礼だし、やめておこうと思う。

「ディアナ。本来であれば、君が入学試験の成績で、一位だったんはずなんだよね?」
「そうなのです……」

わざとらしく、ディアナが泣き始めた。

「……ナイザー。どうしてそう判断した?」

学園長が、半ば呆れた様子で、そう尋ねた。
すると、ナイザー王子は、自信満々に、こう答えた。

「彼女が……。試験の最中に、オーロラが、試験官に金を渡したところを、見たらしいのです」

えっ……。
そんな。ありえない。
そもそも、小国の生まれである私が、試験官を買収できる金なんて、持っているわけがないじゃないか。

会場が、ざわつき始めた。

「静かに。静かにしたまえ」

学園長が、困ったように、頭を掻いた。

「ディアナ。それは真実かい?」
「はい。間違いありません。この目でしっかりと、確認しました」
「……そうか」

ディアナは、あんなことを言っているけれど。
実を言うと、私は、全く動揺していなかった。

なぜなら……。

「しかし。私はたまたま、オーロラが試験を受ける現場に居合わせたが、特に不正はしていなかったからなぁ……」
「えっ?」

ディアナが、目を見開いた。
そう。あの時、学園長は、私が試験を受ける姿を見ている。
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