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裏切り

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どうして、バレット様が……。
そう尋ねたかったのに、声が出なかった。

「……そういうことか」

その代わりに、マリッカが呟いた。
バレット様が馬を降りて、こちらに近づいてくる、

「君は……。見覚えがないな」
「うん。出身が違うから……。お姉ちゃんと同じで」
「なるほど。巻き込んでしまって、すまなかったな……」

どういうことなんだ……。

そう思っていたら、次々とボボリバエルの兵たちがやってきて、子供たちの支援に向かって行く。

「ロベリア。悪いが、君を利用させてもらったよ」
「えっ……」

利用……?
一体、バレット様は、何を――。

「おっす! バレット様! 全く奴隷のフリも疲れたぜ……」
「……フリ?」
「そうそう。僕とか、アリッサとか。マリッカとロベリア以外は、みんなボボリバエルの産まれなんだ」
「……?」
「逆に言えば、だから生き残れたんだぜ? ロベリアは必死だったから、気が付かなかったかもしれないけどさ。僕たち、全然仕事してなかったし。見張りの兵も、僕たちも、スパイなんだよ」

そんな……。
じゃあ、本当の意味で生き残っていたのは、私たちだけ?

「彼らには、情報屋として、動いてもらっていたんだ。ここは資源も豊富で、是非手に入れたい地形だから、父も躍起になっていて……」
「で、まぁグダグダ奴隷のフリをしていたところ……。ロベリアが、聖女に目覚めたってわけだ」

ベレンはニコニコしながら、話を続ける。

「聖女の認定は特殊で、絶対に強いスキルに目覚められるんだよな。そのおかげで、僕たちは予想もしてなかった力を手に入れた。だから、思ってたよりも早く、この国を制圧できた……。全部ロベリアのおかげだよ。ありがとう」

ベレンが伸ばしてきた手を、マリッカが振り払った。

「……マリッカ。お前は認知を手に入れたから、どうやら気が付いてたみたいだな」
「最低な奴ら。力を与えてくれた人を騙すなんて」
「だってさ~。素直に、この国を乗っ取りますなんて言っても、聖女様がノッてくれるわけないだろ?」
「……」
「ロベリア。マリッカ。すまないが、君たちはしばらく、ボボリバエルの牢獄で過ごしてもらう」

牢獄……?

「どうしてですか。私たちは、何も」
「……父の命令なんだ。すまない」
「んじゃ、僕はもう少しだけ、兵を痛めつけてから、国に戻ることにするよ」

ベレンが武器を持って、王宮の中に入って行った……。
そして、私たちは、兵に拘束され、馬車に乗せられる。

あまりの出来事に、私は気を失ってしまった。
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