14 / 19
裏切り
しおりを挟む
どうして、バレット様が……。
そう尋ねたかったのに、声が出なかった。
「……そういうことか」
その代わりに、マリッカが呟いた。
バレット様が馬を降りて、こちらに近づいてくる、
「君は……。見覚えがないな」
「うん。出身が違うから……。お姉ちゃんと同じで」
「なるほど。巻き込んでしまって、すまなかったな……」
どういうことなんだ……。
そう思っていたら、次々とボボリバエルの兵たちがやってきて、子供たちの支援に向かって行く。
「ロベリア。悪いが、君を利用させてもらったよ」
「えっ……」
利用……?
一体、バレット様は、何を――。
「おっす! バレット様! 全く奴隷のフリも疲れたぜ……」
「……フリ?」
「そうそう。僕とか、アリッサとか。マリッカとロベリア以外は、みんなボボリバエルの産まれなんだ」
「……?」
「逆に言えば、だから生き残れたんだぜ? ロベリアは必死だったから、気が付かなかったかもしれないけどさ。僕たち、全然仕事してなかったし。見張りの兵も、僕たちも、スパイなんだよ」
そんな……。
じゃあ、本当の意味で生き残っていたのは、私たちだけ?
「彼らには、情報屋として、動いてもらっていたんだ。ここは資源も豊富で、是非手に入れたい地形だから、父も躍起になっていて……」
「で、まぁグダグダ奴隷のフリをしていたところ……。ロベリアが、聖女に目覚めたってわけだ」
ベレンはニコニコしながら、話を続ける。
「聖女の認定は特殊で、絶対に強いスキルに目覚められるんだよな。そのおかげで、僕たちは予想もしてなかった力を手に入れた。だから、思ってたよりも早く、この国を制圧できた……。全部ロベリアのおかげだよ。ありがとう」
ベレンが伸ばしてきた手を、マリッカが振り払った。
「……マリッカ。お前は認知を手に入れたから、どうやら気が付いてたみたいだな」
「最低な奴ら。力を与えてくれた人を騙すなんて」
「だってさ~。素直に、この国を乗っ取りますなんて言っても、聖女様がノッてくれるわけないだろ?」
「……」
「ロベリア。マリッカ。すまないが、君たちはしばらく、ボボリバエルの牢獄で過ごしてもらう」
牢獄……?
「どうしてですか。私たちは、何も」
「……父の命令なんだ。すまない」
「んじゃ、僕はもう少しだけ、兵を痛めつけてから、国に戻ることにするよ」
ベレンが武器を持って、王宮の中に入って行った……。
そして、私たちは、兵に拘束され、馬車に乗せられる。
あまりの出来事に、私は気を失ってしまった。
そう尋ねたかったのに、声が出なかった。
「……そういうことか」
その代わりに、マリッカが呟いた。
バレット様が馬を降りて、こちらに近づいてくる、
「君は……。見覚えがないな」
「うん。出身が違うから……。お姉ちゃんと同じで」
「なるほど。巻き込んでしまって、すまなかったな……」
どういうことなんだ……。
そう思っていたら、次々とボボリバエルの兵たちがやってきて、子供たちの支援に向かって行く。
「ロベリア。悪いが、君を利用させてもらったよ」
「えっ……」
利用……?
一体、バレット様は、何を――。
「おっす! バレット様! 全く奴隷のフリも疲れたぜ……」
「……フリ?」
「そうそう。僕とか、アリッサとか。マリッカとロベリア以外は、みんなボボリバエルの産まれなんだ」
「……?」
「逆に言えば、だから生き残れたんだぜ? ロベリアは必死だったから、気が付かなかったかもしれないけどさ。僕たち、全然仕事してなかったし。見張りの兵も、僕たちも、スパイなんだよ」
そんな……。
じゃあ、本当の意味で生き残っていたのは、私たちだけ?
「彼らには、情報屋として、動いてもらっていたんだ。ここは資源も豊富で、是非手に入れたい地形だから、父も躍起になっていて……」
「で、まぁグダグダ奴隷のフリをしていたところ……。ロベリアが、聖女に目覚めたってわけだ」
ベレンはニコニコしながら、話を続ける。
「聖女の認定は特殊で、絶対に強いスキルに目覚められるんだよな。そのおかげで、僕たちは予想もしてなかった力を手に入れた。だから、思ってたよりも早く、この国を制圧できた……。全部ロベリアのおかげだよ。ありがとう」
ベレンが伸ばしてきた手を、マリッカが振り払った。
「……マリッカ。お前は認知を手に入れたから、どうやら気が付いてたみたいだな」
「最低な奴ら。力を与えてくれた人を騙すなんて」
「だってさ~。素直に、この国を乗っ取りますなんて言っても、聖女様がノッてくれるわけないだろ?」
「……」
「ロベリア。マリッカ。すまないが、君たちはしばらく、ボボリバエルの牢獄で過ごしてもらう」
牢獄……?
「どうしてですか。私たちは、何も」
「……父の命令なんだ。すまない」
「んじゃ、僕はもう少しだけ、兵を痛めつけてから、国に戻ることにするよ」
ベレンが武器を持って、王宮の中に入って行った……。
そして、私たちは、兵に拘束され、馬車に乗せられる。
あまりの出来事に、私は気を失ってしまった。
0
お気に入りに追加
156
あなたにおすすめの小説
【完結・全7話】囚われ姫の結婚の約束
幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・婚約破棄・ざまぁ】
(2024.4.3 HOTランキング94位ありがとうございます。)
一人の騎士が、魔物に攫われていたお姫様を10年ぶりに救出した!
それは国を挙げてのビッグニュースだった!
……が、当の救い出されたお姫様にとっては、あんまりいい話ではなかったみたい。
お姫様は『姫を助け出した者と姫を結婚させる』という王様の約束が気に入らないらしい。
「あんな貧乏騎士なんて、自分にはふさわしくないわ!」とか何とか(※ワガママ!怒)。
『このお姫様、絶対に地雷!』 やめた方がいい……!!
非テンプレ、ハッピーエンドです──(笑)
設定ゆるいです。
お気軽に読みに来ていただけたらありがたいです。(お手柔らかによろしくお願いいたします汗)
小説家になろう様でも公開しています。
婚約破棄されたので初恋の人と添い遂げます!!~有難う! もう国を守らないけど頑張ってね!!~
琴葉悠
恋愛
これは「国守り」と呼ばれる、特殊な存在がいる世界。
国守りは聖人数百人に匹敵する加護を持ち、結界で国を守り。
その近くに来た侵略しようとする億の敵をたった一人で打ち倒すことができる神からの愛を受けた存在。
これはそんな国守りの女性のブリュンヒルデが、王子から婚約破棄され、最愛の初恋の相手と幸せになる話──
国が一つ滅びるお話。
婚約破棄?お黙りなさいと言ってるの。-悪役令嬢イレーナ・マルティネスのおとぎ話について-
田中冥土
恋愛
イレーナ・マルティネスは代々女性当主の家系に生まれ、婿を迎えることとなっていた。
そのような家柄の関係上、イレーナは女傑・怪女・烈婦などと好き放題言われている。
しかしそんな彼女にも、近頃婚約者が平民出身の女生徒と仲良くしているように見えるという、いじらしくそして重大な悩みを抱えていた。
小説家になろうにも掲載中。
根暗令嬢の華麗なる転身
しろねこ。
恋愛
「来なきゃよかったな」
ミューズは茶会が嫌いだった。
茶会デビューを果たしたものの、人から不細工と言われたショックから笑顔になれず、しまいには根暗令嬢と陰で呼ばれるようになった。
公爵家の次女に産まれ、キレイな母と実直な父、優しい姉に囲まれ幸せに暮らしていた。
何不自由なく、暮らしていた。
家族からも愛されて育った。
それを壊したのは悪意ある言葉。
「あんな不細工な令嬢見たことない」
それなのに今回の茶会だけは断れなかった。
父から絶対に参加してほしいという言われた茶会は特別で、第一王子と第二王子が来るものだ。
婚約者選びのものとして。
国王直々の声掛けに娘思いの父も断れず…
応援して頂けると嬉しいです(*´ω`*)
ハピエン大好き、完全自己満、ご都合主義の作者による作品です。
同名主人公にてアナザーワールド的に別な作品も書いています。
立場や環境が違えども、幸せになって欲しいという思いで作品を書いています。
一部リンクしてるところもあり、他作品を見て頂ければよりキャラへの理解が深まって楽しいかと思います。
描写的なものに不安があるため、お気をつけ下さい。
ゆるりとお楽しみください。
こちら小説家になろうさん、カクヨムさんにも投稿させてもらっています。
婚約者に「愛することはない」と言われたその日にたまたま出会った隣国の皇帝から溺愛されることになります。~捨てる王あれば拾う王ありですわ。
松ノ木るな
恋愛
純真無垢な心の侯爵令嬢レヴィーナは、国の次期王であるフィリベールと固い絆で結ばれる未来を夢みていた。しかし王太子はそのような意思を持つ彼女を生意気と見なして疎み、気まぐれに婚約破棄を言い渡す。
伴侶と寄り添う心穏やかな人生を諦めた彼女は悲観し、井戸に身を投げたのだった。
あの世だと思って辿りついた先は、小さな貴族の家の、こじんまりとした食堂。そこには呑めもしないのに酒を舐め、身分社会に恨み節を唱える美しい青年がいた。
どこの家の出の、どの立場とも知らぬふたりが、一目で恋に落ちたなら。
たまたま出会って離れていてもその存在を支えとする、そんなふたりが再会して結ばれる初恋ストーリーです。
【完結】処刑後転生した悪女は、狼男と山奥でスローライフを満喫するようです。〜皇帝陛下、今更愛に気づいてももう遅い〜
二位関りをん
恋愛
ナターシャは皇太子の妃だったが、数々の悪逆な行為が皇帝と皇太子にバレて火あぶりの刑となった。
処刑後、農民の娘に転生した彼女は山の中をさまよっていると、狼男のリークと出会う。
口数は少ないが親切なリークとのほのぼのスローライフを満喫するナターシャだったが、ナターシャへかつての皇太子で今は皇帝に即位したキムの魔の手が迫り来る…
※表紙はaiartで生成したものを使用しています。
モブ公爵令嬢は婚約破棄を抗えない
家紋武範
恋愛
公爵令嬢であるモブ・ギャラリーは、王太子クロード・フォーンより婚約破棄をされてしまった。
夜会の注目は一斉にモブ嬢へと向かうがモブ嬢には心当たりがない。
王太子の後ろに控えるのは美貌麗しいピンクブロンドの男爵令嬢。
モブ嬢は自分が陥れられたことに気づいた──。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる