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結ばれる二人
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「どうしてこうなってしまったのでしょう」
「さぁ。あなたがとっても運が良いことだけは確かです」
「……」
確かに、階段から落ちても無傷だったことは、幸運かもしれない。
しかし……。
こうして南の国の王子と共に、船に揺られている現状は、果たして幸運と言えるだろうか。
普段はなんとか理由をつけ、顔を合わせることを避けてきたリンダ。
しかし今回は、助けてもらった手前、要求を断ることができなかったのだ。
テオが要求したのは、少しの間彼とデートすること。
そして、今に至る。
「今頃私は、大好きな本を整頓し、番号順に並べている予定でしたのに」
「……姫様。それは本当ですか?」
「恋愛には興味が無いのです。……あなたが魅力的だということは理解していますが、縁が無かったと思ってください」
「なぜそうまでして、恋愛を拒むのですか?」
「……自分を変えたくないのです」
なるほど……。
と、小さく呟きながら、テオは頷いた。
「それは僕も同じです」
「え?」
「相手を愛するが故に、自分自身のしたいことができなくなってしまう……。それは確かに、腹が立つし、なんとしても避けたいことですよね」
「でしたら、どうして私なんかを……」
「……そんな思考をあっさりと乗り越えるほどに、あなたが魅力的に思えたからです」
テオは真っすぐリンダを見つめ、真面目な顔で言った。
「な……。あなたは、私と話すのは今日が初めてのはずですが?」
「そうですね。しかし……。話は聞いておりますし、顔を合わせたことは何度もあるでしょう? 毎度毎度、目が合うたびに逃げられてきましたが……」
まだ目を離さない。
嫌だったら、逸らせばいい。
しかしなぜだか、リンダは目を背けることができなかった。
「あっ、どうやら着いたようです」
船が止まったのは、小さな島。
大きな樹が、中央に一本立っているだけである。
「なぜここに?」
「何かあると、僕はここにやってくるんです」
「はぁ……」
「こうして、木に背中を預けて……」
テオは、空を見上げた。
リンダは首を傾げるばかりである。
「同じように、やってみてください」
位置を入れ替わり、今度はリンダが、空を見上げる。
すると――。
揺れる葉の隙間から差し込む光。
そして、綺麗な青空。
波の音が、心地よく耳に響く。
「……あなたに拒まれるたびに、同じように空を見上げてきました」
「別に、拒んでは……」
「これで、最後にします」
「え――」
「必ずあなたを幸せにします。嫌だなと思ったら、すぐにでも国王様に突き出していただいて構いません。だから……。少しでも良いので、僕と時間を共有してくれませんか?」
リンダの心臓が、おかしな鼓動を刻み始めた。
感じたことの無い衝動。
それが怖くて、手が震える。
「……お願いします」
跪いたテオが、優しくその手を握る。
まるでそこだけ、焚火に手をかざしているかのように、あったかくなった。
その正体を、もっと知りたいという好奇心が、体の奥底から湧いてくる。
気が付くとリンダは、首を縦に振っていた。
「さぁ。あなたがとっても運が良いことだけは確かです」
「……」
確かに、階段から落ちても無傷だったことは、幸運かもしれない。
しかし……。
こうして南の国の王子と共に、船に揺られている現状は、果たして幸運と言えるだろうか。
普段はなんとか理由をつけ、顔を合わせることを避けてきたリンダ。
しかし今回は、助けてもらった手前、要求を断ることができなかったのだ。
テオが要求したのは、少しの間彼とデートすること。
そして、今に至る。
「今頃私は、大好きな本を整頓し、番号順に並べている予定でしたのに」
「……姫様。それは本当ですか?」
「恋愛には興味が無いのです。……あなたが魅力的だということは理解していますが、縁が無かったと思ってください」
「なぜそうまでして、恋愛を拒むのですか?」
「……自分を変えたくないのです」
なるほど……。
と、小さく呟きながら、テオは頷いた。
「それは僕も同じです」
「え?」
「相手を愛するが故に、自分自身のしたいことができなくなってしまう……。それは確かに、腹が立つし、なんとしても避けたいことですよね」
「でしたら、どうして私なんかを……」
「……そんな思考をあっさりと乗り越えるほどに、あなたが魅力的に思えたからです」
テオは真っすぐリンダを見つめ、真面目な顔で言った。
「な……。あなたは、私と話すのは今日が初めてのはずですが?」
「そうですね。しかし……。話は聞いておりますし、顔を合わせたことは何度もあるでしょう? 毎度毎度、目が合うたびに逃げられてきましたが……」
まだ目を離さない。
嫌だったら、逸らせばいい。
しかしなぜだか、リンダは目を背けることができなかった。
「あっ、どうやら着いたようです」
船が止まったのは、小さな島。
大きな樹が、中央に一本立っているだけである。
「なぜここに?」
「何かあると、僕はここにやってくるんです」
「はぁ……」
「こうして、木に背中を預けて……」
テオは、空を見上げた。
リンダは首を傾げるばかりである。
「同じように、やってみてください」
位置を入れ替わり、今度はリンダが、空を見上げる。
すると――。
揺れる葉の隙間から差し込む光。
そして、綺麗な青空。
波の音が、心地よく耳に響く。
「……あなたに拒まれるたびに、同じように空を見上げてきました」
「別に、拒んでは……」
「これで、最後にします」
「え――」
「必ずあなたを幸せにします。嫌だなと思ったら、すぐにでも国王様に突き出していただいて構いません。だから……。少しでも良いので、僕と時間を共有してくれませんか?」
リンダの心臓が、おかしな鼓動を刻み始めた。
感じたことの無い衝動。
それが怖くて、手が震える。
「……お願いします」
跪いたテオが、優しくその手を握る。
まるでそこだけ、焚火に手をかざしているかのように、あったかくなった。
その正体を、もっと知りたいという好奇心が、体の奥底から湧いてくる。
気が付くとリンダは、首を縦に振っていた。
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