4 / 13
リンダの協力者
しおりを挟む
「……なるほど」
ギルダスから事情を聞いた国王――カイサル・アイバーンは、立派に蓄えた髭を撫でながら、余裕の笑みを浮かべた。
「さすがは我が弟の娘だ。多少は頭が働くようだな」
「ありがとうございます」
笑いもせず礼を言ったリンダを、カイサルが睨みつける。
「いくら欲しいんだ。よほど金に困っていなければ、このような国家を揺るがしかねない行動をとるはずもなかろう」
ギルダスと違って、カイサルはリンダの思惑に気が付いていた。
「事業に失敗したか? それとも奴隷を逃がしてしまったとか。あるいは優秀な魔法使いに家を燃やされただとかも良いな」
「はっはっは! 父上! そんなことが起きていたら、今頃大騒ぎでございますよ!」
「がっはっは!」
リンダはため息をついた。
このバカな親子は、笑いのツボもおかしい上に、頭が悪い。
カイサルは多少勘が働くが、基本的な能力は非常に低い男だ。
「はした金など、必要ありません。……もっとも、国家の予算と同じほどの額でしたら、話は別ですが」
今度はリンダが、皮肉を言った。
ニヤっと、口角を不気味に上げる。
ギルダスはリンダの醸し出す雰囲気に、少し恐れをなした様子。
一方カイサルは、髭から手を離し……。
玉座の横に忍ばせてあった短剣を手に取った。
「死ぬぞ。貴様」
短剣の切っ先をリンダに向け、低い声で威圧する。
「魔法使いの水晶? 呆れる。そのような物に映し出された映像など、民は偽造した映像としか思わぬよ」
「なるほど! さすが父上!」
「うむ。冷静に考えればわかる話だろう?」
「……ふふっ」
「……何がおかしい」
リンダはしなやかな手の動きで、煽るように拍手をした。
完全な挑発だ。
「どうやら、死ぬ覚悟があるらしいな」
「えぇ。だって……ははっ! 水晶に映像を閉じ込めたのは、一体誰のなのか……。お教えしないといけませんから」
「なにぃ?」
リンダが使用人に合図すると、使用人が部屋を出た。
そして――。
一人の老人を連れて戻ってきた。
老人と言っても、背筋は真っすぐに伸びており、カイサルよりもさらに立派な髭を蓄えている。
「……大魔導士――ジャレン!」
カイサルが、悔しそうに短剣を床へ叩きつけた。
ギルダスから事情を聞いた国王――カイサル・アイバーンは、立派に蓄えた髭を撫でながら、余裕の笑みを浮かべた。
「さすがは我が弟の娘だ。多少は頭が働くようだな」
「ありがとうございます」
笑いもせず礼を言ったリンダを、カイサルが睨みつける。
「いくら欲しいんだ。よほど金に困っていなければ、このような国家を揺るがしかねない行動をとるはずもなかろう」
ギルダスと違って、カイサルはリンダの思惑に気が付いていた。
「事業に失敗したか? それとも奴隷を逃がしてしまったとか。あるいは優秀な魔法使いに家を燃やされただとかも良いな」
「はっはっは! 父上! そんなことが起きていたら、今頃大騒ぎでございますよ!」
「がっはっは!」
リンダはため息をついた。
このバカな親子は、笑いのツボもおかしい上に、頭が悪い。
カイサルは多少勘が働くが、基本的な能力は非常に低い男だ。
「はした金など、必要ありません。……もっとも、国家の予算と同じほどの額でしたら、話は別ですが」
今度はリンダが、皮肉を言った。
ニヤっと、口角を不気味に上げる。
ギルダスはリンダの醸し出す雰囲気に、少し恐れをなした様子。
一方カイサルは、髭から手を離し……。
玉座の横に忍ばせてあった短剣を手に取った。
「死ぬぞ。貴様」
短剣の切っ先をリンダに向け、低い声で威圧する。
「魔法使いの水晶? 呆れる。そのような物に映し出された映像など、民は偽造した映像としか思わぬよ」
「なるほど! さすが父上!」
「うむ。冷静に考えればわかる話だろう?」
「……ふふっ」
「……何がおかしい」
リンダはしなやかな手の動きで、煽るように拍手をした。
完全な挑発だ。
「どうやら、死ぬ覚悟があるらしいな」
「えぇ。だって……ははっ! 水晶に映像を閉じ込めたのは、一体誰のなのか……。お教えしないといけませんから」
「なにぃ?」
リンダが使用人に合図すると、使用人が部屋を出た。
そして――。
一人の老人を連れて戻ってきた。
老人と言っても、背筋は真っすぐに伸びており、カイサルよりもさらに立派な髭を蓄えている。
「……大魔導士――ジャレン!」
カイサルが、悔しそうに短剣を床へ叩きつけた。
3
お気に入りに追加
1,044
あなたにおすすめの小説

婚約破棄を求められました。私は嬉しいですが、貴方はそれでいいのですね?
ゆるり
恋愛
アリシエラは聖女であり、婚約者と結婚して王太子妃になる筈だった。しかし、ある少女の登場により、未来が狂いだす。婚約破棄を求める彼にアリシエラは答えた。「はい、喜んで」と。
婚約破棄? 私、この国の守護神ですが。
国樹田 樹
恋愛
王宮の舞踏会場にて婚約破棄を宣言された公爵令嬢・メリザンド=デラクロワ。
声高に断罪を叫ぶ王太子を前に、彼女は余裕の笑みを湛えていた。
愚かな男―――否、愚かな人間に、女神は鉄槌を下す。
古の盟約に縛られた一人の『女性』を巡る、悲恋と未来のお話。
よくある感じのざまぁ物語です。
ふんわり設定。ゆるーくお読みください。
悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。
神託の聖女様~偽義妹を置き去りにすることにしました
青の雀
恋愛
半年前に両親を亡くした公爵令嬢のバレンシアは、相続権を王位から認められ、晴れて公爵位を叙勲されることになった。
それから半年後、突如現れた義妹と称する女に王太子殿下との婚約まで奪われることになったため、怒りに任せて家出をするはずが、公爵家の使用人もろとも家を出ることに……。

婚約破棄にめげず第2王子を立派な紳士にします!
satomi
恋愛
婚約破棄を言い渡されたリンドウ=スミス公爵令嬢…。
その場では、殿下が無能なので話をほとんど聞いてなかった。なかなかの強者。というのも、彼女の兄たちは揃ってシスコン。優秀な兄たちに溺愛されている。
リンドウ令嬢はまともに育ったんですけど、無能が国王になることは阻止したいスミス家は第2王子のアンドリュー(第1王子と同じ名前)をスミス家で預かり、紳士に育てることにしました。
完膚なきまでのざまぁ! を貴方に……わざとじゃございませんことよ?
せりもも
恋愛
学園の卒業パーティーで、モランシー公爵令嬢コルデリアは、大国ロタリンギアの第一王子ジュリアンに、婚約を破棄されてしまう。父の領邦に戻った彼女は、修道院へ入ることになるが……。先祖伝来の魔法を授けられるが、今一歩のところで残念な悪役令嬢コルデリアと、真実の愛を追い求める王子ジュリアンの、行き違いラブ。短編です。
※表紙は、イラストACのムトウデザイン様(イラスト)、十野七様(背景)より頂きました
冤罪を受けたため、隣国へ亡命します
しろねこ。
恋愛
「お父様が投獄?!」
呼び出されたレナンとミューズは驚きに顔を真っ青にする。
「冤罪よ。でも事は一刻も争うわ。申し訳ないけど、今すぐ荷づくりをして頂戴。すぐにこの国を出るわ」
突如母から言われたのは生活を一変させる言葉だった。
友人、婚約者、国、屋敷、それまでの生活をすべて捨て、令嬢達は手を差し伸べてくれた隣国へと逃げる。
冤罪を晴らすため、奮闘していく。
同名主人公にて様々な話を書いています。
立場やシチュエーションを変えたりしていますが、他作品とリンクする場所も多々あります。
サブキャラについてはスピンオフ的に書いた話もあったりします。
変わった作風かと思いますが、楽しんで頂けたらと思います。
ハピエンが好きなので、最後は必ずそこに繋げます!
小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿中。

【完結】もしかして悪役令嬢とはわたくしのことでしょうか?
桃田みかん
恋愛
ナルトリア公爵の長女イザベルには五歳のフローラという可愛い妹がいる。
天使のように可愛らしいフローラはちょっぴりわがままな小悪魔でもあった。
そんなフローラが階段から落ちて怪我をしてから、少し性格が変わった。
「お姉様を悪役令嬢になんてさせません!」
イザベルにこう高らかに宣言したフローラに、戸惑うばかり。
フローラは天使なのか小悪魔なのか…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる