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罠にハマる王子
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「なぜそのことを……?」
ギルダスは歯ぎしりをしながら、リンダを睨みつけた。
「わかるでしょう? 同じように水晶で記録したのです。……ラべリス様が浮気をしているところを」
「君の目的はなんだい?」
「ですから、シェリーに謝罪をしてほしいのです」
「弟は関係ないだろう? 平和的な外交を乱して何が楽しいんだ」
「私もできればこんなことしたくありません。しかし、伯爵家を救うためでしたら、手段は選びませんよ」
「……ほう。つまり、我が国の未来よりも、替えの聞くたかが伯爵家の方が大事だと。そう言いたいんだね?」
「私にとって、彼女はかけがえのない親友です」
リンダの圧に、思わずギルダスは後ずさりをした。
このままではいけないと、やり方を変える決意をする。
「冷静に考えてくれ。この国にはたくさんの民がいる。南の国は重大な貿易相手だ。……もし弟の浮気がバレて、婚約破棄なんてことになれば、両国の関係は破綻! 国民の生活は台無し! 想像できるだろう?」
「同じことを言わせないでください。シェリーに謝罪してくれればよいのです」
「だから……。……はぁ。そう簡単に謝れると思うかい? 浮気してごめん! なんてさ。僕は王子だよ? 権力者なんだ。綺麗な女の子が次から次へと言い寄ってくる。中にはとびっきりエロい体の女の子もいて。あぁ昨日抱いたキャサリンは――」
「ギルダス様?」
ギルダスは咳ばらいをして、髪をたなびかせた。
こんな話題の最中に、恰好をつけられても困るのだが……。
リンダは心底呆れた表情で、ため息をついた。
「ま、まぁでも? 君がど~しても国の力を弱めたいというのであれば? 別に構わないよ。弟の浮気をばらしてもらっても! その代わり、きっと国民の厳しい視線は君へと向かうだろうけど!」
ギルダスは、まだ気が付いていないのだ。
公爵家が、この事件をきっかけに、王位を奪おうとしていることに。
話せばなんとかなる。その考えは甘すぎた。
「でしたら、今から国民に伝えに行きます。国中の貴族が国王にそっぽを向けば、国の経営なんぞ成り立たないでしょうが、それでもかまいませんね?」
「ちょっと待ってくれ。君は何を言っているんだい?」
「公爵家は頼りにされている。そう言いたいのです」
「……はっきりとモノを言うんだね」
「事実ですから」
リンダの余裕そうな表情を見て、ギルダスは奥の手を使うことにした。
「わかったわかった。僕が悪かった。……父上も交えて会話しよう」
来た……!
リンダは心の中で、小さく拳を握る。
こうなれば、リンダの思惑通りだった。
あとはどのように事が進んでも、間違いなく公爵家の思うがままの結果になるだろう。
ギルダスは歯ぎしりをしながら、リンダを睨みつけた。
「わかるでしょう? 同じように水晶で記録したのです。……ラべリス様が浮気をしているところを」
「君の目的はなんだい?」
「ですから、シェリーに謝罪をしてほしいのです」
「弟は関係ないだろう? 平和的な外交を乱して何が楽しいんだ」
「私もできればこんなことしたくありません。しかし、伯爵家を救うためでしたら、手段は選びませんよ」
「……ほう。つまり、我が国の未来よりも、替えの聞くたかが伯爵家の方が大事だと。そう言いたいんだね?」
「私にとって、彼女はかけがえのない親友です」
リンダの圧に、思わずギルダスは後ずさりをした。
このままではいけないと、やり方を変える決意をする。
「冷静に考えてくれ。この国にはたくさんの民がいる。南の国は重大な貿易相手だ。……もし弟の浮気がバレて、婚約破棄なんてことになれば、両国の関係は破綻! 国民の生活は台無し! 想像できるだろう?」
「同じことを言わせないでください。シェリーに謝罪してくれればよいのです」
「だから……。……はぁ。そう簡単に謝れると思うかい? 浮気してごめん! なんてさ。僕は王子だよ? 権力者なんだ。綺麗な女の子が次から次へと言い寄ってくる。中にはとびっきりエロい体の女の子もいて。あぁ昨日抱いたキャサリンは――」
「ギルダス様?」
ギルダスは咳ばらいをして、髪をたなびかせた。
こんな話題の最中に、恰好をつけられても困るのだが……。
リンダは心底呆れた表情で、ため息をついた。
「ま、まぁでも? 君がど~しても国の力を弱めたいというのであれば? 別に構わないよ。弟の浮気をばらしてもらっても! その代わり、きっと国民の厳しい視線は君へと向かうだろうけど!」
ギルダスは、まだ気が付いていないのだ。
公爵家が、この事件をきっかけに、王位を奪おうとしていることに。
話せばなんとかなる。その考えは甘すぎた。
「でしたら、今から国民に伝えに行きます。国中の貴族が国王にそっぽを向けば、国の経営なんぞ成り立たないでしょうが、それでもかまいませんね?」
「ちょっと待ってくれ。君は何を言っているんだい?」
「公爵家は頼りにされている。そう言いたいのです」
「……はっきりとモノを言うんだね」
「事実ですから」
リンダの余裕そうな表情を見て、ギルダスは奥の手を使うことにした。
「わかったわかった。僕が悪かった。……父上も交えて会話しよう」
来た……!
リンダは心の中で、小さく拳を握る。
こうなれば、リンダの思惑通りだった。
あとはどのように事が進んでも、間違いなく公爵家の思うがままの結果になるだろう。
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