婚約者が、私の妹と愛の文通をしていることを知ったので、懲らしめてやろうと思います。

冬吹せいら

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「あっはっは! 面白かった……」

リアンから手紙を受け取りながら、私は食事会の時のことを思い出して、また笑ってしまった。

「だって、これから食事だっていうのに、あんな服装で……。ありえると思う? 恋は盲目っていうけれど、本当なのね……」
「……そうですね」
「ごめんなさい。そんな顔しないで?」

リアンは、やはり罪悪感があるのか、沈んだ表情をしていた。

「リアン。これは、カミーナのためでもあるのよ。あなたも、あの子が全然成長しないことが、気になる時もあるでしょう?」
「あります……」

素直ね……。

「……これを機に、カミーナ様は、成長してくださるでしょうか」
「どうかしらね。それは、私が真実を伝えるまでは、きっとわからないことだわ」

手紙を開封し、内容を確認していく。

やはり、先日の食事会での食い違いを、反省している分が多い。

おそらく、アイロの方からも、それについて触れてくる内容があったのだろう。

「……うわっ」

しばらく読み進めていると、私の悪口が書いてあった。

婚約者の癖に、アイロの口元に、料理を運ばなかったことが、気に食わないと書いてある。

……そんな子供みたいなこと、するわけがない。
確かに、あんな分厚い手袋をつけていたら、食べづらいのは確かだけれど。

だったら外せば……。

あっ、そうか。

私が、食事会の間は、手袋を外さないようにって、書いたんだ。

思い出したら、また面白くなってきた。

「リアン。カミーナは、他に何か言ってなかった?」
「……はい」
「隠し事は、無しよ?」
「……その」
「大丈夫。あなたは何も悪くないの。カミーナから、何かを言われたのであれば、それを私に伝えるだけでいいんだから」

リアンは、少し迷った様子だったが、やがて口を開いた。

「カミーナ様は、早々に、アイロ様と結婚したいと思っているようです」
「ふふっ。あの子が結婚できる年齢になるのは、まだ二年も先じゃない」
「そうですね。ですから、まずは婚約を望みたいのでしょうが……」
「私が婚約者だから、できないと。なるほどね……」

……そんなおかしな話が、あるだろうか。

本当に、わがままな妹だと思う。

「そう言えば、明後日、騎士の訓練会があったわよね?」
「はい。あります」
「アイロも騎士だから、出るでしょう?」
「そうですね」
「……ふふっ、良いこと思いついちゃった」

アイデアが浮かんだ私は、猛スピードで手紙を書き始めた。
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