婚約者が、私の妹と愛の文通をしていることを知ったので、懲らしめてやろうと思います。

冬吹せいら

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手紙のすり替え

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「申し訳ございませんでした……」

リアンは、マスカーレ家に手紙を届ける役割を担っていたらしい。
すぐに過ちを認めて、謝罪した。

「いいのよ。あなたはメイドだもの。雇い主に命令されたら、実行するのが務めなのだから、何も間違ったことはしていないわ」
「……ありがたいお言葉です」
「だからね? 今回のことを、なかったことにする代わりに、私に協力してほしいの」
「協力、ですか?」
「そう、協力」

アイロの名前に、泥を塗りたくるような……。
そんな復讐方法を、私は思いついた。

「あなたは、カミーナから受け取った手紙を、アイロに手渡すでしょう? その時に……。アイロではなく、まず私に、見せてほしいの」
「ジュベリア様に、ですか?」
「そう。そしたら、私が中身を入れ替えて、あなたに返すから、それをアイロに渡してちょうだい」
「……なるほど」

リアンは、困ったように、俯いてしまった。

「大丈夫よ。絶対に、あなたの仕業とはバレないわ。私がうまくやるから。仕事が一つ、増えるだけの話よ」
「そうですが……。アイロ様からの返信と、内容が食い違ってしまうのでは?」
「構わないわよ。中身を入れ替えていることに、カミーナが気が付くってことは……。浮気を認めるのと、同じことでしょう? 言い出せないわ。絶対に」
「……」
「あなたが、カミーナのことを大切に想っているのは知っているわ。私も同じよ。反抗期かもしれないけれど、可愛い妹なの。……だけど、世間には、認められないこともある。それを理解してほしいだけ」

リアンは、小さく頷いた。

「じゃあ、早速、後で書き換えた手紙を渡すから。よろしくね?」
「わかりました……」

私は部屋に戻り、早速手紙を書き始めた。

さっき読んだ内容を思い出すと、どうやら二人は、今度三人で食事をする際に、お互いの服装を、似たものにして、こっそり楽しむという悪戯を試みようとしているようだ。

……この手紙の内容を知らなければ、私はきっと、二人の服装が似ていることを、無邪気に笑っただろう。

そして、二人はそんな私を見て、裏で馬鹿に……。

……良くないわね。

しっかりと、後悔させてやらないと。
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