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決別

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この悲劇が終息するまでは、長い時間がかかるだろう。

私は一旦……。もう一つの問題に取り組むことにした。

「……何かしら。話って」

お母様は、酷く憔悴しきっている様子だった。

当たり前だ。自分の娘が、聖女として目覚めたと喜んでいたら、一瞬にして、人殺しと呼ばれるようになってしまったのだから。

気持ちは痛いほど理解できる。
それでも私たちは、前に進まないといけない。

「お母様。お母様とお父様が結ばれた時……。魂の相性の話をしたことを、覚えていますか?」
「……いえ。全然」

……そうだろうなとは思った。

「こんな時に、何の話なの?」
「もう少しだけ、聞いてください」
「……」
「その時、私はお母様に、こう伝えました。お母様とお父様の魂の相性は、最悪ではないけれど、普通でもない。悪いことに違いはないと」
「気分が悪いわね。どうして今、そんな話を聞かないといけないの?」

お母様が、席を立とうとした。

少々強引だが、私は魔法で、お母様の動きを止めた。

「なっ……! あなた、何をしているか、わかっているの!?」
「お願いです! 最後まで聞いてください!」
「……さすが、あの人の娘ね。なんでも魔法で解決しようとするんだわ」
「……すいません」
「はぁ……。わかったわよ。逃げないから、さっさと話してちょうだい」

魔法の拘束から解かれたお母様は、椅子に座り直した。

「で、相性がなんですって?」
「お母様とお父様の相性は、悪いのです。そしてそれは、結ばれた後の生活が、大きく作用します」
「生活?」
「はい……。そして今回、不幸なことが起きました。これは、二人の魂に影響を及ぼし、ただでさえ悪かった相性が……。最悪となるのです」

お母様が、ため息をついた。

「ミュシー。あなた、何が言いたいの?」
「……少しの間で良いのです。お父様と、距離を取ってください」
「ありえないわね」
「そうでないと、どちらかが死ぬことになります」
「そんな話、信じられると思う?」
「ヒーナとギルガム様の魂の相性も、最悪でした!」
「偶然でしょう? ……全く、本当に気分が悪い。こんな時こそ、家族が力を合わせて、頑張るべきなのに」

お母様の言うことは正しい。
だけど、だからこそ、ここは冷静な判断をするべきだ。

ただ言葉だけで、頑張るなどと言っても、結果が伴わなければ、意味がない。
むしろ逆の効果を生むことがある。

「話は終わり? さっさと出て行きなさい。もう疲れたのよ。休ませてちょうだい」
「お母様。お願いです。私の話を――」
「……あなたなんて、私の子じゃありませんから」

絶望した。

思いっきり、心に穴を空けられたような感覚。

私は、何も言い返せず、静かにお母様の部屋を去った。

……もうここに、私の居場所はないのだろう。

だったら――。
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