29 / 52
24 豊玉姫
しおりを挟む
「須佐乃袁尊、危なかったねえ、ほら、これ飲んでねえ」ダイダラ坊はそう言って、芹那に飲ませていた温かい酒を、指先に滴らせて僕にもくれた。
「あ、ありがとう……」そう言って僕はその酒を飲むと、なるほど確かに急激に体が温かくなり、一瞬の脱力感の後に、深い眠りから覚めたような爽快な気分になった。
「な、なんだこれ、すごいね!」と僕はダイダラ坊に言った。
「えへへ、そうだろう? 神様にもらったお酒だからねえ」とダイダラ坊は自慢げに言った。
辺りを包む白い靄が雲なのか霧なのか判然としなかった。
ただ、すーーーっと風が吹いて靄が晴れると、そこには神の遣いの狼と、その横に芹那が倒れているのが見えた。
「せ、芹那!? どうしたんだ、芹那!?」僕は慌てて芹那の下に駆け寄った。
「芹那! 芹那!」抱き起して肩をゆすっても体から力が抜けて意識を取り戻す様子がない。
「芹那! 芹那! どうしたんだ、芹那!」
「大丈夫だよお……」ダイダラ坊が言った。「月読尊は、酒を飲み過ぎただけだよう」
「え……?」そう言えばなるほど、慌ててて気づかなかったが、芹那の体は妙に温かい。頬も赤い。息が酒臭い。このまま置いて帰ろうかと思った。
「それより須佐乃袁尊!」
「は、はい!」狼が突然大きな声を出したので僕は授業中に居眠りを起こされた時のようにびっくりした。
「助けていただきたい!」
「え、こ、今度は何を!?」
「豊玉姫を、助けていただきたい!」
そ、そう言えば豊玉姫はどうなった? 確かあの時、僕が戦っている間に芹那がもう大丈夫だと言ってなかったか?
「ご覧あれ!」
狼がそう言うので、僕はその横にある小さな石像に目をやった。
「お、お地蔵様?」
「無礼な!」
「は、はい! ごめんなさい!」
「お地蔵さまではない! こちらが豊玉姫であらせられる!」
「と、豊玉姫?」どう見ても小さなお地蔵さまだった。け、けど、それは髪の長い女の子が目を閉じ膝を抱えて座っているような姿で、確かにそんな奇妙な形のお地蔵様など見たことはなかった。
「そうなんだよお、豊玉姫なんだよお」
「で、でもどうしてこんな、石の姿に……」僕は狼を怒らせないよう、言葉を選びながら話した。
「豊玉姫はねえ、千年以上もあそこに隠れていたからねえ、石になってしまったんだよう……」ダイダラ坊はそう言いながら、その顔は見えぬほどに高いところにあってわからなかったが、どうやら泣いているようだった。
「そ、そんな……」
「助けていただけるか! ありがたい!」
また始まった……。
「助けてあげたいけど、いったいどうすればいいかわからないよ……」
「豊玉姫はねえ、僕の恩人なんだよお……」ダイダラ坊が言った。
「恩人ってえ?」いつのまにやら芹那が話を聞いていて、眠たげにそう聞いた。
「僕はもともと化け物だったんだよお。それがねえ、豊玉姫がねえ、『お前は優しい。人のために良く働く。だから陸地に海を作れば、神の遣いにしてやろう』って言ったんだよお」
「陸地に海を? どう言うこと?」僕は聞いた。
「陸地に海を作って、近淡海(ちかつおうみ)と呼んだんだよお」
「琵琶湖のことじゃないかしら? 近江の国のことを言ってるのよ、たぶん」芹那は寝ぼけながらそう言った。
「琵琶湖? ダイダラ坊が琵琶湖を作ったのかい?」
「その通り!」と狼が代わりに答えた。
「僕が陸地に海を作る時にねえ、豊玉姫は、その土を集めて山を作りなさいと言ったんだよお。そこから下を眺めて、人のために働きなさいと言ったんだよお」
「山を? 作ったのかい?」
「さよう! この富士の山は、ダイダラ坊が掘った土を集めたもの。ダイダラ坊が治める山である!」
芹那はいつのまにやら僕の肩に寄り掛かってまた寝息をかいていた。
「豊玉姫は、一緒に来なかったのかい?」
「豊玉姫は、海の神である! 山へは入らぬ! だがしかし、富士の麓で世を眺め、ダイダラ坊とともに人々をお助けするつもりであった!」
「それが、こんなことになってしまったのか……」
「助けていただけるか! ありがたい!」
「あ、いや、その……」無理だとは言いにくい空気になってしまった。
「とりあえず、うちに連れてきなさいよ……」芹那が半分寝ながら言った。
無責任な! と僕は言いたかったが、だからと言って解決できる考えも浮かばなかった。
そんなわけで、僕は石像となった豊玉姫を背中に背負い、新幹線に乗り、電車を乗り換え、バスに乗り、芹那の神社まで戻ってきた。
「とりあえず、本殿の中に入れておきましょう」
「そんなものみたいな扱いでいいの?」
「なに言ってるの、本殿はそもそも神様に入ってもらうところよ? むしろうってつけだわ」
「まあ、そう言われればそうだよね」と僕は言い、豊玉姫を本殿に入れた。
「問題は、豊玉姫をどうやって元に戻すかよね」狭い本殿の中に入り、膝を抱えて石像になった豊玉姫を前に、芹那は頬杖をついた。やっぱり何も考えてなかった!
「和也も何か考えなさいよ?」芹那はなぜか僕を責めるように見た。
「考えろって言われても……」僕は首をひねるしかなかった。
「そうだ、こないだ話してた佐藤君って人にお願いできないかしら?」
「佐藤に?」
「河童を兎に変えちゃったんでしょ?」
「そんな話したっけ?」
「したわよ。まるで私が人の話すぐ忘れる子みたいな言い方しないでよ」
いや、その通りだから……。
「とにかくその佐藤君にお願いしてみましょうよ。河童を兎に変えられるなら、石になった豊玉姫を元に戻すこともできるかも」
「そ、そう言う理屈かなあ……」
「他に理屈なんてないわよ。ね、佐藤君を呼びましょう!」
「あ、ありがとう……」そう言って僕はその酒を飲むと、なるほど確かに急激に体が温かくなり、一瞬の脱力感の後に、深い眠りから覚めたような爽快な気分になった。
「な、なんだこれ、すごいね!」と僕はダイダラ坊に言った。
「えへへ、そうだろう? 神様にもらったお酒だからねえ」とダイダラ坊は自慢げに言った。
辺りを包む白い靄が雲なのか霧なのか判然としなかった。
ただ、すーーーっと風が吹いて靄が晴れると、そこには神の遣いの狼と、その横に芹那が倒れているのが見えた。
「せ、芹那!? どうしたんだ、芹那!?」僕は慌てて芹那の下に駆け寄った。
「芹那! 芹那!」抱き起して肩をゆすっても体から力が抜けて意識を取り戻す様子がない。
「芹那! 芹那! どうしたんだ、芹那!」
「大丈夫だよお……」ダイダラ坊が言った。「月読尊は、酒を飲み過ぎただけだよう」
「え……?」そう言えばなるほど、慌ててて気づかなかったが、芹那の体は妙に温かい。頬も赤い。息が酒臭い。このまま置いて帰ろうかと思った。
「それより須佐乃袁尊!」
「は、はい!」狼が突然大きな声を出したので僕は授業中に居眠りを起こされた時のようにびっくりした。
「助けていただきたい!」
「え、こ、今度は何を!?」
「豊玉姫を、助けていただきたい!」
そ、そう言えば豊玉姫はどうなった? 確かあの時、僕が戦っている間に芹那がもう大丈夫だと言ってなかったか?
「ご覧あれ!」
狼がそう言うので、僕はその横にある小さな石像に目をやった。
「お、お地蔵様?」
「無礼な!」
「は、はい! ごめんなさい!」
「お地蔵さまではない! こちらが豊玉姫であらせられる!」
「と、豊玉姫?」どう見ても小さなお地蔵さまだった。け、けど、それは髪の長い女の子が目を閉じ膝を抱えて座っているような姿で、確かにそんな奇妙な形のお地蔵様など見たことはなかった。
「そうなんだよお、豊玉姫なんだよお」
「で、でもどうしてこんな、石の姿に……」僕は狼を怒らせないよう、言葉を選びながら話した。
「豊玉姫はねえ、千年以上もあそこに隠れていたからねえ、石になってしまったんだよう……」ダイダラ坊はそう言いながら、その顔は見えぬほどに高いところにあってわからなかったが、どうやら泣いているようだった。
「そ、そんな……」
「助けていただけるか! ありがたい!」
また始まった……。
「助けてあげたいけど、いったいどうすればいいかわからないよ……」
「豊玉姫はねえ、僕の恩人なんだよお……」ダイダラ坊が言った。
「恩人ってえ?」いつのまにやら芹那が話を聞いていて、眠たげにそう聞いた。
「僕はもともと化け物だったんだよお。それがねえ、豊玉姫がねえ、『お前は優しい。人のために良く働く。だから陸地に海を作れば、神の遣いにしてやろう』って言ったんだよお」
「陸地に海を? どう言うこと?」僕は聞いた。
「陸地に海を作って、近淡海(ちかつおうみ)と呼んだんだよお」
「琵琶湖のことじゃないかしら? 近江の国のことを言ってるのよ、たぶん」芹那は寝ぼけながらそう言った。
「琵琶湖? ダイダラ坊が琵琶湖を作ったのかい?」
「その通り!」と狼が代わりに答えた。
「僕が陸地に海を作る時にねえ、豊玉姫は、その土を集めて山を作りなさいと言ったんだよお。そこから下を眺めて、人のために働きなさいと言ったんだよお」
「山を? 作ったのかい?」
「さよう! この富士の山は、ダイダラ坊が掘った土を集めたもの。ダイダラ坊が治める山である!」
芹那はいつのまにやら僕の肩に寄り掛かってまた寝息をかいていた。
「豊玉姫は、一緒に来なかったのかい?」
「豊玉姫は、海の神である! 山へは入らぬ! だがしかし、富士の麓で世を眺め、ダイダラ坊とともに人々をお助けするつもりであった!」
「それが、こんなことになってしまったのか……」
「助けていただけるか! ありがたい!」
「あ、いや、その……」無理だとは言いにくい空気になってしまった。
「とりあえず、うちに連れてきなさいよ……」芹那が半分寝ながら言った。
無責任な! と僕は言いたかったが、だからと言って解決できる考えも浮かばなかった。
そんなわけで、僕は石像となった豊玉姫を背中に背負い、新幹線に乗り、電車を乗り換え、バスに乗り、芹那の神社まで戻ってきた。
「とりあえず、本殿の中に入れておきましょう」
「そんなものみたいな扱いでいいの?」
「なに言ってるの、本殿はそもそも神様に入ってもらうところよ? むしろうってつけだわ」
「まあ、そう言われればそうだよね」と僕は言い、豊玉姫を本殿に入れた。
「問題は、豊玉姫をどうやって元に戻すかよね」狭い本殿の中に入り、膝を抱えて石像になった豊玉姫を前に、芹那は頬杖をついた。やっぱり何も考えてなかった!
「和也も何か考えなさいよ?」芹那はなぜか僕を責めるように見た。
「考えろって言われても……」僕は首をひねるしかなかった。
「そうだ、こないだ話してた佐藤君って人にお願いできないかしら?」
「佐藤に?」
「河童を兎に変えちゃったんでしょ?」
「そんな話したっけ?」
「したわよ。まるで私が人の話すぐ忘れる子みたいな言い方しないでよ」
いや、その通りだから……。
「とにかくその佐藤君にお願いしてみましょうよ。河童を兎に変えられるなら、石になった豊玉姫を元に戻すこともできるかも」
「そ、そう言う理屈かなあ……」
「他に理屈なんてないわよ。ね、佐藤君を呼びましょう!」
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
悠久のクシナダヒメ 「日本最古の異世界物語」 第一部
Hiroko
ファンタジー
異世界に行けると噂の踏切。
僕と友人の美津子が行きついた世界は、八岐大蛇(やまたのおろち)が退治されずに生き残る、奈良時代の日本だった。
現在と過去、現実と神話の世界が入り混じる和の異世界へ。
流行りの異世界物を私も書いてみよう!
と言うことで書き始めましたが、どうしようかなあ。
まだ書き始めたばかりで、この先どうなるかわかりません。
私が書くと、どうしてもホラーっぽくなっちゃうんですよね。
なんとかなりませんか?
題名とかいろいろ模索中です。
なかなかしっくりした題名を思いつきません。
気分次第でやめちゃうかもです。
その時はごめんなさい。
更新、不定期です。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる