上 下
10 / 11

10

しおりを挟む
おはようございます。使い魔を呼び出して気絶したと思われるソフィアです。

目覚めた瞬間目に入ったのは自分の部屋の天井でした。

「……やっぱりガセだったのかな?」

そう言いながら起き上がろうと身をよじろうとしたら

「……む…ぅ……」

…………?おかしい。お腹の上が重いし何より私じゃない声がする。
なんなんだと思いお腹を見るとそこに居たのは…

ふわふわの白い毛。
少し小柄な身体。
何より背中の小さな翼。

私のお腹の上に居たのはとんでもなく可愛らしい子猫でした。

「…………なんでぇぇえええええ!?」

思わずそう大きな声で叫んだ私に罪はないはず……だと思う。

結局その後私の叫び声に気づいたメイドさんやお父様、お母様に見つかり朝食を食べた後すぐに連行されてしまった。

「……ソフィア。」

お父様からの厳しい視線に耐えきれず全てを話した。

「……はぁ。まさかその本を見つけるとな……」

「えぇ。結構高いところに隠していたのに……」

そう言う両親に少し疑問を覚えた。

「えっ、その本は私が小さいはしごを使えば簡単に届く距離にありましたよ?」

そう言うと二人はえっ?といった顔をする。

執事が移動したのか?誰かが本を返す位置を間違えた?両親がそうヒソヒソ言っていると私の膝に座っている猫ちゃんが目覚めた。

「……ぅん」

眠そうに目を開ける猫ちゃんの目は綺麗な水色で思わず見惚れていると

「………あかり?」

と聞かれた。その名前を聞いて動揺してしまったが私はすぐに首を振り

「ううん。私はソフィア。あなたは?」

と聞くと猫ちゃんはふわりと浮き上がり

「わたしはエルだよ。昨日ソフィアが名前をくれたよね」

と言った瞬間お父様が私を見て

「もう契約したのか!?」

と聞いてきた。

私が思わずえっ?と返すとお母様が

「……ソフィア。ちゃんと本の内容を確認しましたか?」

と何ともいえない目で私を見つめてきた。

その何気ない圧とお父様の謎のプレッシャーで思わず

「いっ……いいえ…。」

となかば青ざめながら答えると二人は大きくため息をついた。

「…あのねソフィア。使い魔と契約するには名前さえ与えればいいのよ。」

私がめっちゃ簡単じゃんと心の中で思っているとお母様が少し難しそうな顔で

「ただし、一度契約してしまうともう別のものとは契約できないわ。」

と言うので私は

「それだけですか?」

と聞くとお母様はしっかりと私の目を見ながら

「ねぇ、ソフィア。私は呼び出せるものが妖精や動物のような可愛いものだけだと言ったかしら?」


と言ってきた。

……確かによく思い返せばお母様は呼び出した「もの」と言ってはいた。
けして妖精とかそういうひとつのものとしては言っていない。

お母様は視線を下に向けゆっくりと話し始める

「……昔からこうやって妖精などと契約して使い魔とすることはあったわ。
もちろん今も……。ローゼマリアに通う予定の子の大半も使い魔を連れてくると思うわ。」

私がじゃあ問題なんてと思った瞬間お母様はそれに被せて話す。

「ただそれは親と一緒に呼び出した子達よ。本来は決して子供だけで使い魔との契約……呼び出しを行ってはいけないの。」

その真剣な表情に私は思わず息を呑む。

私が少しだけ震えている声で。

「なんで…ですか…?」

と聞くとお母様は

「……たまにいるのよ。悪魔を呼び出してしまう子が……」

と言った。

私は何も言えずにお母様の話の続きを聞く。

「そもそも呼び出すものは召喚するものの魔力の波長が合えば現れるのよ。
それがたまに悪魔とか…良くないものが現れたりする。」

そして母に変わるように父が

「だからもし悪魔が現れても退治できるように親が契約を見張るんだ。」

つまり二人が言いたい事は……

「……私が…悪魔を呼び出すかも知れなかったて事……?」

そう聞けば二人はうなづいて

「えぇ。あなたは魔力も高いし属性も多い……だからソフィアは……」

 『一歩間違えれば悪魔を召喚してた。』

私がそれを聞いて言葉を失っていると私の膝の方から

「それは絶対にないよー。」

とのんびりとした声が聞こえてきた。

その声の主。猫ちゃんを見るとうーんの身体を伸ばして私の横に礼儀正しく座る。

お父様が

「どういう事だ……?」

と聞くと猫ちゃんは

「だってソフィアが使い魔を呼び出そうとした本……あれを目につく所に置いたり本を落としたりしたのは……」

「私なんだもん。」

猫ちゃんがそう言いあくびをしているのを見てお父様とお母様は絶句していた。

一方で私は

(この猫ちゃん……やっぱりどこか見覚えが……)

となぜだか分からない懐かしさを感じていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私はモブのはず

シュミー
恋愛
 私はよくある乙女ゲーのモブに転生をした。   けど  モブなのに公爵家。そしてチート。さらには家族は美丈夫で、自慢じゃないけど、私もその内に入る。  モブじゃなかったっけ?しかも私のいる公爵家はちょっと特殊ときている。もう一度言おう。  私はモブじゃなかったっけ?  R-15は保険です。  ちょっと逆ハー気味かもしれない?の、かな?見る人によっては変わると思う。 注意:作者も注意しておりますが、誤字脱字が限りなく多い作品となっております。

悪役令嬢は天然

西楓
恋愛
死んだと思ったら乙女ゲームの悪役令嬢に転生⁉︎転生したがゲームの存在を知らず天然に振る舞う悪役令嬢に対し、ゲームだと知っているヒロインは…

婚約破棄は踊り続ける

お好み焼き
恋愛
聖女が現れたことによりルベデルカ公爵令嬢はルーベルバッハ王太子殿下との婚約を白紙にされた。だがその半年後、ルーベルバッハが訪れてきてこう言った。 「聖女は王太子妃じゃなく神の花嫁となる道を選んだよ。頼むから結婚しておくれよ」

完結 若い愛人がいる?それは良かったです。

音爽(ネソウ)
恋愛
妻が余命宣告を受けた、愛人を抱える夫は小躍りするのだが……

全ては望んだ結末の為に

皐月乃 彩月
恋愛
ループする世界で、何度も何度も悲惨な目に遭う悪役令嬢。 愛しの婚約者や仲の良かった弟や友人達に裏切られ、彼女は絶望して壊れてしまった。 何故、自分がこんな目に遇わなければならないのか。 「貴方が私を殺し続けるなら、私も貴方を殺し続ける事にするわ」 壊れてしまったが故に、悪役令嬢はヒロインを殺し続ける事にした。 全ては望んだ結末を迎える為に── ※主人公が闇落ち?してます。 ※カクヨムやなろうでも連載しています作:皐月乃 彩月 

逃げ出した王妃アリアのその後

ともっぴー
恋愛
母国の為に隣国アリドゥラムに嫁いだアリアでしたが、すったもんだあって王宮から逃げ出しました。アリーとして、第2の人生始めます。(捕獲されました・・・アリア編です。)

シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした

黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)

【完結】夫は王太子妃の愛人

紅位碧子 kurenaiaoko
恋愛
侯爵家長女であるローゼミリアは、侯爵家を継ぐはずだったのに、女ったらしの幼馴染みの公爵から求婚され、急遽結婚することになった。 しかし、持参金不要、式まで1ヶ月。 これは愛人多数?など訳ありの結婚に違いないと悟る。 案の定、初夜すら屋敷に戻らず、 3ヶ月以上も放置されーー。 そんな時に、驚きの手紙が届いた。 ーー公爵は、王太子妃と毎日ベッドを共にしている、と。 ローゼは、王宮に乗り込むのだがそこで驚きの光景を目撃してしまいーー。 *誤字脱字多数あるかと思います。 *初心者につき表現稚拙ですので温かく見守ってくださいませ *ゆるふわ設定です

処理中です...