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 お店のオープンから2週間程、リンダさんの宿にお世話になった両親(主にママ)は、お肌がツルツルになったとご機嫌だった。

 それと、デュークがラインハルト伯爵家の次男で第一騎士団からセイラ専属の大聖女護衛騎士になった話をすると大喜びで結婚式は後でもいいから、入籍だけでもしちゃいなさいとゴリ押ししてきた。しかし、相手の家の事もあるので、何とかママを宥め、後日ラインハルト伯爵家に挨拶してから決める事になった。



 その3ヶ月後。



 穏やかな晴天の日、アナトリアにて結婚式をし、披露パーティーを開いた。昔からのお友達や繋がりのある貴族の皆さんがお祝いに訪れてくれて盛大なパーティーになったのだが、パーティーは一回だけでは終わらないのだ。



 披露パーティーの翌日にはアナトリアを出発し、ザルツに戻る。

「おめでとうっ、セイラさん・デュークさんっ!」

 自宅兼お店に到着すると、デジャヴを覚える光景だった。ザルツでお世話になっている方達が集合しているのだ。そして、ガーデン席とは別にいくつかの席や沢山のお料理が準備されている。

 ケミュさんからシャンパングラスを渡される前

「勝手に準備したわよ?セイラさん・デュークさん、ご結婚おめでとう!!」

 リンダの掛け声に、

「「「おめでとうっ!!」」」

  集まった皆さんがお祝いの言葉と共にシャンパングラスを掲げた。

「「皆さん、ありがとうございます」」

 デュークと声が重なり、思わず見つめあってしまう。

「あ~、イチャイチャは後にして、とりあえずお料理食べて。材料はいくつか拝借したわよ」

 リンダさんとケミュさんは手際よく、集まった皆さんにお料理を配り、セイラとデュークにも手渡してくれる。

「リンダさん、ありがとうございます。うふっ、キッシュ食べてみたかったんです。美味しいですね」

 女性陣はお料理を頂いた後、デザートやスィーツに移り、男性陣はいつの間にかワインの樽を開けていて、程よく酔いしれていった。

 

 そしてまた3ヶ月。



 セイラのお店には多くのお客さんが集まってくる。

 勿論皆の目当ては・・・。

「チーズオムレツ2つ!!」

「チーズオムレツ大盛り3つとパウンドケーキ3つ頼むなっ!!」

 フワフワチーズとパウンドケーキなのだ。

 しかも客層は若い女性から騎士まで幅広い。

 う~ん、若い女性は分かるけど何故騎士?

 心の声が聞こえたのか、デュークが

「力が湧いて来るらしいぞ?動きも良くなった気がするし、怪我の治りも早いって噂だ。『大聖女のオムレツ』は」

 苦笑いで教えてくれる。

 そう、フワフワのオムレツのはずが、何故か『大聖女』と枕言葉が付いてしまったのだ。なので、アナトリアの騎士だけではなく、ザルツの騎士達も常連さんになりつつある。

 騎士道、仲良くなり同盟を結ぶ話も出ているらしい。




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