国外追放ですか?畏まりました(はい、喜んでっ!)

ゆきりん(安室 雪)

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「そうか。今から帰ってしまうのか・・・」

 力無い返事と共に、国王様は力無く笑う。

「セイラには色々と迷惑をかけてしまったな。この国はお主達2人の故郷なのだ。いつでも遊びに来て欲しい」

 決して2人に対し、無理強いはせずに送り出そうと言う、国王様の最後の言葉が絞り出された。

「あの、国王様。昨日のお返事を申し上げますね。お店の仕事をしながらの隙間時間になってしまいますが、毎日30分程大水晶に向けて祈りを捧げたいと思っています」

 そう、手の甲に祈りの手が現れた時に、祈る事は決めていたのだ。ただ、その長さをどれくらいにするかを見るために返事を送らせていただけなのに、ここまで国王様を苦しめていたなんて。昨日の時点でもっときちんと話していれば良かったと少し後悔した。

「ま、誠かっ!?恩に着るぞ、セイラよっ!!」

 それまでの暗かった表情が一転し、一気に顔に赤みが差している。

「はい、遠くからになりますが祈りを捧げたいと思っています。それと、一つ提案があります」

「何でも良いぞ、何でも叶えよう。褒美か?宝石か?」

「いえ、そう言ったものではなく。私は精霊と相性が良かったようで、4体の精霊に加護していただけてます。なので、聖女候補生の方にも私が精霊と契約した温泉宿に隣国への外遊研修の一環として予定を組み入れて頂きたいのです。今の聖女候補生の方々は余り祈りの力が強くありません。このままでは将来や私に何かあった時に困った事態になります。なのでもし、精霊に加護して貰える方々いれば、祈りの力は増します。是非温泉宿研修をご検討下さいませ」

 そう、必ず加護が貰える訳では無いが、チャンスがあるのなら試した方がいい。

「うむ。その願い、聞き入れよう。それと、デュークの事だが。デュークにはセイラの専属騎士として隣国に同行するように。良いな?」

「はっ!!畏まりました!!」

 セイラの後ろに控えていたデュークは嬉しそうに返事をした。




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