42 / 50
41
しおりを挟む
「セイラ」
あと数歩で神殿に着く距離になった所で、デュークに腕を引っ張られた。その力は強く、勢い余ってデュークの硬い胸筋にセイラの頬が当たり、抱き留められる。
「デューク、どうしたの!?あ、あぶないじゃないのっ」
抱きしめられたまま、アタフタと聞くがデュークは更にギュッと抱きしめた。
「俺は、いつもセイラを見てた。だから」
真剣な言葉は、
「急いでるんだっ!!通してくれっ!!」
と、フラフラになりながら走ってきた神官の出立ちをした男の声に遮られた。
はぁ~っ、とため息を吐いたデュークに手を引かれ、2人は神殿の中に入って行った。
神殿の中には既に沢山の神官が集まって来ている。
ざっと数えて10人、て事は地方の神官が全員揃っていると言う事だ。今入って来たばかりの神官に神官長様が、水晶の状態をたずねた。するとたずねられた神官は上擦った声で、
「それが、午後の祈りの時間に突如水晶が光出しまして・・・!!そう、この大水晶の様な光りかたをしているのですっ!!今まで見た事がありません!!神官長様っ、どうしたらこの様な事にっ!ただでさえ魔獣の対応で手一杯なのですっ!!」
神官が言い終わると、周りにいる他の神官達も頷き合っている。多分、他の神官達も同じ様に神官長様に報告したのだろう。
神官長様は一同をゆっくり見渡し、セイラと一瞬目を合わせるがすぐにまた神官達を見渡しはじめ、口を開いた。
「時に神官達よ。おのおのの神殿から此処に向かう途中で魔獣に出会ったであろうか?最近は魔獣の被害が増えておるのは周知の事実だ」
すると、神官達は一瞬の間があった後、
「そういえば・・・」
「今日は・・・」
「どう言う事だ?」
ざわざわとし始めた場に、神官長様の声が響き渡る。
「此処に来るまでに魔獣を見た者は挙手を!」
神官達は首を捻るが、誰も手を挙げる者はいなかった。
「うむ。水晶が光り出してから魔獣を見た者はいないと言う事だな?さて、説明をしようか」
神官長様はセイラが戻って来てからの出来事を話しはじめた。
あと数歩で神殿に着く距離になった所で、デュークに腕を引っ張られた。その力は強く、勢い余ってデュークの硬い胸筋にセイラの頬が当たり、抱き留められる。
「デューク、どうしたの!?あ、あぶないじゃないのっ」
抱きしめられたまま、アタフタと聞くがデュークは更にギュッと抱きしめた。
「俺は、いつもセイラを見てた。だから」
真剣な言葉は、
「急いでるんだっ!!通してくれっ!!」
と、フラフラになりながら走ってきた神官の出立ちをした男の声に遮られた。
はぁ~っ、とため息を吐いたデュークに手を引かれ、2人は神殿の中に入って行った。
神殿の中には既に沢山の神官が集まって来ている。
ざっと数えて10人、て事は地方の神官が全員揃っていると言う事だ。今入って来たばかりの神官に神官長様が、水晶の状態をたずねた。するとたずねられた神官は上擦った声で、
「それが、午後の祈りの時間に突如水晶が光出しまして・・・!!そう、この大水晶の様な光りかたをしているのですっ!!今まで見た事がありません!!神官長様っ、どうしたらこの様な事にっ!ただでさえ魔獣の対応で手一杯なのですっ!!」
神官が言い終わると、周りにいる他の神官達も頷き合っている。多分、他の神官達も同じ様に神官長様に報告したのだろう。
神官長様は一同をゆっくり見渡し、セイラと一瞬目を合わせるがすぐにまた神官達を見渡しはじめ、口を開いた。
「時に神官達よ。おのおのの神殿から此処に向かう途中で魔獣に出会ったであろうか?最近は魔獣の被害が増えておるのは周知の事実だ」
すると、神官達は一瞬の間があった後、
「そういえば・・・」
「今日は・・・」
「どう言う事だ?」
ざわざわとし始めた場に、神官長様の声が響き渡る。
「此処に来るまでに魔獣を見た者は挙手を!」
神官達は首を捻るが、誰も手を挙げる者はいなかった。
「うむ。水晶が光り出してから魔獣を見た者はいないと言う事だな?さて、説明をしようか」
神官長様はセイラが戻って来てからの出来事を話しはじめた。
12
お気に入りに追加
1,440
あなたにおすすめの小説

【完結】特別な力で国を守っていた〈防国姫〉の私、愚王と愚妹に王宮追放されたのでスパダリ従者と旅に出ます。一方で愚王と愚妹は破滅する模様
岡崎 剛柔
ファンタジー
◎第17回ファンタジー小説大賞に応募しています。投票していただけると嬉しいです
【あらすじ】
カスケード王国には魔力水晶石と呼ばれる特殊な鉱物が国中に存在しており、その魔力水晶石に特別な魔力を流すことで〈魔素〉による疫病などを防いでいた特別な聖女がいた。
聖女の名前はアメリア・フィンドラル。
国民から〈防国姫〉と呼ばれて尊敬されていた、フィンドラル男爵家の長女としてこの世に生を受けた凛々しい女性だった。
「アメリア・フィンドラル、ちょうどいい機会だからここでお前との婚約を破棄する! いいか、これは現国王である僕ことアントン・カスケードがずっと前から決めていたことだ! だから異議は認めない!」
そんなアメリアは婚約者だった若き国王――アントン・カスケードに公衆の面前で一方的に婚約破棄されてしまう。
婚約破棄された理由は、アメリアの妹であったミーシャの策略だった。
ミーシャはアメリアと同じ〈防国姫〉になれる特別な魔力を発現させたことで、アントンを口説き落としてアメリアとの婚約を破棄させてしまう。
そしてミーシャに骨抜きにされたアントンは、アメリアに王宮からの追放処分を言い渡した。
これにはアメリアもすっかり呆れ、無駄な言い訳をせずに大人しく王宮から出て行った。
やがてアメリアは天才騎士と呼ばれていたリヒト・ジークウォルトを連れて〈放浪医師〉となることを決意する。
〈防国姫〉の任を解かれても、国民たちを守るために自分が持つ医術の知識を活かそうと考えたのだ。
一方、本物の知識と実力を持っていたアメリアを王宮から追放したことで、主核の魔力水晶石が致命的な誤作動を起こしてカスケード王国は未曽有の大災害に陥ってしまう。
普通の女性ならば「私と婚約破棄して王宮から追放した報いよ。ざまあ」と喜ぶだろう。
だが、誰よりも優しい心と気高い信念を持っていたアメリアは違った。
カスケード王国全土を襲った未曽有の大災害を鎮めるべく、すべての原因だったミーシャとアントンのいる王宮に、アメリアはリヒトを始めとして旅先で出会った弟子の少女や伝説の魔獣フェンリルと向かう。
些細な恨みよりも、〈防国姫〉と呼ばれた聖女の力で国を救うために――。

変態婚約者を無事妹に奪わせて婚約破棄されたので気ままな城下町ライフを送っていたらなぜだか王太子に溺愛されることになってしまいました?!
utsugi
恋愛
私、こんなにも婚約者として貴方に尽くしてまいりましたのにひどすぎますわ!(笑)
妹に婚約者を奪われ婚約破棄された令嬢マリアベルは悲しみのあまり(?)生家を抜け出し城下町で庶民として気ままな生活を送ることになった。身分を隠して自由に生きようと思っていたのにひょんなことから光魔法の能力が開花し半強制的に魔法学校に入学させられることに。そのうちなぜか王太子から溺愛されるようになったけれど王太子にはなにやら秘密がありそうで……?!
※適宜内容を修正する場合があります

精霊の加護を持つ聖女。偽聖女によって追放されたので、趣味のアクセサリー作りにハマっていたら、いつの間にか世界を救って愛されまくっていた
向原 行人
恋愛
精霊の加護を受け、普通の人には見る事も感じる事も出来ない精霊と、会話が出来る少女リディア。
聖女として各地の精霊石に精霊の力を込め、国を災いから守っているのに、突然第四王女によって追放されてしまう。
暫くは精霊の力も残っているけれど、時間が経って精霊石から力が無くなれば魔物が出て来るし、魔導具も動かなくなるけど……本当に大丈夫!?
一先ず、この国に居るとマズそうだから、元聖女っていうのは隠して、別の国で趣味を活かして生活していこうかな。
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。


愛しい義兄が罠に嵌められ追放されたので、聖女は祈りを止めてついていくことにしました。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
グレイスは元々孤児だった。孤児院前に捨てられたことで、何とか命を繋ぎ止めることができたが、孤児院の責任者は、領主の補助金を着服していた。人数によって助成金が支払われるため、餓死はさせないが、ギリギリの食糧で、最低限の生活をしていた。だがそこに、正義感に溢れる領主の若様が視察にやってきた。孤児達は救われた。その時からグレイスは若様に恋焦がれていた。だが、幸か不幸か、グレイスには並外れた魔力があった。しかも魔窟を封印する事のできる聖なる魔力だった。グレイスは領主シーモア公爵家に養女に迎えられた。義妹として若様と一緒に暮らせるようになったが、絶対に結ばれることのない義兄妹の関係になってしまった。グレイスは密かに恋する義兄のために厳しい訓練に耐え、封印を護る聖女となった。義兄にためになると言われ、王太子との婚約も泣く泣く受けた。だが、その結果は、公明正大ゆえに疎まれた義兄の追放だった。ブチ切れた聖女グレイスは封印を放り出して義兄についていくことにした。
公爵令嬢エイプリルは嘘がお嫌い〜断罪を告げてきた王太子様の嘘を暴いて差し上げましょう〜
星里有乃
恋愛
「公爵令嬢エイプリル・カコクセナイト、今日をもって婚約は破棄、魔女裁判の刑に処す!」
「ふっ……わたくし、嘘は嫌いですの。虚言症の馬鹿な異母妹と、婚約者のクズに振り回される毎日で気が狂いそうだったのは事実ですが。それも今日でおしまい、エイプリル・フールの嘘は午前中まで……」
公爵令嬢エイプリル・カコセクナイトは、新年度の初日に行われたパーティーで婚約者のフェナス王太子から断罪を言い渡される。迫り来る魔女裁判に恐怖で震えているのかと思われていたエイプリルだったが、フェナス王太子こそが嘘をついているとパーティー会場で告発し始めた。
* エイプリルフールを題材にした作品です。更新期間は2023年04月01日・02日の二日間を予定しております。
* この作品は小説家になろうさんとアルファポリスさんに投稿しております。

【完結】私のことを愛さないと仰ったはずなのに 〜家族に虐げれ、妹のワガママで婚約破棄をされた令嬢は、新しい婚約者に溺愛される〜
ゆうき
恋愛
とある子爵家の長女であるエルミーユは、家長の父と使用人の母から生まれたことと、常人離れした記憶力を持っているせいで、幼い頃から家族に嫌われ、酷い暴言を言われたり、酷い扱いをされる生活を送っていた。
エルミーユには、十歳の時に決められた婚約者がおり、十八歳になったら家を出て嫁ぐことが決められていた。
地獄のような家を出るために、なにをされても気丈に振舞う生活を送り続け、無事に十八歳を迎える。
しかし、まだ婚約者がおらず、エルミーユだけ結婚するのが面白くないと思った、ワガママな異母妹の策略で騙されてしまった婚約者に、婚約破棄を突き付けられてしまう。
突然結婚の話が無くなり、落胆するエルミーユは、とあるパーティーで伯爵家の若き家長、ブラハルトと出会う。
社交界では彼の恐ろしい噂が流れており、彼は孤立してしまっていたが、少し話をしたエルミーユは、彼が噂のような恐ろしい人ではないと気づき、一緒にいてとても居心地が良いと感じる。
そんなブラハルトと、互いの結婚事情について話した後、互いに利益があるから、婚約しようと持ち出される。
喜んで婚約を受けるエルミーユに、ブラハルトは思わぬことを口にした。それは、エルミーユのことは愛さないというものだった。
それでも全然構わないと思い、ブラハルトとの生活が始まったが、愛さないという話だったのに、なぜか溺愛されてしまい……?
⭐︎全56話、最終話まで予約投稿済みです。小説家になろう様にも投稿しております。2/16女性HOTランキング1位ありがとうございます!⭐︎
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる