国外追放ですか?畏まりました(はい、喜んでっ!)

ゆきりん(安室 雪)

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「セイラ」

 あと数歩で神殿に着く距離になった所で、デュークに腕を引っ張られた。その力は強く、勢い余ってデュークの硬い胸筋にセイラの頬が当たり、抱き留められる。

「デューク、どうしたの!?あ、あぶないじゃないのっ」

 抱きしめられたまま、アタフタと聞くがデュークは更にギュッと抱きしめた。

「俺は、いつもセイラを見てた。だから」

 真剣な言葉は、

「急いでるんだっ!!通してくれっ!!」

 と、フラフラになりながら走ってきた神官の出立ちをした男の声に遮られた。

 はぁ~っ、とため息を吐いたデュークに手を引かれ、2人は神殿の中に入って行った。



 神殿の中には既に沢山の神官が集まって来ている。

 ざっと数えて10人、て事は地方の神官が全員揃っていると言う事だ。今入って来たばかりの神官に神官長様が、水晶の状態をたずねた。するとたずねられた神官は上擦った声で、

「それが、午後の祈りの時間に突如水晶が光出しまして・・・!!そう、この大水晶の様な光りかたをしているのですっ!!今まで見た事がありません!!神官長様っ、どうしたらこの様な事にっ!ただでさえ魔獣の対応で手一杯なのですっ!!」

 神官が言い終わると、周りにいる他の神官達も頷き合っている。多分、他の神官達も同じ様に神官長様に報告したのだろう。

 神官長様は一同をゆっくり見渡し、セイラと一瞬目を合わせるがすぐにまた神官達を見渡しはじめ、口を開いた。

「時に神官達よ。おのおのの神殿から此処に向かう途中で魔獣に出会ったであろうか?最近は魔獣の被害が増えておるのは周知の事実だ」

 すると、神官達は一瞬の間があった後、

「そういえば・・・」

「今日は・・・」

「どう言う事だ?」

 ざわざわとし始めた場に、神官長様の声が響き渡る。

「此処に来るまでに魔獣を見た者は挙手を!」

 神官達は首を捻るが、誰も手を挙げる者はいなかった。

「うむ。水晶が光り出してから魔獣を見た者はいないと言う事だな?さて、説明をしようか」

 神官長様はセイラが戻って来てからの出来事を話しはじめた。







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