34 / 50
33
しおりを挟む
セイラの答えに、
「オムレツ、オムレツ・・・。我が国はオムレツに負けると言うのか・・・。いや、しかし、オムレツは美味い・・・」
国王様はブツブツと呟き始めたが、デュークが騎士に伴われやって来ると、
「2人には申し訳無いことをした。数日、城で休んでいってくれて構わぬ。オムレツには負けたが、魔獣にはまだ完敗しておらぬっ」
そう言って、寝室に入って行ってしまったので、ありがたく休ませて貰う事にした、一晩中馬の上で過ごし、一睡もしていないのだ。騎士に連れられ、来賓用の部屋に案内される途中で侍女が案内を代わる。
「セイラ様はこちらの部屋を。お連れの方は隣の部屋になります」
デュークの部屋は手で示された。
セイラは室内まで案内され、細々と世話を焼こうとしてくれるが、早く1人になり休みたかったので、世話は不要だと言い部屋から出て行ってもらった。
侍女は不服そうにしながらも、着替え用の服の位置などを伝えてくれた後、部屋から出た。
ふうっ、と溜息を吐き、セイラはシャワーを浴びる事にした。
昨日、温泉に入れなかったし馬の上は砂埃がモロにかかるのだ。シャワーを浴びると浴槽に湯が張ってあるのに気がついた。
「あら!?薔薇のいい香りがするわ。オイルが垂らしてあるのかしら?」
折角なので、お湯に浸かる事にした。最近は温泉ばかりに入っていたので、薔薇のお風呂に浸かるのは新鮮だった。
「ふふっ、いい香りだわ」
ご機嫌でお風呂から上がったセイラは素早く髪を乾かし、ベッドに潜り込んだ。
そして、夢を見た。
禍々しい空気感に当たりを見渡すと、荒れ果てた農地・痩せ細った家畜達。
『助けて・助けて・・・」
と何処からともなく声が聞こえる。
『苦しい・苦しいよ、聖女様・・・』
パッと目を覚ますと、豪華な天蓋付きのベッドから身を起こし、汗だくだった。
あれは・・・、大地の悲鳴?
こんな事、初めてだわ。大地が限界を訴えてくるなんて・・・。
再び寝付く事は出来そうにない。
時間はそろそろお昼位だろうか?イヤな汗をかいたので、もう一度シャワーを浴び、着替え用のドレスを借りた。身支度を整えるとタイミングよく、侍女が昼食をどうするか聞きにきた。昨夕食べたきりなので、食べる返事をすると別室に案内してくれるようだ。
隣室のデュークにも声をかけ、2人で廊下を歩く。そして、侍女に気になった事を聞く事にした。
「この国の民は、きちんと生活出来ているのかしら?」
すると、侍女の足はピタリと止まった。
「オムレツ、オムレツ・・・。我が国はオムレツに負けると言うのか・・・。いや、しかし、オムレツは美味い・・・」
国王様はブツブツと呟き始めたが、デュークが騎士に伴われやって来ると、
「2人には申し訳無いことをした。数日、城で休んでいってくれて構わぬ。オムレツには負けたが、魔獣にはまだ完敗しておらぬっ」
そう言って、寝室に入って行ってしまったので、ありがたく休ませて貰う事にした、一晩中馬の上で過ごし、一睡もしていないのだ。騎士に連れられ、来賓用の部屋に案内される途中で侍女が案内を代わる。
「セイラ様はこちらの部屋を。お連れの方は隣の部屋になります」
デュークの部屋は手で示された。
セイラは室内まで案内され、細々と世話を焼こうとしてくれるが、早く1人になり休みたかったので、世話は不要だと言い部屋から出て行ってもらった。
侍女は不服そうにしながらも、着替え用の服の位置などを伝えてくれた後、部屋から出た。
ふうっ、と溜息を吐き、セイラはシャワーを浴びる事にした。
昨日、温泉に入れなかったし馬の上は砂埃がモロにかかるのだ。シャワーを浴びると浴槽に湯が張ってあるのに気がついた。
「あら!?薔薇のいい香りがするわ。オイルが垂らしてあるのかしら?」
折角なので、お湯に浸かる事にした。最近は温泉ばかりに入っていたので、薔薇のお風呂に浸かるのは新鮮だった。
「ふふっ、いい香りだわ」
ご機嫌でお風呂から上がったセイラは素早く髪を乾かし、ベッドに潜り込んだ。
そして、夢を見た。
禍々しい空気感に当たりを見渡すと、荒れ果てた農地・痩せ細った家畜達。
『助けて・助けて・・・」
と何処からともなく声が聞こえる。
『苦しい・苦しいよ、聖女様・・・』
パッと目を覚ますと、豪華な天蓋付きのベッドから身を起こし、汗だくだった。
あれは・・・、大地の悲鳴?
こんな事、初めてだわ。大地が限界を訴えてくるなんて・・・。
再び寝付く事は出来そうにない。
時間はそろそろお昼位だろうか?イヤな汗をかいたので、もう一度シャワーを浴び、着替え用のドレスを借りた。身支度を整えるとタイミングよく、侍女が昼食をどうするか聞きにきた。昨夕食べたきりなので、食べる返事をすると別室に案内してくれるようだ。
隣室のデュークにも声をかけ、2人で廊下を歩く。そして、侍女に気になった事を聞く事にした。
「この国の民は、きちんと生活出来ているのかしら?」
すると、侍女の足はピタリと止まった。
14
お気に入りに追加
1,438
あなたにおすすめの小説

王子からの縁談の話が来たのですが、双子の妹が私に成りすまして王子に会いに行きました。しかしその結果……
水上
恋愛
侯爵令嬢である私、エマ・ローリンズは、縁談の話を聞いて喜んでいた。
相手はなんと、この国の第三王子であるウィリアム・ガーヴィー様である。
思わぬ縁談だったけれど、本当に嬉しかった。
しかし、その喜びは、すぐに消え失せた。
それは、私の双子の妹であるヘレン・ローリンズのせいだ。
彼女と、彼女を溺愛している両親は、ヘレンこそが、ウィリアム王子にふさわしいと言い出し、とんでもない手段に出るのだった。
それは、妹のヘレンが私に成りすまして、王子に近づくというものだった。
私たちはそっくりの双子だから、確かに見た目で判断するのは難しい。
でも、そんなバカなこと、成功するはずがないがないと思っていた。
しかし、ヘレンは王宮に招かれ、幸せな生活を送り始めた。
一方、私は王子を騙そうとした罪で捕らえられてしまう。
すべて、ヘレンと両親の思惑通りに事が進んでいた。
しかし、そんなヘレンの幸せは、いつまでも続くことはなかった。
彼女は幸せの始まりだと思っていたようだけれど、それは地獄の始まりなのだった……。
※この作品は、旧作を加筆、修正して再掲載したものです。

アクアリネアへようこそ
みるくてぃー
恋愛
突如両親を亡くしたショックで前世の記憶を取り戻した私、リネア・アージェント。
家では叔母からの嫌味に耐え、学園では悪役令嬢の妹して蔑まれ、おまけに齢(よわい)70歳のお爺ちゃんと婚約ですって!?
可愛い妹を残してお嫁になんて行けないわけないでしょ!
やがて流れ着いた先で小さな定食屋をはじめるも、いつしか村全体を巻き込む一大観光事業に駆り出される。
私はただ可愛い妹と暖かな暮らしがしたいだけなのよ!
働く女の子が頑張る物語。お仕事シリーズの第三弾、食と観光の町アクアリネアへようこそ。

婚約破棄された私の結婚相手は殿下限定!?
satomi
恋愛
私は公爵家の末っ子です。お兄様にもお姉さまにも可愛がられて育ちました。我儘っこじゃありません!
ある日、いきなり「真実の愛を見つけた」と婚約破棄されました。
憤慨したのが、お兄様とお姉さまです。
お兄様は今にも突撃しそうだったし、お姉さまは家門を潰そうと画策しているようです。
しかし、2人の議論は私の結婚相手に!お兄様はイケメンなので、イケメンを見て育った私は、かなりのメンクイです。
お姉さまはすごく賢くそのように賢い人でないと私は魅力を感じません。
婚約破棄されても痛くもかゆくもなかったのです。イケメンでもなければ、かしこくもなかったから。
そんなお兄様とお姉さまが導き出した私の結婚相手が殿下。
いきなりビックネーム過ぎませんか?

双子の妹は私に面倒事だけを押し付けて婚約者と会っていた
今川幸乃
恋愛
レーナとシェリーは瓜二つの双子。
二人は入れ替わっても周囲に気づかれないぐらいにそっくりだった。
それを利用してシェリーは学問の手習いなど面倒事があると「外せない用事がある」とレーナに入れ替わっては面倒事を押し付けていた。
しぶしぶそれを受け入れていたレーナだが、ある時婚約者のテッドと話していると会話がかみ合わないことに気づく。
調べてみるとどうもシェリーがレーナに成りすましてテッドと会っているようで、テッドもそれに気づいていないようだった。

【完結】「第一王子に婚約破棄されましたが平気です。私を大切にしてくださる男爵様に一途に愛されて幸せに暮らしますので」
まほりろ
恋愛
学園の食堂で第一王子に冤罪をかけられ、婚約破棄と国外追放を命じられた。
食堂にはクラスメイトも生徒会の仲間も先生もいた。
だが面倒なことに関わりたくないのか、皆見てみぬふりをしている。
誰か……誰か一人でもいい、私の味方になってくれたら……。
そんなとき颯爽?と私の前に現れたのは、ボサボサ頭に瓶底眼鏡のひょろひょろの男爵だった。
彼が私を守ってくれるの?
※ヒーローは最初弱くてかっこ悪いですが、回を重ねるごとに強くかっこよくなっていきます。
※ざまぁ有り、死ネタ有り
※他サイトにも投稿予定。
「Copyright(C)2021-九頭竜坂まほろん」

婚約破棄されたショックで前世の記憶を取り戻して料理人になったら、王太子殿下に溺愛されました。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
シンクレア伯爵家の令嬢ナウシカは両親を失い、伯爵家の相続人となっていた。伯爵家は莫大な資産となる聖銀鉱山を所有していたが、それを狙ってグレイ男爵父娘が罠を仕掛けた。ナウシカの婚約者ソルトーン侯爵家令息エーミールを籠絡して婚約破棄させ、そのショックで死んだように見せかけて領地と鉱山を奪おうとしたのだ。死にかけたナウシカだが奇跡的に助かったうえに、転生前の記憶まで取り戻したのだった。

醜い傷ありと蔑まれてきた私の顔に刻まれていたのは、選ばれし者の証である聖痕でした。今更、態度を改められても許せません。
木山楽斗
恋愛
エルーナの顔には、生まれつき大きな痣がある。
その痣のせいで、彼女は醜い傷ありと蔑まれて生きてきた。父親や姉達から嫌われて、婚約者からは婚約破棄されて、彼女は、痣のせいで色々と辛い人生を送っていたのである。
ある時、彼女の痣に関してとある事実が判明した。
彼女の痣は、聖痕と呼ばれる選ばれし者の証だったのだ。
その事実が判明して、彼女の周囲の人々の態度は変わった。父親や姉達からは媚を売られて、元婚約者からは復縁を迫られて、今までの態度とは正反対の態度を取ってきたのだ。
流石に、エルーナもその態度は頭にきた。
今更、態度を改めても許せない。それが彼女の素直な気持ちだったのだ。
※5話目の投稿で、間違って別の作品の5話を投稿してしまいました。申し訳ありませんでした。既に修正済みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる