国外追放ですか?畏まりました(はい、喜んでっ!)

ゆきりん(安室 雪)

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 デュークとお風呂場に向かう。もちろん蛇口は手に持っている。

 元々あるバスタブにお湯を入れる蛇口の横に、温泉の蛇口を近づけてみる。すると、何と言う事でしょう!!まるでこちらの意図を汲み取ったかのように、蛇口が壁にペタリと張り付いた。恐る恐る蛇口を捻ると温泉が出てきた。

「熱っ!!もう少しぬるい方がいいわね。どうすればいいかしら?」

 すると、コレも意図を汲み取り少し温度が下がる。

「もう少し下げてみて?」

 蛇口に話しかけると更に少し温度が下がった。凄いっ!!

 今はまだ温泉に浸かる時間が無いので、蛇口を閉める。そして、店でお茶を飲みながら一息付く事にした。



「魔道具って凄いのね。宿屋の温泉はソレと知らずに使っていたわ。でも、魔道具って高価な物よね?烏骨鶏の代金を少し安くした位で、リンダさんは元が取れるのかしら?」

「多分、取れると思ったのだろうな?セイラが長く店を続けたら。鶏の卵、烏骨鶏の卵、新鮮な野菜。リンダさんのレストランも食材をメインに押し出してくる可能性もあるかな。まあ、客層はあまり被らないとは思うけどな?こればっかりは開いてみないと何とも分からない部分だが、縁のミケがいるから店が困る事にはならないだろう」

「そうね。リンダさんが色々仕入れてくれる様だから、お客さんが少なくても全然大丈夫そうだしね。めどが付いたから、デュークはそろそろジェイの元に戻るのかしら?」

 なるべく明るい声で言う。

 本来、騎士であるデュークをいつまでもココにしばっていても申し訳ない。ある意味、私の我儘に付き合って貰っている状態なのだ。優しく接してくれているのも、本来の上司、ジェイに言われているからだろう。

 なんかこれ以上デュークと一緒にいると、全部頼ってしまいそうになる。そろそろ1人の生活に慣れて行かないとね。

「明日朝には宿屋を引き払い、その足で王都に戻ってもらっても大丈夫・・・」

 大丈夫よ、と言おうとしたが、デュークに阻まれる。

「いえ、独り立ちする迄が俺の任務です。この店が軌道に乗るまで、きちんと見届けさせてもらいます」

 キッパリと言い切ってしまう。

「あ、じゃあもうしばらくお願いね?でも、明日の朝には宿屋は引き払いましょう。明日からこちらに住む事にします。もちろんデュークもね?午後からは部屋の家具を買いに行きましょう」

 もうしばらくはデュークと一緒に居られる。嬉しいが少し複雑な気分だ。

 昼食後、2人は街に家具を見にいき、ついでにセイラは両親に生活の拠点が決まったと手紙を出した。





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