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 宿屋のレストランに着くと、ちょうどケミュさんに出会った。

「あっ!!ケミュさん、おはようございます。今、少しいいですか?」

「セイラさん・デュークさんおはようございます。どうしましたか?」

 ケミュさんはいつも通り優しく聞いてくる。

「実は知り合いから鶏を分けてもらったんですけど、卵をいっぱい産んで、まだお店も営業してないので困ってて。こちらのお店で使ってもらえないかなと」

「ああ、なるほど。数はどれくらいですか?」

「50個なんだけど」

 持っていたカゴに入った卵を見せる。

「50個ですか!!ソレは多いですね、ちょっと待ってて下さい」

 ケミュさんは厨房の中に入り、1人の女性と共に出てきた。

「私が料理長を務めてますリンダです。卵を一つ割ってみてもいいですか?」

 「ええ、どうぞ」

 答えるとリンダさんは平なお皿に卵を割り入れ、上から横から眺め、箸でつついた。

「ふむ、これは珍しい。とても新鮮ですね。この辺りに流通する安価な卵は採卵からかなり日が経ったものなんです。あまり高値は付けれませんが、そうですね1つ100ルビーでどうでしょうか?」

「えっ、買って頂けるんですか?嬉しいです」

 セイラは引き取ってもらえればタダであげるつもりだったので、有難い申し出だ。

「鶏を飼い始めてお店を出すと聞きました。もし卵が余る様でしたら定期的にうちで買い取りますよ。柔らかい若鶏も」

 リンダさんはニコニコ笑顔だ。

「卵はお願いしたいですが、若鶏は様子を見ながらでもいいですか?まだ飼育始めたばかりでどれくらいで繁殖・成長するか掴めてなくて」

「ええ、うちとしてはまず卵を仕入れ出来れば嬉しいので。で、セイラさんはどんなメニューをメインに考えてますか?」

「今の所、オムレツやオムライス・パンケーキです」

 当初から考えているメニューを答える。

「では、うちは被らないメニューにしよう。じゃあ、明日以降は夕方に卵をとりに行かせるよ。新鮮卵を売って貰えるなんて、いいご縁だ」

 そう言ってリンダさんは厨房に入って行った。

「セイラさん、卵頂きますね。で、これがお代です。今日の夕方、一度お店に伺いますね」

「はい、お願いします」


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