国外追放ですか?畏まりました(はい、喜んでっ!)

ゆきりん(安室 雪)

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 その後私達は、セイラ・デュークと呼び捨てにする事になった。理由は婚約者設定だから。当初、デュークは渋ったが納得してもらった。

 「それで、セイラは自分で何か商売をはじめるのと働きにでるのと、どっちがいい?」

 遅い食事をしながらデュークが聞いてくる。

 とりあえず温泉に浸かって、ゆっくり考えるつもりだったのでびっくりする。

 「え?ええと。あの人が約束さえ守ってくれれば、食べて行くのに困る事はないと思うの。だから、小さな家を買って趣味でカフェをやりたいかな?人を雇うつもりはなくて、ホントに小さなお店でいいのよ」

 「カフェ・・・」

 「ええ。ランチとアフタヌーンティーを楽しむお店。昔、海外の記事でフワフワのオムレツを見たの。で、真似したら作れるようになったから、ランチにオムレツとオムライス、午後はフワフワのパンケーキを売りにしようかなって。あ、もちろん1人だからあんまりメニューは増やせないんだけどね?」

 「そうですか、俺もオムライスは好きだけど。フワフワのオムレツも気になる。オムレツの卵は硬いのが当たり前だからな」

 「でしょ!?海外の記事では修道院の名物って書いてあってね。作ってみたらすっごく美味しいのよ。まるで天使の羽根みたいにフワフワで。あっ、『天使のオムレツ』なんてどうかな?」

 「可愛いと思います。明日から店舗兼家を探してみましょうか?」

 「ええっ!!是非っ!!私が独り立ちしないとデュークが迷惑だもんね」

 早く独り立ちして騎士団に帰してあげないと申し訳無いわ、

 「いえ、迷惑では無いのでお気になさらずに」

 デュークはニッコリと笑った。




 夕食から戻り、セイラは温泉に浸かる。

 「ふわぁ~、気持ちいいわ。半露天で星が見えるのって素敵だわ。最長で1ヶ月この温泉が楽しめるのね~。婚約破棄されてみるもんだわ~」

 と、温泉を堪能していると空から何かが降ってきて、温泉の中に

 『ドボンッ!!』

 お湯を大量に溢れさせた。

 「きゃあ!!何っ、何っ!?」

 何が起こったのっ!?

 「どうしたんですか、セイラっ!?」

 バタバタと足音が聞こえ、部屋と半露天を隔てる扉が開けられる。

 「キャッ!?デュークっ!?」

 「す、すみませんっ!!でも、悲鳴が聞こえてきたので・・・」

 デュークはクルリと背を向け話しかけてくる。

 「え、ええ。空から温泉の中に何か落ちてきて。何かしら?」

 「セイラは触らない方が」

 「でも、何か白いのが浮いているの。ネコかしら?」

 「失礼して拾い上げてもいいですか?」

 「わ、私が拾い上げるわ。溺れてるのかしら?動かないわ」

 拾い上げ、お湯をすくう木の桶に入れ、デュークに渡そうとするが、デュークは後ろ向きに歩いてきて浴槽に当たり、

 『ドボンッ!!』

 浴槽に入ってしまった。

 「すっ、すいませんっ!!」

 デュークは慌てて浴槽から飛び出して行った。

 う~ん、ネコの次にはデュークが飛び込んで来るって・・・。見てないわよね?




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