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ハズキとオラハルト伯爵が会場へ戻ると、先程よりも更に人が増えていた。
余りの人の多さにビックリすると、シリウスから飲み物を飲んで少し休憩しないかと誘われる。
「そうだね、ナツキの謝罪なんて慣れないモノを聞いたから喉乾いちゃったかも。でも、うわぁ!飲み物の種類って、こんなにも用意されているんだな」
ドリンクコーナーの前にはサンプルとして、ソフトドリンク・ウィスキー・ワイン・カクテル・果実酒等が並べてある。
「ハズキは王宮のパーティーには、あまり参加した事が無いのか?」
シリウスが耳元で問う。
「うん。うちあんまり裕福じゃないの知ってるだろ?だから、何チャラパーティーとかは最小限の参加だけだったんだ。俺もナツキも。ミツキ姉だけは長女だから色々参加させられてたな。そのせいか、ナツキはミツキ姉をいつも羨ましそうに見てたし、お下がりのドレスには不満気だったな、まあ、ナツキの不満わ受け止めたミツキ姉が自分のドレスを作り直して、ナツキ用に仕立て直したのが今のミツキ姉のルーツになるんだから。チャンスはどこにでもあるって事だよな~」
「そうだな、ミツキ殿の優しさが今のデザイナーと言う仕事につながっていくのだからな。そう考えるとナツキ嬢は恵まれてるな」
「まあね、貧乏以外は家族にも友達にも恵まれてると思う」
そう、今まで生活出来てきた事が不思議な程の貧乏だったのだ。
「その恵まれてるに、俺は含まれないのか?」
シリウスは低い声で言い、ハズキの腰を引き寄せた。
「ソコとは別次元で、素敵な旦那さんに恵まれてますっ!!」
そんなやり取りをしていると、不意にナツキの切羽詰まった声が聞こえてきた。
「ハズキ、危ないわっ!!」
すぐにナツキが走ってくるとの令嬢の間に立ち塞がった。
「死になさいよっ!!」
怒鳴る令嬢の声と共に、周りには小さな悲鳴が上がる。シリウスも振り返りながらも俺を抱きしめた。
その瞬間、シリウスの身体越しに『ドンッ』とぶつかった振動がある。
数秒後、シリウスから身体を離されるが、シリウスは何かを蹴り飛ばし、飛ばされた者は周りに集まってきた騎士に身柄を拘束されている。今までシリウスが立っていた場所には、ナツキが血を流し倒れていた。
「ナツキッ、ナツキッ!!」
ナツキの身体を揺すらない様に、俺は床に座り込み呼びかけるが、閉じられた瞼はピクリとも動かないままだった。
余りの人の多さにビックリすると、シリウスから飲み物を飲んで少し休憩しないかと誘われる。
「そうだね、ナツキの謝罪なんて慣れないモノを聞いたから喉乾いちゃったかも。でも、うわぁ!飲み物の種類って、こんなにも用意されているんだな」
ドリンクコーナーの前にはサンプルとして、ソフトドリンク・ウィスキー・ワイン・カクテル・果実酒等が並べてある。
「ハズキは王宮のパーティーには、あまり参加した事が無いのか?」
シリウスが耳元で問う。
「うん。うちあんまり裕福じゃないの知ってるだろ?だから、何チャラパーティーとかは最小限の参加だけだったんだ。俺もナツキも。ミツキ姉だけは長女だから色々参加させられてたな。そのせいか、ナツキはミツキ姉をいつも羨ましそうに見てたし、お下がりのドレスには不満気だったな、まあ、ナツキの不満わ受け止めたミツキ姉が自分のドレスを作り直して、ナツキ用に仕立て直したのが今のミツキ姉のルーツになるんだから。チャンスはどこにでもあるって事だよな~」
「そうだな、ミツキ殿の優しさが今のデザイナーと言う仕事につながっていくのだからな。そう考えるとナツキ嬢は恵まれてるな」
「まあね、貧乏以外は家族にも友達にも恵まれてると思う」
そう、今まで生活出来てきた事が不思議な程の貧乏だったのだ。
「その恵まれてるに、俺は含まれないのか?」
シリウスは低い声で言い、ハズキの腰を引き寄せた。
「ソコとは別次元で、素敵な旦那さんに恵まれてますっ!!」
そんなやり取りをしていると、不意にナツキの切羽詰まった声が聞こえてきた。
「ハズキ、危ないわっ!!」
すぐにナツキが走ってくるとの令嬢の間に立ち塞がった。
「死になさいよっ!!」
怒鳴る令嬢の声と共に、周りには小さな悲鳴が上がる。シリウスも振り返りながらも俺を抱きしめた。
その瞬間、シリウスの身体越しに『ドンッ』とぶつかった振動がある。
数秒後、シリウスから身体を離されるが、シリウスは何かを蹴り飛ばし、飛ばされた者は周りに集まってきた騎士に身柄を拘束されている。今までシリウスが立っていた場所には、ナツキが血を流し倒れていた。
「ナツキッ、ナツキッ!!」
ナツキの身体を揺すらない様に、俺は床に座り込み呼びかけるが、閉じられた瞼はピクリとも動かないままだった。
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楽しく拝見させていただいてます。
読んでいるうちに気づいたのですが、1話ではオラハルト伯爵であったのが11話では公爵となっていたのですが…
続きが読みたいです。
帰ってくるのを待ってました(^_^)