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広いダイニングルームには、微かなカトラリーを使う音が聞こえる以外は、音がしない。
その部屋には向かい合い座り、温かな日差しの中朝食を食べている新婚夫婦がいるにも関わらずだ。
2人の周りで給仕しているメイドも、控えている執事も言葉を発する事は無い。
ハズキは息苦しさを覚えるが、あえて言葉を発する事はしなかった。何故、シリウスと朝食を食べなければならなくなったのか。
1時間程前に遡る。
シリウスの唇が甘く朝から昨夜の続きをしたいと囁いたが、色気も何もなく
『今は無理っ!尻が壊れるっ!!』
と盛大に叫んだハズキに、シリウスはガッツリと濃厚なキスをし、判断能力が無くなった頃、
『ハズキ、お前と俺は初夜を迎えたよな?夫婦だ。夫婦は一緒に食事を摂るものだよな?お前は常に夫である俺と共にあるべきだ。そうだよな、ハズキ?ほら、キスの続きをして欲しいなら頷け』
後半を優しく言われ、優しいキスをして欲しくてハズキは頷いてしまったのだ。
『言質は取ったぞ、ハズキ』
その後、濃厚なキスをされ半ば意識を飛ばしてしまったハズキは、シリウスの部屋にやって来たマリナに起こされた。
「ハズキ様っ、起きて下さいっ!!色々状況変わってきてるんですよ!!」
「ん・・・、マリナおはよ・・・」
頭が回らなく、ぼ~っとする。
「ハズキ様の身支度を整えてダイニングに連れてくる様にって直接シリウス様が来たんですけど?ど~ゆ~事ですか?ハズキ様が完全に嫁になったと、気持ち悪い位に笑顔でのたまっていきましたけどっ!?」
「気持ち悪いって・・・、マリナ。一応、この家の主人で、マリナの給料もシリウスのオラハルト家から出るんだけど・・・な」
「私はナツキ様付きのメイドですから、ハズキ様が正式に嫁の座に収ったので、このオラハルト家を退職し、ナツキ様の元に戻りたいと思います」
しれっとマリナはナツキの所に戻りたいと言う。それは、
「やっぱりナツキの居場所を知ってたのかっ!?」
「当たり前じゃないですか。そんな事よりも早く着替えて下さい。シリウス様がお待ちですよ」
マリナに話を打ち切られ、ドレスに着替えさせられる。
「俺、シリウスと飯食べたく無い」
着替えたハズキは、マリナにせっつかれながらダイニングに向かわされる間中、ブチブチと文句を言う。
「そもそも、俺が嫁になるなんてどうかしてるっ!!俺はマリナと一緒に飯が食いたいっ!!シリウスなんかイヤだ、マリナがいいんだっ!!なっ!?マリナ、断って来てくれっ!!」
俺はマリナに懇願する。
「ハズキ様、無理ですよ。既にダイニングに着いてます」
マリナの言葉に周りを見渡すと、眉間に皺を寄せたシリウスが睨みつけ、メイド達は皆俯きながらも朝食の配膳をしている。
マリナに椅子を引かれ、シリウスの正面に座らされ、無言の食事が始まった。
シリウスは無言のままに食事を終えると、スタスタと部屋を出て行った。その後ろ姿を見てハズキは、『ふぅ~っ』と大きなため息を吐いた。
その部屋には向かい合い座り、温かな日差しの中朝食を食べている新婚夫婦がいるにも関わらずだ。
2人の周りで給仕しているメイドも、控えている執事も言葉を発する事は無い。
ハズキは息苦しさを覚えるが、あえて言葉を発する事はしなかった。何故、シリウスと朝食を食べなければならなくなったのか。
1時間程前に遡る。
シリウスの唇が甘く朝から昨夜の続きをしたいと囁いたが、色気も何もなく
『今は無理っ!尻が壊れるっ!!』
と盛大に叫んだハズキに、シリウスはガッツリと濃厚なキスをし、判断能力が無くなった頃、
『ハズキ、お前と俺は初夜を迎えたよな?夫婦だ。夫婦は一緒に食事を摂るものだよな?お前は常に夫である俺と共にあるべきだ。そうだよな、ハズキ?ほら、キスの続きをして欲しいなら頷け』
後半を優しく言われ、優しいキスをして欲しくてハズキは頷いてしまったのだ。
『言質は取ったぞ、ハズキ』
その後、濃厚なキスをされ半ば意識を飛ばしてしまったハズキは、シリウスの部屋にやって来たマリナに起こされた。
「ハズキ様っ、起きて下さいっ!!色々状況変わってきてるんですよ!!」
「ん・・・、マリナおはよ・・・」
頭が回らなく、ぼ~っとする。
「ハズキ様の身支度を整えてダイニングに連れてくる様にって直接シリウス様が来たんですけど?ど~ゆ~事ですか?ハズキ様が完全に嫁になったと、気持ち悪い位に笑顔でのたまっていきましたけどっ!?」
「気持ち悪いって・・・、マリナ。一応、この家の主人で、マリナの給料もシリウスのオラハルト家から出るんだけど・・・な」
「私はナツキ様付きのメイドですから、ハズキ様が正式に嫁の座に収ったので、このオラハルト家を退職し、ナツキ様の元に戻りたいと思います」
しれっとマリナはナツキの所に戻りたいと言う。それは、
「やっぱりナツキの居場所を知ってたのかっ!?」
「当たり前じゃないですか。そんな事よりも早く着替えて下さい。シリウス様がお待ちですよ」
マリナに話を打ち切られ、ドレスに着替えさせられる。
「俺、シリウスと飯食べたく無い」
着替えたハズキは、マリナにせっつかれながらダイニングに向かわされる間中、ブチブチと文句を言う。
「そもそも、俺が嫁になるなんてどうかしてるっ!!俺はマリナと一緒に飯が食いたいっ!!シリウスなんかイヤだ、マリナがいいんだっ!!なっ!?マリナ、断って来てくれっ!!」
俺はマリナに懇願する。
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マリナの言葉に周りを見渡すと、眉間に皺を寄せたシリウスが睨みつけ、メイド達は皆俯きながらも朝食の配膳をしている。
マリナに椅子を引かれ、シリウスの正面に座らされ、無言の食事が始まった。
シリウスは無言のままに食事を終えると、スタスタと部屋を出て行った。その後ろ姿を見てハズキは、『ふぅ~っ』と大きなため息を吐いた。
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