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ハズキは教会から戻ると図書室に行き、刺繍の本を見てみる。案外色々なジャンルが取り揃えてある事に前回気がついたのだ。
おっ、イニシャルの図案あるじゃん!しかも、誰か使ったのかな?折り目が付いてたりする。その本を借りて行く事にした。
教会からの帰り道、手芸用品店で刺繍用のハンカチを追加して買ったので、準備万端だ。
まずは練習に・・・。
「セバスチャン、今良いかしら?」
「ナツキ様、どうかされましたか?」
「あの、試作品なんだけどハンカチに刺繍してみたの。良かったら使ってみて?」
ラッピングなどはしておらず、そのままの状態で渡す。セバスチャンの『S』を花文字で刺繍したものだ。
「私にですか、ありがとうございます。はっ!この図柄は・・・」
セバスチャンはびっくりした顔だ。
「図書室にある図柄を参考にしたのだけど、変だったかしら?」
「いえ、昔頂いた物と同じ図柄だったので、びっくりしました。そうですか・・・、図書室の」
しんみりしたセバスチャンを置いて部屋に帰る事にした。
セバスチャンのハンカチで糸と布の相性はわかってので、他のアルファベットも作って行く。刺繍の図柄にはアルファベット毎に作る枚数と昔のバザーの日が書かれているメモが挟まっていた。もう、10年以上も前の日付だった。ソレはそのまま挟んでおく事にした。
「なあ、マリナ。シリウスにもあげとくべきか?ハンカチ」
「どっちでもいいじゃないですか?ナツキ様次第ですよ」
最近マリナは2人のときでも絶対に『ナツキ』と言うようになった。ポロッと言い間違え無いようにする為らしい。
「じゃあ、まあ、いっか。嫌いな俺からもらって捨てるくらいならバザーで売った方がいいだろ」
うんうん、と納得しシリウスには渡さない事にした。来週末には教会のバザーがあるので、少しでも多くのハンカチに刺繍しよう。
出来上がった刺繍のハンカチを教会に持って行くと、受け取った年配の女性はハンカチとハズキの顔を何度か見たが何も言わず、
「沢山のご寄付をありがとうございます。お名前を教えて下さい」
と紙に記入しながら聞いて来たので、
「オラハルト公爵家です」
と答えた。するとその女性はピタリと字を書くのをやめ、再びハズキの顔を見た。
「オラハルト公爵家ですね。いつもご寄付を頂きありがとうございます」
と、貼り付けたような笑みを浮かべた。
この刺繍の図柄とオラハルト家に何かあるのか?と思ったが、突っ込んで聞くのはやめておいた。
おっ、イニシャルの図案あるじゃん!しかも、誰か使ったのかな?折り目が付いてたりする。その本を借りて行く事にした。
教会からの帰り道、手芸用品店で刺繍用のハンカチを追加して買ったので、準備万端だ。
まずは練習に・・・。
「セバスチャン、今良いかしら?」
「ナツキ様、どうかされましたか?」
「あの、試作品なんだけどハンカチに刺繍してみたの。良かったら使ってみて?」
ラッピングなどはしておらず、そのままの状態で渡す。セバスチャンの『S』を花文字で刺繍したものだ。
「私にですか、ありがとうございます。はっ!この図柄は・・・」
セバスチャンはびっくりした顔だ。
「図書室にある図柄を参考にしたのだけど、変だったかしら?」
「いえ、昔頂いた物と同じ図柄だったので、びっくりしました。そうですか・・・、図書室の」
しんみりしたセバスチャンを置いて部屋に帰る事にした。
セバスチャンのハンカチで糸と布の相性はわかってので、他のアルファベットも作って行く。刺繍の図柄にはアルファベット毎に作る枚数と昔のバザーの日が書かれているメモが挟まっていた。もう、10年以上も前の日付だった。ソレはそのまま挟んでおく事にした。
「なあ、マリナ。シリウスにもあげとくべきか?ハンカチ」
「どっちでもいいじゃないですか?ナツキ様次第ですよ」
最近マリナは2人のときでも絶対に『ナツキ』と言うようになった。ポロッと言い間違え無いようにする為らしい。
「じゃあ、まあ、いっか。嫌いな俺からもらって捨てるくらいならバザーで売った方がいいだろ」
うんうん、と納得しシリウスには渡さない事にした。来週末には教会のバザーがあるので、少しでも多くのハンカチに刺繍しよう。
出来上がった刺繍のハンカチを教会に持って行くと、受け取った年配の女性はハンカチとハズキの顔を何度か見たが何も言わず、
「沢山のご寄付をありがとうございます。お名前を教えて下さい」
と紙に記入しながら聞いて来たので、
「オラハルト公爵家です」
と答えた。するとその女性はピタリと字を書くのをやめ、再びハズキの顔を見た。
「オラハルト公爵家ですね。いつもご寄付を頂きありがとうございます」
と、貼り付けたような笑みを浮かべた。
この刺繍の図柄とオラハルト家に何かあるのか?と思ったが、突っ込んで聞くのはやめておいた。
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