10 / 45
10
しおりを挟む
大量に作ったクッションカバーと刺繍を教会に寄付しに行きたいと執事に伝え、馬車を出してもらう。
「オラハルト伯爵家と伝えればよろしいかしら?」
「ナツキ様、ありがとうこざいます。毎回購入した物を寄付しておりましたので、少し心苦しかったのです。教会のチャリティバザーと言えば手作りですからね」
執事はニコニコしながら言う。
「シリウス様は独身だったので仕方ないですよ。シリウス様が刺繍してたら怖いし」
馬車の中に一緒にいるのは、執事・マリナだ。一瞬間があり3人は笑い出した。
当初この執事は怖そうだなと思っていたが、何度か接するうちに、仕事熱心な優しい人だとわかった。
教会に着くと他にも寄付をしている人がいたが、貴族本人では無くメイドが言付かって来ていた。
「ナツキ様、次回からは家の者が持って来ましょうか?」
執事は気を遣って言ってくれるが、
「大丈夫よ?屋敷にこもってたら暇ですもの。それにほかの方がどんな物を持って来ているのか気になるもの」
「なるほど。では、教会の者に少し見せてもらいましょうか?」
「ええ、是非」
教会の若い女性が寄付の品物を見せてくれた。
「やはり手作りの物が多いですね、後は刺繍や服ですか」
「ええ、刺繍のハンカチは人気がありますね。図柄の物、アルファベット。服はサイズが変わって着られないもの、子供服ですね」
「そうですか。ちなみに普段はこちらの教会で不足しているモノとかはありますか?」
「ええと、孤児院も併設してますので、子供達の食事でしょうか。それに寄付を頂いてる身で言うのも何ですが、子供達には教育が足りません。孤児院は14歳の誕生日と共に出なければならないのですが、ろくに読み書きが出来なくて。あ、私達ももちろん教えたいのですが、そこまで手が回らなくて」
「なるほど。貴重な意見ですわね。考えてみますわ」
「よろしくお願いします」
帰りの馬車の中で執事に話しかける。
ちなみに執事はセバスチャンだ。
「ねえ、セバスチャン。先程の話しだけどね?私、それなりに読み書き、計算も出来るの。それに暇だし。私が子供達に教えに行こうかしら?そうね、週に2回くらい」
「えっ!?それはまあ素晴らしい事だと思うのですが、私も必ず同行できるとは限りませんし。女性2人では危険かと。教会や孤児院には色々な者が出入り出来ますし」
セバスチャンは出来ればやめてほしそうだ。
「女性が不安ならいいアイデアがあるわ。私が双子の弟のフリをするわ。よく入れ替わってたから慣れているのよ、ね?私の暇な時間が子供達の将来に繋がれば嬉しいわ。私、子供は好きなのよ」
「わ、わかりました。許可してもらえるようにシリウス様には伝えます」
「ありがとう、セバスチャン!!許可してもらえると嬉しいわ」
その笑顔にセバスチャンは
『シリウス様、こんな素敵な奥様を放っておくなんて!しかも子供好きな奥様に子供が出来る事が無いなんて酷いです!私は奥様に尽くしますよっ!』
と密かに心に誓ったのだ。
「オラハルト伯爵家と伝えればよろしいかしら?」
「ナツキ様、ありがとうこざいます。毎回購入した物を寄付しておりましたので、少し心苦しかったのです。教会のチャリティバザーと言えば手作りですからね」
執事はニコニコしながら言う。
「シリウス様は独身だったので仕方ないですよ。シリウス様が刺繍してたら怖いし」
馬車の中に一緒にいるのは、執事・マリナだ。一瞬間があり3人は笑い出した。
当初この執事は怖そうだなと思っていたが、何度か接するうちに、仕事熱心な優しい人だとわかった。
教会に着くと他にも寄付をしている人がいたが、貴族本人では無くメイドが言付かって来ていた。
「ナツキ様、次回からは家の者が持って来ましょうか?」
執事は気を遣って言ってくれるが、
「大丈夫よ?屋敷にこもってたら暇ですもの。それにほかの方がどんな物を持って来ているのか気になるもの」
「なるほど。では、教会の者に少し見せてもらいましょうか?」
「ええ、是非」
教会の若い女性が寄付の品物を見せてくれた。
「やはり手作りの物が多いですね、後は刺繍や服ですか」
「ええ、刺繍のハンカチは人気がありますね。図柄の物、アルファベット。服はサイズが変わって着られないもの、子供服ですね」
「そうですか。ちなみに普段はこちらの教会で不足しているモノとかはありますか?」
「ええと、孤児院も併設してますので、子供達の食事でしょうか。それに寄付を頂いてる身で言うのも何ですが、子供達には教育が足りません。孤児院は14歳の誕生日と共に出なければならないのですが、ろくに読み書きが出来なくて。あ、私達ももちろん教えたいのですが、そこまで手が回らなくて」
「なるほど。貴重な意見ですわね。考えてみますわ」
「よろしくお願いします」
帰りの馬車の中で執事に話しかける。
ちなみに執事はセバスチャンだ。
「ねえ、セバスチャン。先程の話しだけどね?私、それなりに読み書き、計算も出来るの。それに暇だし。私が子供達に教えに行こうかしら?そうね、週に2回くらい」
「えっ!?それはまあ素晴らしい事だと思うのですが、私も必ず同行できるとは限りませんし。女性2人では危険かと。教会や孤児院には色々な者が出入り出来ますし」
セバスチャンは出来ればやめてほしそうだ。
「女性が不安ならいいアイデアがあるわ。私が双子の弟のフリをするわ。よく入れ替わってたから慣れているのよ、ね?私の暇な時間が子供達の将来に繋がれば嬉しいわ。私、子供は好きなのよ」
「わ、わかりました。許可してもらえるようにシリウス様には伝えます」
「ありがとう、セバスチャン!!許可してもらえると嬉しいわ」
その笑顔にセバスチャンは
『シリウス様、こんな素敵な奥様を放っておくなんて!しかも子供好きな奥様に子供が出来る事が無いなんて酷いです!私は奥様に尽くしますよっ!』
と密かに心に誓ったのだ。
1
お気に入りに追加
1,842
あなたにおすすめの小説
そばにいてほしい。
15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。
そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。
──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。
幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け
安心してください、ハピエンです。
【完結済み】準ヒロインに転生したビッチだけど出番終わったから好きにします。
mamaマリナ
BL
【完結済み、番外編投稿予定】
別れ話の途中で転生したこと思い出した。でも、シナリオの最後のシーンだからこれから好きにしていいよね。ビッチの本領発揮します。
R18、最初から終わってるオレとヤンデレ兄弟
あおい夜
BL
注意!
エロです!
男同士のエロです!
主人公は『一応』転生者ですが、ヤバい時に記憶を思い出します。
容赦なく、エロです。
何故か完結してからもお気に入り登録してくれてる人が沢山いたので番外編も作りました。
良かったら読んで下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる