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 「しょうがないでしょ?ナツキが消えてしまってもう時間が無いのだから」

 そう言って1番上の姉が俺の服を剥ぎ取っいく。

 「家族の不始末は家族で補わなきゃね!!でも、だからってボクサーパンツは無いわ。う~ん、他に何か無いかしら?あ、まあ、仕方ないからコレ履きなさいよ」

 姉から差し出されたのは紐パンだった。

 ボクサーパンツすら姉に剥ぎ取られ、いかがわしいソレを穿かされてしまった。

 「試作品なのよ、ソレ。最近同性婚が増えてきたでしょ?そういうのを希望する人が増えてるのよ」

 袋付き紐パンが!?

 ちなみにブツは自分で袋にしまった。

 バサバサと順に着せられていき、あっと言う前に花嫁の完成だ。

 ちょっと待て~っ!!




 俺の家、グローリー男爵家ははっきり言って貧乏だ。メイドも年々減り、俺も料理・洗濯をやらさせている。そんな男爵家に昨年、干ばつが襲った。作物はほぼ全滅。農民も暑さにやられ、何人か命を落としてしまった。そんな我が家に救いの手が差し伸べられた。オラハルト伯爵家だ。ただし、3男のシリウスと結婚する事。父からその話しを聞いたナツキは拒否した。

 「シリウスって、バイでしょ!?男も女も見境いないって言うじゃないっ!!私は嫌よっ、絶対嫌っ!!この国は同性婚が、認められてるんだからハズキが結婚すればいいじゃないの!!」

 「ナツキ、頼むっ!伯爵家の援助が無ければ我が領民はこの冬を越えられないんだ!」

 「う~っ」

 俺は2人のやり取りに口をはさめず聞いているしか無かった。唸っていたナツキはしばらくして、

 「わかったわ。ウェディングドレスはミツキ姉様にお願いしたいわ」

 ミツキとは1番上の姉である。結婚しているがウェディングドレスのデザイナーをしている。

 「わかった、頼んでおこう。式は2ヶ月後だ」

 返事をしないまま、ナツキは部屋を出て行った。

 「父さん、俺に出来る事は?」

 「来月には学園を卒業だろう?無事に卒業して領地の整備を手伝ってくれ」

 「わかりました」





 そして、結婚式当日。

 ウェディングドレスを着た俺は叫ぶのだ。

 「俺は男だ~っ!!」



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