私の結婚式に私は行きません。弟を身代わりにします。だって私は幸せになりたいんだもん!!

ゆきりん(安室 雪)

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23 ライトの思い出

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 俺は現国王の3番目の王子として生を受けたが、子供の頃は病弱で、暑い時期には王家が有する別荘地への避暑が例年恒例だった。

 避暑地は、王都よりも涼しいだけで特に楽しみは無かったのだが、ある年ーーーーー。


「ハズキ~!ここから見るとお花が絨毯みたいよ~!!」

 湖の近くを散歩していると、子供の声が聞こえて来た。

「ナツキ、危ないよっ!!ミツキ姉な見つかったら怒られるよ!!早く降りてっ!!」

 僕と同じ5歳前後だろうか?同じドレスを着た姉妹が木の上(髪が長い)と下(髪が短い)で話していると、もう1人、少し年上の女の子が現れる。

「ナツキっ!あなたはまた!!怪我をしたらどうするの!?早く降りてらっしゃい!!」

 そんなやりとりが聞こえて来た。

 仲睦まじい姉妹のやりとりに、僕の心はふんわりと温かくなり羨ましいと思った。

 僕は兄2人と外で遊んだ事なんて無い。

 普通は、ああやって声を荒げたりして遊ぶのだろうか?

 その次の日も湖近くを散歩すると、昨日の髪の長い子が木陰にうずくまっていた。

「君、どうしたの?気分がわるいの?」

 僕もたまに気分が優れない時、うずくまる時があるので、早足で近づき声をかける。

「し~っ!今、かくれんぼしてるんだ。みつかっちゃうでしょ?あなたも座って!!」

 僕も横に座らされる事になった。

「私はナツキ、あなたは?」

 少し茶色がかった髪に葉っぱをつけながら、ブルーグレーの大きな瞳で笑いながら名前をたずねてきた。

「僕はラ、ライって言うんだ。おじさんの別荘に遊びに来てるをだよ」

「私達も別荘に来てるのっ。ライ、明日もココで会おうよっ!ねっ!今日はかくれんぼしてるから、明日なら遊べるよ?」

 ニコニコしながら、初めて遊びに誘われて、僕は頷いた。

 「うんっ、明日、お昼ご飯食べたらすぐにココに来るよ。僕、はじめて友達と遊べるんだっ!」

 約束をしていると、

「ナツキ~、オヤツの時間~っ!」

 と、髪の短い子が近くで呼んでいる。

「じゃあライっ、明日ねっ!!ハズキ~っ、オヤツ何~っ!?」

 ナツキはぴょんと立ち上がり、走って行く。

「ナツキ見つけた~っ!!約束通りオヤツは半分貰うよ」

 髪の短いハズキと言う子は喜び飛び跳ねている。

 それに対しナツキは

「ハズキ騙したのね~!?」

 と、ほっぺたを膨らまし怒っているのが木の茂みから見えた。

 2人はキャイキャイ言いながら走り去って行った。

 

 翌日昼食後、約束通りライトは昨日の場所に向かった。そこにはすでにナツキがいた。

「ライ~、待ってたよっ!急に明日帰る事になったの。だから、ライとは今日しか遊べなくなっちゃったの。今日はいっぱいお話ししよ?」

 それから時間いっぱい、2人は好きなモノ・嫌いなモノ・普段何して遊ぶかなど、話し別れ際にまた来年もココで会う約束をした。

「毎年私達来るから、またライと会えるねっ!今度は一緒にかくれんぼしようよっ!私双子なのっ、姉もいるから4人で遊ぼうねっ!約束っ!」

 そう言って指切りの約束をした。

 
  

 しかし、約束が守られる事は無かった。






 
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