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21 ライラ視点

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 ナツキの屋敷に泊まり込みをはじめ数日が経ったが、ナツキはまだ目を覚さない。

 ミツキ様と交代でナツキに付き添っていると、突然部屋の外が騒がしくなった。

 ライラが扉を開けると、ライトラー殿下が廊下を早足で歩いて来る。

「ナツキはまだ目を覚まさないのかっ!?」

 心配と苛立ちが混ざった声だ。

「ええ、まだ眠ったままです。お医者様の話ではいつ目覚めてもいい状況なのですが・・・。顔を見て行かれますか?」

扉から少し体を動かし、ベッドで眠るナツキが見えるようにする。

「いや、今日はやめておくよ。コレを・・・」

 先程から嗅いだ事の無い、とても甘くて爽やかな匂いがすると思っていたら、ライトラー殿下が見慣れない花の花束を差し出していた。

「ナツキにですね。初めて見る花なのですが、何と言う花なのですか?」

 薔薇のようだが、かなりの大輪だ。

「名前はまだ秘密だ。ナツキに真っ先に教えたいからね」

「そうなのですね。分かりました。早速花瓶に生けさせて頂きますね」

「ああ、頼むよ。じゃあ。」

 そう言って、もう一度ナツキの眠るベッドを一瞥し、ライトラー殿下は去って行った。



 それにしてもとても立派な薔薇?である。

 薔薇よね?

 薔薇でも種類により、かなり形が違うので多分ではあるけれど・・・。

 ライトラー殿下は多分、ナツキに真っ先に渡したかったのでしょうね・・・。

 ベッドサイドのテーブルに花瓶を置き、ナツキを見つめる。

 すると、ナツキの鼻がヒクヒクと動いた。

「ナツキっ!?いつまで寝てるのっ!?早く起きなさいよっ!!」

 ライラは思わず話しかけるが、ナツキにそれ以上の変化は見られなかった。

 とりあえず、花の匂いに反応したって、ミツキ様とライトラー殿下には報告しておかなきゃね。







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