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20 ミツキ視点

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 ベッドの上では、顔から血の気が引いたナツキが浅く弱々しい呼吸を繰り返している。目を離した隙に止まってしまいそうだ。

 「ミツキ様、少し休んで下さい。午後の時間はナツキの側には私が着いてますわ」

 いつの間にか、実家であるグローリー家のナツキの部屋に、ライラが来ていた。

 「ライラちゃん、来てくれたのね。でも、ナツキくら離れるのは心配で。ついこないだ頭を打ったばかりなのに、こんな事になって・・・」

 ナツキの手を握り締めるが、その手が握り返してくる事は無い。

「ミツキ様が心配される気持ちは分かりますが、ミツキ様も昨日から一睡もされておらず、食事もとられていないと聞きました。ナツキが目を覚ました時にミツキ様に何かあれば、ナツキが悲しみます。しっかり食事をして、休んで来て下さい。大丈夫ですよ!!ナツキは案外図太いですからっ!!起きた瞬間、建国際でスィーツ食べ損ねたって、叫びますよ。」

 「ふふっ、そうね。ありがとう、ライラちゃん。少し休ませてもらうわね。ナツキに何かあれば、すぐに呼んで頂戴?」

 「もちろんですわ、ミツキ様。」

 ライラちゃんの言葉に甘え、ナツキの部屋を後にした。




 「ミツキ様、軽食ですがお召し上がりになりませんか?」

 部屋を出て数歩、昔から仕えてくれているメイドに声をかけられる。

 「そうね、あまり食欲はないけれど。ライラちゃんにも食べるように言われたし食べておくわ。あと、ライラちゃんにもお茶菓子を運んであげて。確かあの子はアップルパイが好きだったはずよね?」

「はい、ライラ様はアップルパイのフィリング増し増しにアイスクリームを添えたものがお好きだったと思いますので、準備させますね。」

 メイドは厨房に向かい、ミツキはダイニングに向かい軽食を食べに行った。






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