私の結婚式に私は行きません。弟を身代わりにします。だって私は幸せになりたいんだもん!!

ゆきりん(安室 雪)

文字の大きさ
上 下
15 / 29

14 ライラ視点3

しおりを挟む
 ミツキ様とオラハルト家に向かった帰り道の馬車内で、ライラはミツキ様に提案をした。

「ミツキ様、ナツキの事なんですが暫くは私と兄で作戦を練らせてもらえませんか?ナツキはライトがライトラー殿下と言う事に気がついていません。もし、意識が戻ったら、ハズキがオラハルト家に迎え入れられたからナツキはキチンと独身の令嬢だと伝えて欲しいのです。ライトラー殿下もナツキも想いあってるのです。今はソレを叶えてあげれる状況です。もう、悲壮な顔をしたナツキは見たくないんです」

 ライラは何とか兄を使い、ライトラー殿下を動かしたいと思っているのだ。

「そうね。私も、泣き腫らした顔のナツキは見たく無いわ。ナツキにはいつも我が儘な位元気いいのが丁度いいと思っているのよ。周りは振り回されるけどね。わかったわ、ライラちゃんとセドリック殿(ライラの兄)に任せるわ。でも、途中経過を教えてくれると安心するわ」

「それはもちろんです!!我が子爵家の使用人に直接ミツキ様にお届けする様にお手紙をお送りしますわ」

「ええ、お願いね」

 2人はお互いの顔を見て、クスリと笑い合った。



 その夜、ライラは兄の部屋を訪ねた。

「兄様、今よろしいかしら?」

 部屋をノックしてからたずねると、

「ああ、俺からも話しをしに行こうと思っていた所だ。ライラから来てくれるとは手間が省けたな。どうした?」

 兄は室内にあるソファーに座る。ライラは持参したティーセットをローテーブルに並べながら、

「ナツキの事なの」

 と言うと、

「奇遇だな、俺もだ」

 とニヤリと笑った。




 ライラは今日、ミツキ様とハズキの所に行き、オラハルト伯爵から直々に『嫁はハズキ』と言い切られた事を伝え、ナツキは結婚していない事実を伝えた。

「実は俺もな・・・。あのオラハルト伯爵の嫁は実は男だったと今日聞いたんだ。結婚式ではハズキがウェディングドレスを着ていて『ナツキ』だっただろ?しかし、最近提出された婚姻届には『ハズキ』の署名だったらしい。で、当日結婚式に参加した奴らがワイワイ騒いでたのに遭遇してな。殿下の耳にも入り、戸籍を見に行ったら確かに嫁は『ハズキ』だった」

「私もオラハルト伯爵から聞いてビックリしたわ。ミツキ様もご存知無かったみたいだし。でも、ふふっ、ハズキはオラハルト伯爵に愛されているみたいよ。最初は顔を合わせない様にしていたらしいけど、徐々にね。ハズキが少し席を外したスキにマリナに聞いたら、オラハルト伯爵がハズキにゾッコンで夜もお熱いんですって!!きゃあ!!やっぱり男性がお好きだったね!!ナツキじゃなくて、ハズキの方が適材適所だったのだわ!!」

 ライラはキャイキャイと話すが、兄は冷静な声を発した。

「いや、アイツは女嫌いなだけだぞ?」




しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

君への気持ちが冷めたと夫から言われたので家出をしたら、知らぬ間に懸賞金が掛けられていました

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【え? これってまさか私のこと?】 ソフィア・ヴァイロンは貧しい子爵家の令嬢だった。町の小さな雑貨店で働き、常連の男性客に密かに恋心を抱いていたある日のこと。父親から借金返済の為に結婚話を持ち掛けられる。断ることが出来ず、諦めて見合いをしようとした矢先、別の相手から結婚を申し込まれた。その相手こそ彼女が密かに思いを寄せていた青年だった。そこでソフィアは喜んで受け入れたのだが、望んでいたような結婚生活では無かった。そんなある日、「君への気持ちが冷めたと」と夫から告げられる。ショックを受けたソフィアは家出をして行方をくらませたのだが、夫から懸賞金を掛けられていたことを知る―― ※他サイトでも投稿中

それぞれのその後

京佳
恋愛
婚約者の裏切りから始まるそれぞれのその後のお話し。 ざまぁ ゆるゆる設定

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

白い結婚は無理でした(涙)

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。 明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。 白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。 現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。 どうぞよろしくお願いいたします。

王族に婚約破棄させたらそりゃそうなるよね? ……って話

ノ木瀬 優
恋愛
ぽっと出のヒロインが王族に婚約破棄させたらこうなるんじゃないかなって話を書いてみました。 完全に勢いで書いた話ですので、お気軽に読んで頂けたらなと思います。

人生の全てを捨てた王太子妃

八つ刻
恋愛
突然王太子妃になれと告げられてから三年あまりが過ぎた。 傍目からは“幸せな王太子妃”に見える私。 だけど本当は・・・ 受け入れているけど、受け入れられない王太子妃と彼女を取り巻く人々の話。 ※※※幸せな話とは言い難いです※※※ タグをよく見て読んでください。ハッピーエンドが好みの方(一方通行の愛が駄目な方も)はブラウザバックをお勧めします。 ※本編六話+番外編六話の全十二話。 ※番外編の王太子視点はヤンデレ注意報が発令されています。

邪魔しないので、ほっておいてください。

りまり
恋愛
お父さまが再婚しました。 お母さまが亡くなり早5年です。そろそろかと思っておりましたがとうとう良い人をゲットしてきました。 義母となられる方はそれはそれは美しい人で、その方にもお子様がいるのですがとても愛らしい方で、お父様がメロメロなんです。 実の娘よりもかわいがっているぐらいです。 幾分寂しさを感じましたが、お父様の幸せをと思いがまんしていました。 でも私は義妹に階段から落とされてしまったのです。 階段から落ちたことで私は前世の記憶を取り戻し、この世界がゲームの世界で私が悪役令嬢として義妹をいじめる役なのだと知りました。 悪役令嬢なんて勘弁です。そんなにやりたいなら勝手にやってください。 それなのに私を巻き込まないで~~!!!!!!

冷徹義兄の密やかな熱愛

橋本彩里(Ayari)
恋愛
十六歳の時に母が再婚しフローラは侯爵家の一員となったが、ある日、義兄のクリフォードと彼の親友の話を偶然聞いてしまう。 普段から冷徹な義兄に「いい加減我慢の限界だ」と視界に入れるのも疲れるほど嫌われていると知り、これ以上嫌われたくないと家を出ることを決意するのだが、それを知ったクリフォードの態度が急変し……。 ※王道ヒーローではありません

処理中です...