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 「ナツキ、屋敷からは出ないでね。人目にはつかないようにしてね?」

 仕事に向かう姉にしっかりと釘を刺される。そう、私がこの屋敷にいると分かると色々まずいのだ。何がまずいって、私は昨日、結婚式を弟に代理するように仕向けたのだ。姉と共に。

 そう、父に結婚しろと言われた翌日、姉に泣きついたのだ。姉は貴族の娘にしては珍しく恋愛し結婚する事が出来た。おまけに独身時代から行っていたドレスデザインも、旦那さんの力添えもあり、お店を持つことが出来る様になったのだ。貧乏貴族から大出世と成功を手にしている。かたや妹の私は何も得意な事が無い。家が貧乏まっしぐらでメイドが減らされた時に、弟と共にメイドの真似事をしたが、弟はすぐにこなしていったが、私は余計に散らかって行くのだ。何度か続くと弟から何もしないでくれと言われた。姉も弟も器用なのだ。ちなみに弟は武闘派でもある。双子の弟は何でも出来るのだ。

 はっきり言って双子じゃ無ければ良かったと思う事も何度かあった。常に比べられ、「出来の悪い姉」のレッテルを貼られ続けたのだ。しかし、今回はその双子のお陰で結婚式から逃げ出す事が出来た。せめて私が恋愛を楽しめる期間はバレないように頑張って欲しいわ。

 でも、屋敷から出ないで恋愛出来るかしら?使用人はイヤだわ。そうね、最初で最期の恋愛になるんだもん。熱い恋をしたいわ。期限は自分の中で6ヶ月と決めている。親しい友達1人にだけ、今の状況を話してある。彼女と何かいい案を考えなきゃ。




 その日の午後、親友のライラがやって来た。

 「ホントに決行するとは思わなかったわ。はい、お土産」

 ライラはナツキぐ好きなマカロンを持って来てくれた。

 「ありがとっ、ここのフランボワーズのマカロン大好きっ!!」

 「知ってる・知ってる。沢山お食べ」

 ライラは笑いながら言う。ライラは我が家に仕えるメイド・マリナの幼馴染で色々あり、友達になった。気さくで優しいのだ。

 「屋敷から自由に外出出来ないんだけど、どうやったら恋愛出来ると思う?」

 早速ライラに相談する。

 本日一番の議題はコレなのだ。

 「私、いい事思いついちゃったのよ!聞きたい?」

 「もちろんよっ!!」

 教えて欲しいわっ。

 「仮面舞踏会なんてどうかしら?」

 ライラはニヤッと笑った。




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