8 / 36
8
しおりを挟む
部屋に戻り、再び『はぁ~』と深い溜息を吐いてしまう。手を繋ぐのもキスをするのも、自然な流れじゃダメなわけ?
確かに、キスはチュッと唇を合わせるだけだと思っていたから、モニターに、映し出されていた舌を絡めるのがキスなんて思わなかったけど・・・。
む~、何でこんな講習会に参加させたのよ。
すると、隣室からノックする音がする。他の人が来るはずはないからグレイだろう。
「何か御用ですか?」
扉は開けずに中から問う。
「飯、一緒に食わないか?」
「遠慮しますわ」
「即答かよ」
「1人でゆっくり頂きたいの」
なるべく感情を出さずに答える。
「第2王子の命令だって言ったらどうする?」
深呼吸をして、扉を開ける。
「私の部屋ではなく、隣室でよろしくて?」
冷たく言い放つ。
「ああ、いいぞ」
「では、部屋から運びますから」
そう言って部屋に戻り、棚に補充されている昼食・ティーセット・お茶菓子などをワゴンに乗せ、隣室に運ぶ。棚の横にワゴンを見た時にはテーブルまでの短い距離では使わないでしょと思ったが、こういう用途も想定内って事なのね。
隣室に運ぶとグレイもワゴンに料理を乗せて持ってきた。量はやはり男性だけあって多めに準備されてあるようだ。しかし、飲み物は既にティーポットに準備されているようで、茶葉は無いようだ。
「ふ~ん、丸々同じって訳じゃ無いんだな」
「それを知りたかったのですか?」
「いや、1人で食べるのもつまらないだろ?どうせ隣にも1人で食べてるヤツがいるなら一緒に食った方がいいだろ?」
「私は全然1人でかまいませんわ」
グレイが食べ始めたのでソフィアもゆっくりと食べ始める。グレイのカラトリー使いはとても綺麗で流石王族、マナーはしっかりとしているが食べるスピードがかなり早い。その間に会話を挟んでくる。
「なあ、お前ファーストキスまだなんだな」
「ええ、それが何か?」
「ホントか?」
「嘘をつく理由がありませんわ」
「そっか・・・、ならいい」
「?」
その後は会話らしい会話も無く、食事が終わり、ソフィアが紅茶を入れ始めると。
「俺にもくれ」
とグレイが言う。視線で『ティーポットに入っているのでは?』と訴える。
「ああ?いつも茶葉でサーブして飲んでる俺が、目の前で美味そうな茶葉で入れてるのを見たら間違いなくソッチが飲みたいに決まってるだろ。飲んでみるか?ティーポットの茶」
「いえ、美味しいお茶があるのにわざわざ美味しくない宣言されたお茶を飲みたいとは思いませんわ。はい、どうぞ」
グレイの前に紅茶を置く。
無言でティーカップを取り、口元に持っていく。
「いい香りだな、懐かしい」
「!?」
この茶葉はソフィアが家からブレンドして持って来たものだ。家族以外は飲んだ事が無いはずだ。どこかで似たようなブレンドティーポットがあるのだろうか。
そして、グレイに顔を盗み見ると、ふんわりと優しく微笑んでいるのだ。
ソフィアの視線に気がつくといつもの表情に戻ってしまったけれど。
何だろ?あの微笑み、何か思い出しそうな気がする。
確かに、キスはチュッと唇を合わせるだけだと思っていたから、モニターに、映し出されていた舌を絡めるのがキスなんて思わなかったけど・・・。
む~、何でこんな講習会に参加させたのよ。
すると、隣室からノックする音がする。他の人が来るはずはないからグレイだろう。
「何か御用ですか?」
扉は開けずに中から問う。
「飯、一緒に食わないか?」
「遠慮しますわ」
「即答かよ」
「1人でゆっくり頂きたいの」
なるべく感情を出さずに答える。
「第2王子の命令だって言ったらどうする?」
深呼吸をして、扉を開ける。
「私の部屋ではなく、隣室でよろしくて?」
冷たく言い放つ。
「ああ、いいぞ」
「では、部屋から運びますから」
そう言って部屋に戻り、棚に補充されている昼食・ティーセット・お茶菓子などをワゴンに乗せ、隣室に運ぶ。棚の横にワゴンを見た時にはテーブルまでの短い距離では使わないでしょと思ったが、こういう用途も想定内って事なのね。
隣室に運ぶとグレイもワゴンに料理を乗せて持ってきた。量はやはり男性だけあって多めに準備されてあるようだ。しかし、飲み物は既にティーポットに準備されているようで、茶葉は無いようだ。
「ふ~ん、丸々同じって訳じゃ無いんだな」
「それを知りたかったのですか?」
「いや、1人で食べるのもつまらないだろ?どうせ隣にも1人で食べてるヤツがいるなら一緒に食った方がいいだろ?」
「私は全然1人でかまいませんわ」
グレイが食べ始めたのでソフィアもゆっくりと食べ始める。グレイのカラトリー使いはとても綺麗で流石王族、マナーはしっかりとしているが食べるスピードがかなり早い。その間に会話を挟んでくる。
「なあ、お前ファーストキスまだなんだな」
「ええ、それが何か?」
「ホントか?」
「嘘をつく理由がありませんわ」
「そっか・・・、ならいい」
「?」
その後は会話らしい会話も無く、食事が終わり、ソフィアが紅茶を入れ始めると。
「俺にもくれ」
とグレイが言う。視線で『ティーポットに入っているのでは?』と訴える。
「ああ?いつも茶葉でサーブして飲んでる俺が、目の前で美味そうな茶葉で入れてるのを見たら間違いなくソッチが飲みたいに決まってるだろ。飲んでみるか?ティーポットの茶」
「いえ、美味しいお茶があるのにわざわざ美味しくない宣言されたお茶を飲みたいとは思いませんわ。はい、どうぞ」
グレイの前に紅茶を置く。
無言でティーカップを取り、口元に持っていく。
「いい香りだな、懐かしい」
「!?」
この茶葉はソフィアが家からブレンドして持って来たものだ。家族以外は飲んだ事が無いはずだ。どこかで似たようなブレンドティーポットがあるのだろうか。
そして、グレイに顔を盗み見ると、ふんわりと優しく微笑んでいるのだ。
ソフィアの視線に気がつくといつもの表情に戻ってしまったけれど。
何だろ?あの微笑み、何か思い出しそうな気がする。
1
お気に入りに追加
560
あなたにおすすめの小説
嫌われ者の悪役令嬢の私ですが、殿下の心の声には愛されているみたいです。
深月カナメ
恋愛
婚約者のオルフレット殿下とメアリスさんが
抱き合う姿を目撃して倒れた後から。
私ことロレッテは殿下の心の声が聞こえる様になりました。
のんびり更新。
【R18】殿下!そこは舐めてイイところじゃありません! 〜悪役令嬢に転生したけど元潔癖症の王子に溺愛されてます〜
茅野ガク
恋愛
予想外に起きたイベントでなんとか王太子を救おうとしたら、彼に執着されることになった悪役令嬢の話。
☆他サイトにも投稿しています
白い結婚は無理でした(涙)
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。
明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。
白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。
どうぞよろしくお願いいたします。
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
私の婚約者を狙ってる令嬢から男をとっかえひっかえしてる売女と罵られました
ゆの
恋愛
「ユーリ様!!そこの女は色んな男をとっかえひっかえしてる売女ですのよ!!騙されないでくださいましっ!!」
国王の誕生日を祝う盛大なパーティの最中に、私の婚約者を狙ってる令嬢に思いっきり罵られました。
なにやら証拠があるようで…?
※投稿前に何度か読み直し、確認してはいるのですが誤字脱字がある場合がございます。その時は優しく教えて頂けると助かります(´˘`*)
※勢いで書き始めましたが。完結まで書き終えてあります。
嫉妬の代償は旦那様からの蜜愛でした~王太子は一夜の恋人ごっこに本気出す~
二階堂まや
恋愛
王女オリヴィアはヴァイオリンをこよなく愛していた。しかし自身最後の音楽会で演奏中トラブルに見舞われたことにより、隣国の第三王女クラリスに敗北してしまう。
そして彼女の不躾な発言をきっかけに、オリヴィアは仕返しとしてクラリスの想い人であるランダードの王太子ヴァルタサールと結婚する。けれども、ヴァイオリンを心から楽しんで弾いていた日々が戻ることは無かった。
そんな折、ヴァルタサールはもう一度オリヴィアの演奏が聴きたいと彼女に頼み込む。どうしても気が向かないオリヴィアは、恋人同士のように一晩愛して欲しいと彼に無理難題を押し付けるが、ヴァルタサールはなんとそれを了承してしまったのだった。
腹黒王子は、食べ頃を待っている
月密
恋愛
侯爵令嬢のアリシア・ヴェルネがまだ五歳の時、自国の王太子であるリーンハルトと出会った。そしてその僅か一秒後ーー彼から跪かれ結婚を申し込まれる。幼いアリシアは思わず頷いてしまい、それから十三年間彼からの溺愛ならぬ執愛が止まらない。「ハンカチを拾って頂いただけなんです!」それなのに浮気だと言われてしまいーー「悪い子にはお仕置きをしないとね」また今日も彼から淫らなお仕置きをされてーー……。
R18 彼と私の契約 ~命令には絶対服従~
あみにあ
恋愛
平穏に過ごしていたある日、双子の弟が突然失踪した。
理由はわからない。
探したけれど見つからない。
部屋の荷物もなくなっていて自主的に出て行ったの。
みんな心配していたけれど、お年頃だし色々あるのだろうと納得すると探すのをやめた。
両親も同じ気持ちで、弟はしっかり者だし、時期に戻ってくると思っていた。
けれど弟がいなくなって数週間たったある日。
弟宛に学園の入学案内が届いた。
王都一の有名な学校で、全寮制かつ男子校。
受かるだけでも大変で、卒業すれば名誉あることだが、弟がいないと入学を取り消されてしまう。
両親は何を思ったのか、双子である私に弟の代役をしてほしいと頼みに来た。
無理だと断ったのだが……半ば強引に話が進み、気が付けば男子校へ入学させられることになってしまった。
しかもルームメイトは女嫌いと噂の公爵家で――――。
女とばれずに過ごせるのか……正直不安しかない……。
**********************************
全12話、毎日更新です。
7月11日 22時に完結します。
R18の描写が多々ございます、苦手な方はご注意下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる