私が知ってる貴方

ゆきりん(安室 雪)

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 身体が痛くて動かない・・・。

 何で?

 うっすらと目を開けるとそこには、響也様!

 そっ、そうだ。逃げようとしたら迷子になって、この部屋に連れ込まれてっ!

 一気に記憶が蘇る。

 すると、部屋をノックする音が響き扉が開く。

「響也様、理沙さんがいませんっ!」

 と、慌てた声で言う。

「ああ、理沙ならココだ」

 頭をポンポンされる。

「はっ。失礼しましたっ」

 あの声はハクさんだな。う~っ、一緒に寝てるの見られた。

「さて、理沙。夜這い以外に、夜ウロウロしてた理由は?」

「うっ」

が聞いてるんだ。答えろ」

「怒らない?」

「ま、怒りはしない」

「えっと、逃げようと思って・・・」

「お仕置きだな」

「えっ、怒らないって」

「怒ってないだろ?躾のお仕置きだろ?」

 ニヤリと笑い、朝から盛大に喘がされ、響也様が仕事に出かけても理沙はベッドから出られなかった。

 そしてその日夜も、響也様は激しく理沙を抱いた。理沙が意識を飛ばしそうになっても、何度も引き戻し、精を注ぎ続けた。

 なので、翌日も理沙はベッドの上で過ごす羽目になった。そんな理沙の面倒を見るのはハクなのだ。ハクは理沙が何をされているのかわかっているはずなのに、何も聞かず世話をする。

「あの・・・、跡目争いは落ち着いたのですか?」

 理沙が珍しく話しかける。

「ええ、落ち着きましたよ。新聞にも出てます」

 と言いながら、新聞を渡してくれる。

 えっ?『や』の人の事って、新聞に載るの?

 新聞のトップ記事にはーーー。

『生け花「京極流」当主決まる!!』

 と書かれ、響也様の写真が載っている。

 しかも

『婚約者は一般女性!』

 とも、書かれている。

「あの~、響也様の職業って・・・」

「生け花の当主ですね」

 サラリと答えられる。

「ヤクザ屋さんじゃなかったんだ・・・」

 ほっとして、呟いてしまった。視線を感じハクさんを見ると笑いを堪えている。が。

「理沙さんっ!面白いって!確かに顔は怖いけど、ぶふふっ」

 と悪い転げてしまった。




 仕事から帰った響也様は理沙を見るなり。

「俺がヤクザに見えたって?」

 不貞腐れた顔で聞いてくる。

「あ、いや、だって。その顔で、この家」

「顔はしょうがないだろ。家は代々の日本家屋だ。ま、お前が怯えてた理由はソレか。俺は優良物件だから安心して、嫁に来い。ま、お前の家はココだがな。アパートは引き払ったぞ」

「は?」

「危ないだろ?また誘拐されないとも限らないし」

 誰のせいっ!

「お前は俺のモノなんだから、大人しくそばにいろよ」

 そして、私が知ってる一番の甘い顔でキスをするのだった。



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