1 / 6
1
しおりを挟む
いつも残業が無い理沙だが、月末で明日から連休と言う事もあり、かなり遅くまで仕事をしていた。夕方から少し風邪気味っぽく頭がフラフラしていた。家には風邪薬の買置きは無かったはず。
最寄り駅よりも前で1度降りて薬局で薬を買わなきゃ。
薬局で風邪薬、レトルトのお粥、スポーツドリンクを買いまた駅まで向かう。しかし元々フラフラしているのに加え、荷物が少し重いのだ。スポーツドリンクは家の近くのコンビニにすればよかった。安さにつられて多めに買いすぎた。
フラフラしながら信号の無い横断歩道を渡っていると、そこに突然車が突っ込んでくる。朦朧としていた理沙は呆気なく車と衝突してしまう。
そこで意識は途絶えたーーー。
身体が痛い、どうしたんだろう?
パチリと目を開けるとそこは知らないベッドの柔らかさ、天井、知らない顔。
!?
「あ、あのっ!?どちら様っ・・・、痛っ」
知らない顔に向け、身体を起こしながら話すと、あまりにも全身が痛く、そのままベッドに倒れこんでしまう
「お前、俺の車とぶつかったんだ。覚えてないか?」
ベッドに横になっている理沙を上から見下ろすその男の顔は眼光鋭くかなり怖い印象のイケメンだ。ヤクザ映画とかの俳優みたいだ。
?車・・・?仕事帰りに薬局行って、駅に向かって・・・、あっ。黒い車が近いてきて。
「思い出した。フラフラしてて、動けなかったんだ」
「ああ。軽い接触のはずなのにお前は派手に転んで動かなくなったんだ。当たり屋かと思ったぞ」
そして、大した怪我じゃないはずだし、急いでいたからそのまま車に乗せて連れて帰ったそうだ。
「医者に見せたら打撲だけで、後は風邪の診断だったから風邪薬飲ませて点滴させといた。気分はどうだ」
「はあ。身体が痛い以外は。風邪もさっきよりいい様な気がします。すいません、面倒をおかけしました」
ペコリと頭を下げる。
「当たり屋だったら少し怖い目を見てもらおうと思ったがな。ま、ゆっくり休んでいけ。飯はココに運ばせる」
そう言うと、その男は部屋から出て行った。
しばらくすると、スーツをビシッときた男性がお粥を運んでくれる。
うわっ、これまたイケメンだわ。アイドルグループにいそうだわ。そんな人が、理沙をベッドから起こし、クッションを背に当て楽な姿勢をとらせてくれる。しかもベッドに台を設置し、その上にお粥やスープ、お茶、果物などを置き、
「食べさせてあげましょうか?」
などと、見つめながら聞いてくる。
「い、いえっ!自分で食べますっ。頂きますっ」
右手を伸ばすと少し痛みがあったが、我慢して食べる。理沙が食べている間、そのイケメンは横に控えていて、落ち着かない。何とか食べきると、台の上に薬らしきものと水が置かれる。
「風邪薬です。3日は飲む様にと医者から処方されてます。飲ませてあげましょうか?」
にっこりと微笑みながら言われる。
「いえっ!自分で飲みますっ!」
粉薬を口に入れ、水で流し込む。
ううっ、苦い。
「ゆっくりおやすみになって下さい」
台を片付けられ、背中のクッションを退けられ、枕に変わる。ノロノロと横になると、また睡魔が襲ってくる。1度目を閉じるとそのまま身体が沈むように寝入ってしまった。
最寄り駅よりも前で1度降りて薬局で薬を買わなきゃ。
薬局で風邪薬、レトルトのお粥、スポーツドリンクを買いまた駅まで向かう。しかし元々フラフラしているのに加え、荷物が少し重いのだ。スポーツドリンクは家の近くのコンビニにすればよかった。安さにつられて多めに買いすぎた。
フラフラしながら信号の無い横断歩道を渡っていると、そこに突然車が突っ込んでくる。朦朧としていた理沙は呆気なく車と衝突してしまう。
そこで意識は途絶えたーーー。
身体が痛い、どうしたんだろう?
パチリと目を開けるとそこは知らないベッドの柔らかさ、天井、知らない顔。
!?
「あ、あのっ!?どちら様っ・・・、痛っ」
知らない顔に向け、身体を起こしながら話すと、あまりにも全身が痛く、そのままベッドに倒れこんでしまう
「お前、俺の車とぶつかったんだ。覚えてないか?」
ベッドに横になっている理沙を上から見下ろすその男の顔は眼光鋭くかなり怖い印象のイケメンだ。ヤクザ映画とかの俳優みたいだ。
?車・・・?仕事帰りに薬局行って、駅に向かって・・・、あっ。黒い車が近いてきて。
「思い出した。フラフラしてて、動けなかったんだ」
「ああ。軽い接触のはずなのにお前は派手に転んで動かなくなったんだ。当たり屋かと思ったぞ」
そして、大した怪我じゃないはずだし、急いでいたからそのまま車に乗せて連れて帰ったそうだ。
「医者に見せたら打撲だけで、後は風邪の診断だったから風邪薬飲ませて点滴させといた。気分はどうだ」
「はあ。身体が痛い以外は。風邪もさっきよりいい様な気がします。すいません、面倒をおかけしました」
ペコリと頭を下げる。
「当たり屋だったら少し怖い目を見てもらおうと思ったがな。ま、ゆっくり休んでいけ。飯はココに運ばせる」
そう言うと、その男は部屋から出て行った。
しばらくすると、スーツをビシッときた男性がお粥を運んでくれる。
うわっ、これまたイケメンだわ。アイドルグループにいそうだわ。そんな人が、理沙をベッドから起こし、クッションを背に当て楽な姿勢をとらせてくれる。しかもベッドに台を設置し、その上にお粥やスープ、お茶、果物などを置き、
「食べさせてあげましょうか?」
などと、見つめながら聞いてくる。
「い、いえっ!自分で食べますっ。頂きますっ」
右手を伸ばすと少し痛みがあったが、我慢して食べる。理沙が食べている間、そのイケメンは横に控えていて、落ち着かない。何とか食べきると、台の上に薬らしきものと水が置かれる。
「風邪薬です。3日は飲む様にと医者から処方されてます。飲ませてあげましょうか?」
にっこりと微笑みながら言われる。
「いえっ!自分で飲みますっ!」
粉薬を口に入れ、水で流し込む。
ううっ、苦い。
「ゆっくりおやすみになって下さい」
台を片付けられ、背中のクッションを退けられ、枕に変わる。ノロノロと横になると、また睡魔が襲ってくる。1度目を閉じるとそのまま身体が沈むように寝入ってしまった。
0
お気に入りに追加
155
あなたにおすすめの小説


「俺が君を愛することはない」じゃあこの怖いくらい甘やかされてる状況はなんなんだ。そして一件落着すると、今度は家庭内ストーカーに発展した。
下菊みこと
恋愛
戦士の王の妻は、幼い頃から一緒にいた夫から深く溺愛されている。
リュシエンヌは政略結婚の末、夫となったジルベールにベッドの上で「俺が君を愛することはない」と宣言される。しかし、ベタベタに甘やかされているこの状況では彼の気持ちなど分かりきっていた。
小説家になろう様でも投稿しています。

眠り姫は甘い悪魔に染められる
なかな悠桃
恋愛
仙徳ちなは、ある夢を見ていた。それは普段とは真逆の性格の同期、上出天音がいる世界・・・。
※※今の連載が落ち着いたら続編を書く予定にしてるので、何カ所か含みのある内容になり意味が分からないと思います。すみません(´;ω;`)
※※見直してはおりますが、誤字脱字などお見苦しい点ございましたら申し訳ございません。

顔も知らない旦那さま
ゆうゆう
恋愛
領地で大災害が起きて没落寸前まで追い込まれた伯爵家は一人娘の私を大金持ちの商人に嫁がせる事で存続をはかった。
しかし、嫁いで2年旦那の顔さえ見たことがない
私の結婚相手は一体どんな人?



魅了の魔法を使っているのは義妹のほうでした・完
瀬名 翠
恋愛
”魅了の魔法”を使っている悪女として国外追放されるアンネリーゼ。実際は義妹・ビアンカのしわざであり、アンネリーゼは潔白であった。断罪後、親しくしていた、隣国・魔法王国出身の後輩に、声をかけられ、連れ去られ。
夢も叶えて恋も叶える、絶世の美女の話。
*五話でさくっと読めます。

【完結・7話】召喚命令があったので、ちょっと出て失踪しました。妹に命令される人生は終わり。
BBやっこ
恋愛
タブロッセ伯爵家でユイスティーナは、奥様とお嬢様の言いなり。その通り。姉でありながら母は使用人の仕事をしていたために、「言うことを聞くように」と幼い私に約束させました。
しかしそれは、伯爵家が傾く前のこと。格式も高く矜持もあった家が、機能しなくなっていく様をみていた古参組の使用人は嘆いています。そんな使用人達に教育された私は、別の屋敷で過ごし働いていましたが15歳になりました。そろそろ伯爵家を出ますね。
その矢先に、残念な妹が伯爵様の指示で訪れました。どうしたのでしょうねえ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる