貴方との運命

ゆきりん(安室 雪)

文字の大きさ
上 下
36 / 44

36

しおりを挟む
 夜になり、玄関の扉が開く音がした後、卯月さんが姿を現わす。

 「美緒と言ったか、お前。もう、葉月には抱かれたんだろ?俺にも抱かせろよ」

 ジリジリと卯月さんが近寄ってきて、美緒の腕を掴む。そしてグイッ引き寄せ、ズルズルとベッドルームに引きずって行く。当たり前だが、美緒は抵抗している。が、体格差・力の差があるので抗いきれず、卯月の望むベッドルームに辿りついてしまい、ベッド上に放り投げられる。

 「うっ・・・・」

 ベッドは受け止めてくれたが、それでも痛い。

 「いい具合に仕込まれてるのか?脱いでみろよ」

 ニヤニヤとイヤな笑いを浮かべながら命令してくる。

 「イヤよ。誰が・・・」

 「俺は気が短いんだよっ!」

 『バシッ』と卯月の右手が美緒の頬を殴りつける。そして美緒の服を乱暴に毟り取っていき、下着姿にする。

 「身体中に印を付けられてイヤラシイ眺めだな。アイツが執着する身体だ。俺が存分に抱いてやる」

 ブラジャーを外し、乳首を口に含まれる。

 うっ!!気持ち悪いっ、吐きそうっ、無理っ、葉月さん助けてっ!

 その時、玄関から怒声と何人かの足音がドカドカと室内に入って来る音が聞こえてくる。

 『ドカッ』とベッドルームのドアを蹴り開けられた向こうでは、葉月さんが鬼の形相で一瞬立ち尽くした後、近づいて来た。そのまま、卯月さんを足蹴にし、ベッドから落とす。

 「美緒っ!!大丈夫かっ!?帰るぞっ!」

 しかし、どこに隠していたのか卯月さんはナイフを取り出し、葉月さんに突進して行く。

 「葉月さん、危ないっ!」

 思わず枕を投げつける。丁度卯月さんの脚にあたり、卯月さんは転び、その際自分で脚を刺してしまう。

 「ううっ」

 ソコに警察も入って来た。

 咄嗟に葉月は自分のジャケットで美緒を包み込む。そのまま抱き上げられ、部屋の外に出る。その状況は凄かった。強面の如何にも一般人じゃ無さそうな人達が、廊下にゴロゴロと転がっていて、ヒモで縛られている。そうでない人は、手錠をかけられ座らされていた。どの人もかなりの怪我をしているようで、血を流していた。

 「お前は目を瞑っていろよ」

 この場には不似合いな程の、優しい葉月の言葉に美緒は目を瞑る。葉月の胸の暖かさと、安堵で美緒は意識を手放した。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

慰み者の姫は新皇帝に溺愛される

苺野 あん
恋愛
小国の王女フォセットは、貢物として帝国の皇帝に差し出された。 皇帝は齢六十の老人で、十八歳になったばかりのフォセットは慰み者として弄ばれるはずだった。 ところが呼ばれた寝室にいたのは若き新皇帝で、フォセットは花嫁として迎えられることになる。 早速、二人の初夜が始まった。

今、夫と私の浮気相手の二人に侵されている

ヘロディア
恋愛
浮気がバレた主人公。 夫の提案で、主人公、夫、浮気相手の三人で面会することとなる。 そこで主人公は男同士の自分の取り合いを目の当たりにし、最後に男たちが選んだのは、先に主人公を絶頂に導いたものの勝ち、という道だった。 主人公は絶望的な状況で喘ぎ始め…

エリート建築士は傷心した彼女を愛し抜きたい

森本イチカ
恋愛
恋人に浮気され、仕事先は倒産。 そして入院中の母の余命ーー たくさんのものを失った菜那を癒してくれたのは偶然出会った男の人だった。 傷だらけの菜那を優しく包み込む蒼司の熱に溶かされながら、菜那は強くなり、そして夢を見つけ出すーー。 ♡.・*・.♡.・*・.♡.・*・.♡ 堀川菜那 ほりかわなな 26歳 家事代行業者 カジハンド従業員 × 宇賀谷蒼司 うがやそうし 32歳 一級建築士 ホテルなどの建築物を手掛けるフリーランス ♡.・*・.♡.・*・.♡.・*・.♡ ※Rシーンは濃厚です。 ※ちょうど展開が変わる場所、場面が変わる場所での話区切りになっているので、1話の文字数にバラつきがあります。 ※毎日20時、6時に更新予定です。 (2/3より20時のみの更新に変更になります🙏) ※恋愛小説大賞応募作品です。

白衣の下 先生無茶振りはやめて‼️

アーキテクト
恋愛
弟の主治医と女子大生の恋模様

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

麗しの王子殿下は今日も私を睨みつける。

スズキアカネ
恋愛
「王子殿下の運命の相手を占いで決めるそうだから、レオーネ、あなたが選ばれるかもしれないわよ」 伯母の一声で連れて行かれた王宮広場にはたくさんの若い女の子たちで溢れかえっていた。 そしてバルコニーに立つのは麗しい王子様。 ──あの、王子様……何故睨むんですか? 人違いに決まってるからそんなに怒らないでよぉ! ◇◆◇ 無断転載・転用禁止。 Do not repost.

友情結婚してみたら溺愛されてる件

鳴宮鶉子
恋愛
幼馴染で元カレの彼と友情結婚したら、溺愛されてる?

さして仲良くない職場の先輩と飲み会の後に毎回セックスして繰り返し記憶をなくしている百合

風見 源一郎
恋愛
真雪が目を覚ますと、セックスをした後だった。隣には、すごくエッチな体をした女の人がいた。前日には会社の飲み会があったことだけを覚えている。 酔った勢いで、さして仲良くもない会社の先輩を相手に処女を散らしてしまった真雪は、しかし、見知らぬはずの部屋に、見知ったものばかりが置かれていることに気がついたのだった。

処理中です...