貴方との運命

ゆきりん(安室 雪)

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 浴衣を着て隣の男性に微笑む。隣にいるのは葉月さんだ。

「お蘭、早く祝言を挙げて朝まで一緒にいたい」

 キュッと手を握られる。

「ふふっ。葉月さん、もうすぐですよ」

 葉月さんの手をギュッと握り返す。

「そうだ、今日はお蘭にコレを渡したかったのだ」

 葉月さんは布に包まれたものを開く。そこにあったモノは。

「まぁ、綺麗な螺鈿細工の櫛ですわ」

「漆塗りなので、長くお蘭に使って貰えると思って。南蛮渡来の様です」

「素敵ですっ、葉月さん。大切にしますね」

 キュッと櫛を握りしめると、空で花火が輝く。

「始まりましたね、花火大会」

「ええ、これから毎年一緒に見ましょうね」

 そして2人は約束の口付けを交わす。

 


 ハッと美緒は目を覚ます。

「夢・・・。夢かぁ」

 さっきの櫛っ!

 そう、美緒には見覚えがある。美緒に与えられた部屋の中に似たものがあるのだ。ドレッサーの前な行き、引き出しを開ける。

「そう・・・、コレ・・・」

 流石に同じものでは無いが、特徴が似ている。つげ櫛に螺鈿細工。漆とは異なるが、細工がそっくりだ。人の気配を感じ、振り返るとそこには仕事帰りの葉月さんが佇み、ジッと見ている。

「葉月さん、この櫛・・・」

「ああ、昔旅行に行った時に偶然、昔大切だったモノに似ていたから買ったんだ」

「それって、花火の日の」

「!?美緒?」

「やっぱり・・・。葉月さんに頂いたプレゼント。とても大切にしてました。アレは漆でしたけど、螺鈿細工がホントにキラキラしていて綺麗で」

 言い終わる前に、葉月がズカズカと美緒の所にやって来て、美緒を抱きしめる。そしてキスをする。

「美緒っ!どうしてお前はっ!記憶があるのに俺を拒否するのか?」

「え、今夢を見て思い出した所で・・・。拒否は仕方ないじゃないですか、まだ葉月さんに出会って数週間です。あと、鎖っ!外して下さいっ!」

「無理だな、まだ」

 仄暗い顔に変わった葉月は、美緒を抱き抱えベッドまで運ぶと、美緒の服を脱がせながら自分の服も脱いでいく。

 ギシリとベッドに乗り上げた葉月は、美緒の身体を愛撫しはじめる。

「美緒っ・・・、愛してる」

 切迫詰まった様に囁きながら。



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