貴方との運命

ゆきりん(安室 雪)

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 そして、葉月さんと、いくつかある部屋を見て回っていると、突然、白装束を身に付けた人がいる事に気づいた。

「きゃあ!!」

 美緒は思わず、葉月に後ろから抱きついてしまう。

「どういう事だ?志乃」

 葉月は冷静にたずねる。

 え?志乃?志乃さん?

 美緒は葉月に抱きついたまま、葉月の後ろから覗き込む。あ、確かに志乃さんだ。ホッとしたのも束の間、葉月さんに抱きついていた事に気がつき、慌てて離れる。

「私達一族は、この日が来るのを待ちわびておりました。三ノ宮家の血筋が戻る日を」

 そして、四条 志乃さんは四条家の役目とやらを話し始めた。四条家は明治より以前から三ノ宮家に仕えていて、代々三ノ宮家と共に歩んできた。しかし、三ノ宮家の血筋が途絶えてしまい、他家の血で三ノ宮家を存続させなければならなくなった時、最後の三ノ宮当主から、必ず三ノ宮家の血筋を見つけだし、存続した三ノ宮家の者と婚姻させる事を誓ったと言う。しかし戦争があり、四条家も手は尽くしたがなかなか血筋の人を見つけられなかったと言う。

「でも、数ヶ月前からあなたの姿を見かけて。お蘭さんが持って出たと言われているブローチを鞄に付けていたでしょう?びっくりして、ほぼ平日は毎日夕方通られるのを見ていたんですよ。どうやって声をかけようかと。あの日、あなたが怪我をして中に運ばれなければ、近々ランチの招待券を配ってみようかと思ってました」

「で、志乃。その格好はどうした?」

 「四条家は昔、巫女もしておりまして、この奥にある祠に祈りや報告もしております。祠に参る時の正装です。本日はお2人にも参って頂きたいと思います。こちらです」

 志乃さんに促され、葉月さんと着いて行く。そして地下に向かう階段に着き、志乃さんは降りて行く。美緒は何だか降りたく無かったが、葉月に手を引かれ階段を降りる。地下はひんやり冷たい。少し進むと祭壇と刀、他には何か色々な物が置かれている。

 志乃さんは祭壇の前に敷かれているゴザの様な物の上に、正座し何やら唱え始める。しばらく経った後、結婚式の三三九度の時に使う様な盃を2人に差し出してくる。

「どうぞお飲みください」

 怪しくないかな?大丈夫?これ?

 美緒は疑って飲めないが、葉月は飲み干し、美緒を促す。

 うっ、お酒飲めないんだけど・・・。え~いっ、飲んでしまえ!と一気に飲む。喉がカッと焼ける様に熱い。

 そして来た道を引き返しつつ、途中からは違う廊下を進む。そして、ある部屋の前まで来ると、2人を中に促す。2人が中に入ると『ガチャリ』と鍵をかける音がする。

 え!?と思うが、外からは志乃さんの落ち着いた声がする。

「どうぞ初夜をお迎え下さい。軽い食事は中の冷蔵庫に入れてありますし、生活用品も揃ってます。明日の夕方、また参ります」

 そう言ったきり、静かになった。

 初夜?

 初夜!!



 
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