貴方との運命

ゆきりん(安室 雪)

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 美緒がモグモグと朝食を食べていると、葉月が外出から帰ってきて、何やら封筒を差し出してくる。

「お前の控えだ」

 何の?説明は無いんですか?

 お行儀は悪いが、何の控えか気になったので、口をモグモグさせながら中を確認する。

 そこには某銀行の本店貸金庫の契約書だった。契約者は美緒の名前になっている。

「今日は土曜日ですが?」

「昔からの付き合いのある銀行だ。融通を利かせてもらった」

「はあ。ありがとうございます」

 そう言ってまた、食べ始める。宮田さんのご飯美味しい。1人暮らしを始めてから、美緒はずっと朝はパンだったので、朝から白いご飯は嬉しい。お味噌汁と出汁巻卵付き。卵はあまり甘くなく、美緒の好みにぴったりだ。外食で甘い出汁巻卵が出ると、美緒は醤油をかけて何とか食べるのだ。

「食べ終わったら、店に行くぞ。明るい内に中を確認したい」

「1人でどうぞ」

「は?お前も行くに決まってるだろ。鍵の片割れを持ってたんだからな。中から何か出てくるかも知れないぞ」

「だからと言って、私の物と言う訳ではないので、葉月さんだけで行ってください」

 すると、葉月はいきなり美緒の腕を掴む。

「ちょうど食べ終わったな」

 そのまま美緒をズルズルひっぱり、昨日脱がせた靴を履かせ、車に乗せる。今日は運転手は無しで、葉月が運転するようだ。

 うわっ!ポルシェだよ。街で見かける事はあっても、まさか自分が乗るとは思わなかったよ。しかも、昨日寝たまま、起きたままのキャミとショートパンツだし・・・。葉月はきちんとした格好なのに。



 お店に到着し、裏口から入る。そして、廊下をぐねぐね何度も曲がり、昨日の部屋の前に辿り着く。昼間なので部屋の中の様子がよくわかる。閉ざしてあった扉は後から付けたようだが、まずは玄関があり、小上がりがあって和室だ。左手に廊下と庭が見える。

「やはり誰かの手が入っているな。埃が無い。どう言う事だ・・・?」

 葉月は考え込む顔をする。



 
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