貴方との運命

ゆきりん(安室 雪)

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 前田さんには、もう何度かアパートまで送ってもらっている。2度目に送ってもらった時も場所は1度目で覚えたようで、再度道を聞かれなかった。でも、今日は明らかに道が違う。先に葉月を送るのかな?でも、普通って、私を先に送ってくれるんじゃないの?

 車はお店を出てから10分程走り、高層マンションのエントランス前で止まる。前田さんが車を降り、後部座席のドアを開ける。ゆっくり、葉月が降りこちらを見る。

「お疲れでした」

 で、いいのかな?

 何て言えば正解?

 美緒がそんな事を考えていると、

「お前もだ」

 と言って、車の中に上半身が入り込み、美緒を掴みグッと引っ張る。

「は?」

 そのまま、ズルズルと建物内まで引きずり込まれ、オートロックを解除しながら美緒を肩に担ぎ上げる。

!?

 まるで、米俵の様な扱いだ。

 美緒の頭は葉月の後方に向けられているので、見送っている前田さんと目が合う。

「前田さんっ、助けてっ!」

 しかし、無情にもオートロックの扉が閉まってしまうのだ。担がれているみおは、拳で葉月の肩の少し下を叩くが、降ろしてもらえない。

「ちょっと!いい加減に降ろしてよっ!」

 美緒は叩くだけではなく、暴れもするが、鍛えてある身体にガッチリとホールドされ、身動きが取れなくなっていく。それどころか、どさくさに紛れて、美緒のお尻を撫でるのだ。

「馬鹿~っ!どこ触ってるのよっ!人攫いっ!痴漢っ!」

 喚く美緒を他所に、葉月は軽い足取りでエレベーターに乗り、最上階で降りる。降りると休憩スペースの様に椅子やテーブルが置いてあり、少し奥に玄関がある。どうやらこのフロアには一室しか無い様だ。

 セキュリティは指紋で解除の様で、手をかざすと開錠された音がする。

 玄関で靴を脱ぎながら、美緒の靴もポイポイ投げる。そして廊下を進み、とてつもなく広いリビングにあるソファにポイっと美緒を投げる。

「ちょっと!扱いが雑なんだけどっ!」

 上半身を起こしながら、葉月を睨みつける。


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