3 / 44
3
しおりを挟む
ムカつく男はそのまま、部屋を出ようとし、振り返りながら
「コレ1週間貸せ」
と言ってそのまま消えてしまった。
「お名前を教えて頂けますか?」
運転手に聞かれ、有栖川 美緒と答える。
「では、美緒様。1週間預からせて頂く代わりに、毎日仕事帰りこちらにお寄り頂けますか?」
「はぁ」
その後は、運転手に家まで送ってもらいつつ、ムカつく男の事を話して貰う。
三ノ宮 葉月と言う先ほどのムカつく男は、三ノ宮グループの現在社長で、いくつものレストランやホテルを経営しているらしい。
「では、明日もよろしくお願いします」
運転手は美緒をアパートの前で降ろし、去って行く。
次の日、仕事帰りに例のお店に向かう。時間は昨日と同じ位だ。すると、お店の外に志乃さんが佇んでいる。
「美緒様、お待ちしておりました」
礼儀正しく迎えてくれる。
「あの・・・、毎日伺う必要があるんでしょうか?」
「私にはわかりませんが、主が仰る事ですので」
ニコリと微笑みながら、昨日と同じ部屋に通される。
食前酢を頂く。
お酒は飲めないので、とお断りするとフルーツの酢が出て来たのだ。ほんのり甘く、酸味は控えめで飲みやすい。
昨日とは違うメニューが次々と運ばれてきて、美緒は眼で楽しみながら完食だ。
今日は葉月は現れず、昨日と同じ運転手にアパート迄送られる。
「ありがとうございます」
お礼を言うと、昨日と同じく
「では、明日もよろしくお願いします」
と去って行く。
何だか違う世界の住人になったみたいだが、アパートの部屋に入った瞬間、現実に戻る。室内は無駄な物はない。生活していくのが精一杯で、街中にいる女子達みたいに着飾る事もほぼ無い。
「ふう」
ため息を1つ吐き、冷蔵庫を覗く。昨日・今日と夜を外でご馳走になったので土曜日に1週間分買っている食材を調整しなければならない。
「う~ん、鶏肉とかは冷凍庫行きだね」
使いやすい大きさに切ってラップに包み、冷凍庫へ。野菜も同じ。
「どういうつもりなんだろうね?あの人」
ボソリと呟く。
そしてその週末、1週間にはまだ早いが葉月が現れたのだ。
「コレ1週間貸せ」
と言ってそのまま消えてしまった。
「お名前を教えて頂けますか?」
運転手に聞かれ、有栖川 美緒と答える。
「では、美緒様。1週間預からせて頂く代わりに、毎日仕事帰りこちらにお寄り頂けますか?」
「はぁ」
その後は、運転手に家まで送ってもらいつつ、ムカつく男の事を話して貰う。
三ノ宮 葉月と言う先ほどのムカつく男は、三ノ宮グループの現在社長で、いくつものレストランやホテルを経営しているらしい。
「では、明日もよろしくお願いします」
運転手は美緒をアパートの前で降ろし、去って行く。
次の日、仕事帰りに例のお店に向かう。時間は昨日と同じ位だ。すると、お店の外に志乃さんが佇んでいる。
「美緒様、お待ちしておりました」
礼儀正しく迎えてくれる。
「あの・・・、毎日伺う必要があるんでしょうか?」
「私にはわかりませんが、主が仰る事ですので」
ニコリと微笑みながら、昨日と同じ部屋に通される。
食前酢を頂く。
お酒は飲めないので、とお断りするとフルーツの酢が出て来たのだ。ほんのり甘く、酸味は控えめで飲みやすい。
昨日とは違うメニューが次々と運ばれてきて、美緒は眼で楽しみながら完食だ。
今日は葉月は現れず、昨日と同じ運転手にアパート迄送られる。
「ありがとうございます」
お礼を言うと、昨日と同じく
「では、明日もよろしくお願いします」
と去って行く。
何だか違う世界の住人になったみたいだが、アパートの部屋に入った瞬間、現実に戻る。室内は無駄な物はない。生活していくのが精一杯で、街中にいる女子達みたいに着飾る事もほぼ無い。
「ふう」
ため息を1つ吐き、冷蔵庫を覗く。昨日・今日と夜を外でご馳走になったので土曜日に1週間分買っている食材を調整しなければならない。
「う~ん、鶏肉とかは冷凍庫行きだね」
使いやすい大きさに切ってラップに包み、冷凍庫へ。野菜も同じ。
「どういうつもりなんだろうね?あの人」
ボソリと呟く。
そしてその週末、1週間にはまだ早いが葉月が現れたのだ。
0
お気に入りに追加
245
あなたにおすすめの小説
子育てが落ち着いた20年目の結婚記念日……「離縁よ!離縁!」私は屋敷を飛び出しました。
さくしゃ
恋愛
アーリントン王国の片隅にあるバーンズ男爵領では、6人の子育てが落ち着いた領主夫人のエミリアと領主のヴァーンズは20回目の結婚記念日を迎えていた。
忙しい子育てと政務にすれ違いの生活を送っていた二人は、久しぶりに二人だけで食事をすることに。
「はぁ……盛り上がりすぎて7人目なんて言われたらどうしよう……いいえ!いっそのことあと5人くらい!」
気合いを入れるエミリアは侍女の案内でヴァーンズが待つ食堂へ。しかし、
「信じられない!離縁よ!離縁!」
深夜2時、エミリアは怒りを露わに屋敷を飛び出していった。自室に「実家へ帰らせていただきます!」という書き置きを残して。
結婚20年目にして離婚の危機……果たしてその結末は!?
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
【完結】私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね
江崎美彩
恋愛
王太子殿下の婚約者候補を探すために開かれていると噂されるお茶会に招待された、伯爵令嬢のミンディ・ハーミング。
幼馴染のブライアンが好きなのに、当のブライアンは「ミンディみたいなじゃじゃ馬がお茶会に出ても恥をかくだけだ」なんて揶揄うばかり。
「私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね! 王太子殿下に見染められても知らないんだから!」
ミンディはブライアンに告げ、お茶会に向かう……
〜登場人物〜
ミンディ・ハーミング
元気が取り柄の伯爵令嬢。
幼馴染のブライアンに揶揄われてばかりだが、ブライアンが自分にだけ向けるクシャクシャな笑顔が大好き。
ブライアン・ケイリー
ミンディの幼馴染の伯爵家嫡男。
天邪鬼な性格で、ミンディの事を揶揄ってばかりいる。
ベリンダ・ケイリー
ブライアンの年子の妹。
ミンディとブライアンの良き理解者。
王太子殿下
婚約者が決まらない事に対して色々な噂を立てられている。
『小説家になろう』にも投稿しています
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@コミカライズ発売中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
乙女ゲームの正しい進め方
みおな
恋愛
乙女ゲームの世界に転生しました。
目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。
私はこの乙女ゲームが大好きでした。
心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。
だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。
彼らには幸せになってもらいたいですから。
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる