花笑みの庭で

ゆきりん(安室 雪)

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「彩音、とりあえず軽く流す感じいいから歌ってみて」  

 なんて言われて普段通りに歌えないよっ、緊張するっ!だって、憧れのアヤト、最愛のアヤト!どこまでいってもアヤトの事しか浮かばないっ!

 はっ!もしかして昔母さんと一緒に仕事したことあるから、ゴリ押しで私を押し付けられて仕方なく歌わせようとしてるだけ?

 そ、それなら納得。

 悲しいけど。

 でも、それなら一回しかないチャンスだもんっ!ヘタでもいいから大切に歌わなきゃっ。

 イントロが終わり歌い出しになる。

 さっき聞いたアヤトの歌、楽譜の音符それぞれ彩音の中で合わせて、彩音らしく歌う。

 アヤトの曲だけど、歌いやすい?音の幅が彩音の音程にあっている。

 いつの間にか歌い終わってしまった。折角の一度きりのチャンス、と思っていたのに、また頭からイントロが流れる。

 もう一回歌ってもいいのかな?

 また、彩音は先程と同じ様に歌い始めるが!

 何と!

 アヤトも同じブースに入ってきて、あろう事か同じスタンドマイクに向かって歌い始めたっ!!

 生アヤト・生歌っ!

 肩よりも長く伸ばしたサラサラストレートにはシャギーが入っていて重い感じはない。しかも左手で髪をかき上げながら、彩音をチラ見しながら音を合わせてくる。

 生アヤト・生歌・生流し目っ!

悶絶寸前で歌い終えた彩音に一言

「上の部屋で休んで、そうだな今朝だから夕方またココ集合で。美緒子さんにはしばらく預かるって言っとくから」

 部屋の物は好きに使っていい、と言い残し部屋から出て行ってしまった。

 どゆこと???

「彩音ちゃん良かったね~、今の彩音ちゃんの曲になるよ」

 にこ~って音が聞こえそうな位の笑顔で成り行きを見ていたヒデさんに背中をバシバシ叩かれながら部屋を出るように促される。

 で、エレベーターに乗せられ。

 マンションの廊下風のフロアで降ろされ。

 案内されたのが

「はい、ココ。アヤトの部屋ね~、彩音ちゃんおやすみ~」

 部屋に押し込められ、(なんか今日は押し込められるパターンばっか)扉がパタンと閉まる。

え?

見知らぬ人と(いや顔は知ってるけど)2人で1つの部屋にいるのはダメだけど、憧れの他人の部屋に置いて行かないでっ!

慌てて扉を開くけど、ヒデさんの姿はそこには無かった。

どうする私、中に入るのか?

入るしかないよね?

よしっ、と気合いを入れ

「お邪魔しまぁす」

 まずはリビングの扉を開けたようだがっ!

 何この部屋っ!

 散らかりまくりっ!

 素敵なキッチンには洗い物だらけ・・・。

 朝日が眩しい部屋でまずは掃除、洗濯、食器片付け。

 見違えるほど綺麗になったリビングのソファーに座った瞬間一気に疲れが出て眠くなってきた。

 そうだよね~、だってライブ帰りにココに連れて来られて撮影してたし、歌ったし。

 何か重要な事、色々忘れてる気がするけど、もう無理~。

 おやすみなさぁい(( _ _ ))..zzzZZ

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