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5 〜ガイナ視点1〜

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 あ~、もう飽きた。

 女なんか面倒くさいだけじゃないかっ!!

 俺は番探しの地方行脚に既に飽き飽きしていた。街に着けば平民女性から遠目に見つめられ、歓迎パーティーがあれば貴族令嬢のみならず夫人まで周りから離れず、香水・化粧臭い。厩の匂いの方がまだマシに感じる位だ。

 そもそも俺は舞踏会やらナンチャラパーティーとかはキライなんだ。俺の身分しな見ない馬鹿な女が馬鹿な話ししかしない。金を使ってドレスや宝石の自慢、他人の悪口ばかりだ。当初地方行脚の話しを受けたのも、兄である王太子がいれば女はソッチに行くだろうと思ったからだ。なのにメインディッシュである兄がいなければ、おまけのマッシュポテト的な俺に寄って来るしかないのだ。

 次で3つ目の領地か。

 葡萄畑が広がるデラウェアだな・・・。

 この山を下れば、もうその領地入りだ。騎士として馬に乗り慣れている俺は、欠伸をしながらカポカポと山道を下る。一瞬、鋭い視線を感じる。周りの騎士に注意するように合図を出す。すると狭い山道なのにも関わらず、脇の木々から賊がワラワラと出てくる。奴らは馬には乗っていないので急いで馬を走らせるが、前方にも多くの賊が立ちはだかる。

 くっ!!面倒だな。

 走らせている馬に向かい剣を突き刺して来ようとする者や、馬に飛び乗ろうとするヤツもいる。とりあえず平地に出なければ。

 平地に出た後は馬を降り、賊と対峙する。確実に仕留めたいが、数が多い。

 クソッ!!

 どの騎士も1人で5人は相手をしなければならず、体力がドンドン削がれていく。するとどこからともなく甘い花の匂いが漂ってくる。身の内から興奮するような、心を鷲掴みするような・・・、

 まさか番か?

 いやいや、この場には男しかいないぞ?

 男の番っ!?

 頭が少しパニックし始めるが、この地の騎士が応援に駆けつけて来た。騎士ではなく自警団か?個人の力に差があるよるに思う。

 甘い匂いも強くなった。

 コレかっ!!兄弟が惚気る番の匂い。

 今まで、男同士の番はいたか?

 まあ、ソレは今は置いておいて賊だなっ!!

 少し賊を戦闘不能にさせると、全体が見渡せるようになった。ふむ、自警団でもすぐに騎士として使えそうなヤツは何人かいるな。しばらく戦っていると、賊は勝ち目なしと判断したのか去って行った。

 ふむ、賊にも強いヤツがいたな。騎士団に入れば即戦力になるのに勿体ない。

 自警団の方には重傷者がいるらしく、仲間に馬で運ばれて行った。騎士にも何人か怪我人がいるようだが、この場で手当てすれば大丈夫だろう。俺達は状況を確認し、すぐに街へと向かった。あの甘い匂いはいつの間にか消えていた。

 ああ、番。

 この街にいるんだな。

 自警団か、それとも・・・賊か?

 男だったらパスしてもいいよな?




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