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 「お姉様、そもそも番探しの意味を分かってらっしゃいます?」

 「結婚相手を探すんだろ?」

 はぁ~っ、とデイジーは深い溜息をついた。

 「お姉様、番と言うのはですね。絶対無二の愛する人です。まず、匂いでわかるらしいです。甘い匂いがするらしいですよ?花の様な甘い匂いみたいです。あとはキスをすると愛の花が降ってくるんですって!!王太子様のお披露目では沢山のピンクの薔薇の花が降ってきたんですって!ロマンチックだわっ!!その花は通常の花よりも長持ちしたって聞くし、ドライフラワーにしても生花みたいに綺麗な状態なんですって」

 「え~、花びらならまだしも茎もついてるって事か?トゲも付いてるのか?痛そうだな。トゲの処理がしてあればまだいいが。頭にバンバン降ってきたら怒れるだろうよ」

 「も~、お姉様。18歳の乙女とは思えない発言ですわ。私も番に出会いたいわっ。愛の花を咲かせるのよっ」

 うっとりした顔でデイジーは話す。

 「私は騎士になりたかったからな」

 「そういえばお姉様、私には香水の匂いは感じませでしたわ?もしかして、番の匂いではないのですか?」

 「は?香水だろう。番になったら王宮に住むんだろ?無いな~」

 はははっと笑い飛ばす。

 「綺麗なドレスに宝石ジャラジャラ付けてダンスなんて、どんな罰ゲームだよ?」

 「お姉様はキチンとした格好をすれば、ちゃんと令嬢に見えるのに・・・」

 「そういうのはデイジーに任せるよっ。明日も護衛に扮するから、頼むぞ?デイジー」

 「お父様にまた怒られますよ?」

 「参加はするって言ったから、会場にいれば大丈夫だろ?」

 部屋に戻り、要人を警護する際の制服を整え、明日に備える事にした。




 翌日は朝から屋敷内はバタバタしており、その隙をつき屋敷から抜け出した。

 後は頼んだぞ、デイジー。

 自警団の詰所に向かうと賊が何箇所かに出ていると報告が入っている。

 スミレはいつもの自警団の服に着替え、賊の見回りに出る事にした。



 
 「誰かっ、助けてっ!」

 馬をゆっくりと走らせ街中を巡回していると、どこからか女性の悲鳴が聞こえて来た。スミレは周りを見渡し、声が聞こえた方向を探す。

 「誰かっ!!」

 視界の端に女性が鞄を引っ張られているのが見えた。スミレは馬から降り、男を1蹴りしてから背負い投げる。

 女性の鞄は無事だ。

 「騎士様っ、ありがとうございましたっ」

 う~ん、騎士じゃないけどね?

 「気をつけて」

 声をかけて馬の元に戻り、巡回を再開する。とりあえず、大事にならなくて良かった。

 その後もスリや喧嘩などを収めて回った。






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