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 仲間を病院に運び終え、来た道を馬で走っているとデイジーの姿があったので声をかける。

 「デイジー、殿下達は賊に襲われ少し大変な状況だ。挨拶を済ませたらすぐに帰った方がいい。それと・・・、香水臭いヤツがいるから気分が悪くならないように気をつけろよ?じゃあ、殿下の相手、頼むぞ」

 「香水臭いですか・・・?気をつけますわ。お姉様も賊に気をつけて下さいね?」

 「ああ、また夜に話を聞かせてくれっ」

 デイジーに別れを告げ馬を走らせ、先程賊が出た現場に戻るが、すでに誰も居なかった。しかし、薄っすらと香水臭い匂いが残っている。

 どんだけ香水振りかけてるんだよ?

 地面にこぼしたのか?



 夕方屋敷に戻るとまた父の書斎に呼ばれた。

 「理由はわかるか?」

 「殿下が襲われた際に賊を蹴散らした褒美ですか?」

 絶対に違うが敢えて言ってみる。

 「馬鹿者っ!何故デイジーが殿下のお出迎えに行くのだっ!!お前の役目だと昨日言っておいただろう!?」

 「そうでしたか?ああ、賊を退治していたのですっかり忘れていましたよ。殿下は無事でしたか?」

 「話題をすり替えおって!まあ、騎士に何人か負傷者は出たようだが、殿下は怪我もなく無事だ。あの方も騎士だからな。我が領の自警団を褒めて下さったよ。数名騎士団に欲しい動きをしていた者がいるとな」

 「ソレは多分私だろうな。それで親父、相談がある。今日の賊なんだが、この辺りの者ではないか集団も何組か混じっていた。殿下を襲っていた賊は50人程だったが半数以上は見かけないヤツだった。領内の見回りと殿下の周辺の護りを固めた方がいい。賊の中に私と同等の腕のヤツがいた」

 アイツはかなり強い。対等に戦えるのは私と騎士だろう。自警団では厳しい。

 「お前と同等か、わかった。考えておこう。で、スミレっ!明日の歓迎パーティーは逃げるでないぞ?」

 「・・・、さ~てデイジーに殿下の感想を聞いて来よっと」

 「スミレっ!」

 「はいはい、参加すれば良いんでしょ?参加すればね~っ」

 ヒラヒラと手を振り書斎を後にする。

 参加はしますよ~。

 参加はね~。



 デイジーの部屋に行くとお茶の用意がされていた。

 「ふふっ、書斎帰りに寄られると思って。お姉様の好きなマカロンを用意しましたわ」

 「デイジーもマカロン好きだろう?特にこのラズベリー」

 ラズベリーが多めに用意されているので、遠慮なく摘む。口の中でサクッとした食感の後にフンワリとラズベリーのクリームの香りが広がる。甘酸っぱくて美味しい、アッサム紅茶とも良く合う。

 「で、ガイナード殿下はどうだった?イケメンだったか?」

 「も~、お姉様はイケメン好きなんだから」

 「悪いよりも良いに越した事はないだろう?話しをしながら笑える顔だったら、堪えるのが大変じゃないか」

 「お姉様、人間顔じゃありませんよ?それにガイナード殿下はイケメンと言うよりも精悍な顔立ちの騎士って感じでした。てっきり細身の王子様かと思っていたのですが、馬を走らせ颯爽とやって来られましたわ」

 「そうなのか。賊に襲われていた時には殿下を区別出来なくてな。親父も殿下は騎士と言ってたし。で、殿下の番はデイジーでは無いのか?一目見て恋には落ちなかったのか?」




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